理想汽車、2カ月続けて納車台数3万台突破~生産制約の問題は10月に解消見込み
中国の新興自動車メーカーである理想汽車(Li Auto)の販売が好調だ。月次納車台数は今年6月、7月ともに3万台を突破した。また、生産が制約されている生産能力の問題について会社側は「10月に解消される」との見通しを示し、今後の納車台数に拡大余地があることを示唆している。
■拡大する納車台数
理想汽車の2021年以降の販売実績をみると、2021年の納入台数は前年比177.4%増の9万500台で、新興自動車メーカーでは2位だった。2022年は前年比47.2%増13万3,200台で、業界全体で3位だった。
今年に入ってからの納車は大幅に増加。直近7月の納車台数は前年同月比227.5%増の3万4100台で、新興自動車メーカーの中ではトップだった。また、2カ月続けて3万台を超え、6月と7月の合計納車台数は6万6700台。これは蔚来汽車(NIO)3万1200台の2倍以上となっている。
1~7月の累計納車台数は17万3,300台。NIOの7万5,000台を大きく引き離している。昨年6月に「Lシリーズ」の3番目のモデルである「L9」を発売して以降の累計納付台数は20万台を超えている。
■生産成約解消で第4四半期の月次納車台数4万台目指す
2カ月続けての3万台以上の納車実績を記録した理想汽車。ただ、現時点での月間生産能力は7月の納車台数である3万4000台程度。同社のCEOである李想氏によると、今年第3四半期にはこの月次生産能力の制約が解消される見込み。10月の国慶節休暇期間中に常州工場をアップグレードして生産能力が拡大する見込みという。こうした点を踏まえ、今年第4四半期には月次の納車台数4万台を目指すという。
■収益性も改善
理想汽車は業績面でも他の新興自動車メーカーに比べて優位に立っている。中国の新興自動車メーカーは依然として赤字が続いており、理想も例外ではなかった。理想の年間の純損失額は、2020年が1億5,100万元、2021年が3億2,100万元、2022年が20億3,200万元だった。
しかし、収益性は改善している。粗利益率は2023年第1四半期の20.4%から同第2四半期には21.8%に上昇。これはテスラの粗利益率(第1四半期が19.3%、第2四半期が18.2%)を上回っている。会社側は「売上高が1,000億元以上の企業であれば、製品粗利益率は15~25%が健全な範囲」とし、将来的には粗利益率を25%に引き上げる目標を示している。
収益性の改善で最終損益の黒字化も達成。直近2023年第2四半期の売上高は前年同期比228.1%増の286億5,000万元。営業利益は16億3,000万元、純利益は23億1,000万元を記録している。
理想汽車のCEOである李想氏はかつて、「中国の何百もの新興自動車メーカーのうち、最終的に生き残れるのは3社だけだとしたら、当社はその1社になれるよう努める」と語っている。競争が激化し、移り変わりが速い中国の自動車業界。理想汽車は淘汰されずに生き残れるのか、同社の戦略が注目される。