ファーウェイ、「Mate 60 Pro」正式発売~5G対応が焦点の一つ

華為(ファーウェイ)は9月3日、最新スマホ機種「Mate 60 Pro」の発売を正式に始めた。2019年以降、米国からの制裁を受けていたファーウェイの最新機種であるMate 60 Proを巡っては、5G対応しているのかなど各種スペックに注目が集まっている。

 

■米制裁下での携帯電話事業
2019年、米政府がファーウェイを原則輸出禁止対象とする「エンティティ・リスト(禁輸リスト)」に追加して以降、半導体世界最大手の台湾のTSMCなどがファーウェイ向け製品供給を停止するなどでファーウェイの携帯事業を取り巻く環境はここ数年、厳しい状況にあった。実際、2022年に投入した「Mate 50 Pro」については、発売延期を余儀なくされたほか、対応する通信規格が5Gから4Gにダウングレードした。

これに伴い、ファーウェイのスマホ市場でのシェアは低下。市場調査会社カウンターポイントによると、2022年の世界のハイエンド端末市場シェアはアップルとサムスンが90%以上を占めた一方、ファーウェイは3%に低下した。

2023年に入ってからは3月に「Mate P60シリーズ」を発売したが、これも通信規格は5Gに対応していなかった。

 

■5G対応のチップ、SMICが製造との見方
こうした中、今回発売した「Mate 60 Pro」を巡っては、5Gに対応しているかが一つの焦点になっていた。正式発売に先駆け、8月29日、ファーウェイは自社のオンラインストアで一部先行販売を開始。事前案内なしの販売開始で、ネット上では大きな話題となり、新機種を購入したユーザーらが各種スペックを確認し、情報が広がった。正式発売後の9月4日付香港メディアによると、新機種は香港の中国移動(チャイナ・モバイル)のネットワークで試すと、5G規格に準拠した350mbps以上の速度が確認されたという。

Mate 60 Proで採用されているチップは「麒麟(Kirin)9000s」。チップ上に記載されているコードは「CN」で中国本土の工場で製造されたことを表している。専門家の間では、「チップはファーウェイが設計し、中芯国際(SMIC)が製造した」との見方が有力。かつてファーウェイは半導体の生産を前出のTSMCなど台湾企業に依存していたが、台湾企業など本土域外の企業から受注が難しくなる中、中国本土の企業がコア部品をはじめ製造を受託。中国本土企業が5G対応のチップの製造は、中国の半導体産業において一つのマイルストーンになるとみられている。

Mate 60 Proは地上のネットワーク通信がない場所でも通話が可能な衛星電話にも対応。ファーウェイはMate 60 Proについて、先行販売の際にオンラインストア上で掲載した顧客向け案内の中で、「世界発の衛星電話機能をサポートする『大衆スマホ』になった」としている。

 

■今年のスマホ出荷台数目標を上方修正
ファーウェイのスマホ販売台数は今年に入り改善の兆しをみせている(関連記事)。こうした中、今年のスマホ出荷台数目標について、年初の3,000万台から4,000万台に上方修正している。

ファーウェイの携帯電話事業の改善は、中国の他のスマホメーカーにとっては脅威となるもの。特に、小米(Xiaomi)、栄躍(Honor)のシェアをファーウェイが抜くかが注視されている。また、価格帯では4,000元以上のハイエンド端末市場で一段の競争激化が予想されている。

ファーウェイが研究開発に巨額の資金を投入していることは有名。2022年の研究開発費は1,615億元で、同年の売上高の25%を占める規模。2022年までの過去10年間の研究開発費は総額9,773億元を超えている。2023年に入ってからも増加は続き、上半期の研究開発費は前年同期比4.4%増の826億400万元となっている。従業員も半数以上は研究開発人員。2022年12月31日時点で従業員総数は約20万7,000人、うち研究開発部門の従業員数は約11万4,000人で、総従業員数の約55%を占めている。

 

5G対応のチップの中国国内開発などが進んでいるとみられるが、米国からの制裁という足かせが完全に払拭されたわけではないファーウェイ。米国からの制裁というピンチをチャンスに変えることができるのか、ファーウェイの動向から目が離せない。

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