ファーウェイ2023年売上高は7,000億元達成見通し~厳しい状況から脱却も慎重姿勢維持

ファーウェイの2023年の売上高が7,000億元を超える見通しとなった。胡錦濤・輪番会長がこのほど年頭所感で明らかにしたもので、端末事業が予想以上に好調だったという。ファーウェイの年間売上高が7,000億元に到達するは2021年以来。胡・輪番会長は、過去数年の厳しい状況から脱却し、基本的に正常な状態に戻ったとしながらも、地政学リスクや技術的制約といった課題は2024年も残ると慎重な姿勢を崩していない。

 

■23年はスマホ好調

胡輪番会長は、「ファーウェイは過去数年間、(米国からの制裁など)厳しい試練の中にあった」としながらも、2023年の事業について、▽ICT(Information and Communications Technology)インフラ事業は安定を維持、▽端末事業は予想以上に好調、▽デジタル・エネルギー事業とクラウド事業は良好な成長を達成、▽スマートカー・ソリューション事業は競争力を大きく高めた–と振り返った。

特に端末事業の中でもスマホでは最新機種の「Mate 60 Pro」を発売。国産チップを使った5G通信規格に対応するもので、「米国からの制裁を乗り越えた」と注目を集めるとともに販売も好調。市場調査機関カウンターポイントによると、10月のファーウェイのスマホ出荷台数は前年同月比83%増。中国のスマートフォン出荷台数全体の押し上げに寄与した。

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またスマートカー・ソリューション事業も前進。自動車メーカーの賽力斯集団(セレス)との合弁電気自動車ブランドである「問界(Aito)」の最新モデルM9を12月26日に発売したが、発売前の予約注文は12月26日時点で5万4,000台を超えた。

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■24年は「価値創造に注力」

2024年の展望については胡・輪番会長は「ファーウェイのすべての事業部門が価値創造に注力し、より多くの収益基盤をつくる必要がある」と指摘。▽端末事業は引き続きハイブランドの良い製品をつくるとともに、独自開発の基本ソフト(OS)「鴻蒙(Harmony)」のエコシステムの構築を一段と進める、▽デジタルエネルギー事業は脱炭素化の機会を捉え、より多くの利益に貢献す、▽スマートカーソリューション事業はパートナーと協力し、技術的優位性をビジネスの成功につなげるーーなどの目標を掲げた。

 

■エコシステムの構築も重要課題

エコシステムの構築の重要性にも言及。「ファーウェイ1社だけではビジネスの拡張には限界があり、各企業が得意分野の製品やサービスに集中する必要がある」としたうえで、「各企業の得意分野を掛け合わせたエコシステムの構築が重要」とし、他社とのエコシステムの構築があってこそ大きな事業につながる点を示唆した。

 

とはいえ、地政学リスクや景気サイクルの不確実性、技術制裁や貿易障壁などのリスクは残っていると慎重な姿勢。世界の産業チェーンの構造やビジネスルールが大きく変化している点も認め、ファーウェイが直面する課題は依然として深刻との認識を示している。

 

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