Category: 論説・主張

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「世界一の人口大国」の肩書喪失、中国は懸念する必要があるのか?~中国社会科学院国家高級シンクタンク首席専門家・蔡昉氏

国連の世界人口推計によると、今年4月、インドが人口で世界トップとなった。一方、中国は人口が減少に転じた。
中国の人口発展は新たな局面に直面している。中国社会科学院国家高級シンクタンク首席専門家の蔡氏は新著『人口マイナス成長時代:中国経済成長の試練とチャンス』の中で、人口の減少について改革のボーナスが生まれてくるチャンスでもあると指摘した。中国は「世界一の人口大国」の肩書を失うことを懸念する必要があるのか。中国はどのように巨大な規模の既存人口から経済成長の原動力を掘り起こし続けるのか。中国新聞社はこれについて蔡氏にインタビューした。

世界人形劇の日に中国・パキスタン文明と文化遺産を祝うイベントが北京にある中国人形劇芸術劇場で行われ、人形劇『孫悟空〜本物と偽物』のさわりが披露された。 0

米国の中国学者ロバート・ヘーゲル 西洋世界は中国古典小説をどう読むか

中国文学が西洋の世界に入ったとき、西洋人は中国の古典小説をどのように見ていたのか。文学は東洋と西洋の文化交流をどのように促進できるのか。米国のセントルイス・ワシントン大学の終身教授で、東アジア学科の元学科長の著名な中国研究家であるロバート・ヘーゲル(Robert Hegel)氏が、このほど中新社の「東西問」の独占インタビューに応じ、中国文学との60年にわたる関わりを振り返るとともに、西洋世界における中国文学研究の発展と影響について語った。

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東西問 |トルコ人中国研究家エユップ氏 現代中国を理解するには、伝統的な中国文化に依拠すべきだ

中国の伝統文化への愛は、エユップ氏が中国学に深く傾倒する最大の動機の一つであった。 第二次世界大戦後、ジョン・フェアバンク氏をはじめとする中国研究家たちが伝統的な中国学研究から現代中国研究への転換を提唱し、米国における現在の「中国学」の研究も現代中国により注目している。

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「新たな広東をつくり出す」、中国にとっての意義(1)~広東省社会科学院・王廷恵院長

中国の旧正月明け7日、広東省で開催された新春最初の会合「広東省、質の高い発展大会」が国内外から注目を集めた。
大会ではどのような重要なシグナルを発したのか。「新たな広東省をつくり出す」という目標をどのように実現するのか。中国式現代化を広東省が模索する意義はどこにあるのか。広東省の質の高い発展推進は世界経済にどのような新たなチャンスをもたらすのか--これらについて、中国新聞社は広東省社会科学院の王廷恵院長にインタビューした。

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中国映画は中国文化や中国そのものを理解してもらうための貴重な媒体―専門家が紹介

中国の映画界は、中国の作品が世界でより広く受け入れられるよう努力をしている。開放的なことばの選択や、国際的な視点を持ち、中国の文化発信の弱さを克服しようとしている。中国の映画人は他者との「和合の知恵」を映画作品に込め、映画を媒介として東西の対話を強化し、外国の観客が中国文化をよりよく理解することを助けようとしている。

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東西問|新疆の人権状況について最も発言権を有するのは誰か

以前から、欧米諸国は、新疆関連の問題を誇張し、「強制労働」「強制的な土地移転」「文化的侵略」などを中心に一連の新疆関連の嘘をでっち上げてきた。新疆の人権に関する成果を中傷している。新疆ウイグルの自治区の人権状況については、新疆の人々が最もよく知っており、最も発言権も有している。

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中国の特色ある現代的資本市場、その「特色」はどこにあるのか?

政府の行為の主な目的は、市場メカニズムの欠陥を補い、市場の機能不全の問題を解決することあるという点である。決して、市場メカニズムの正常な運営を代替したり妨害したりすべきではない。中央の集中・統一指導を強化し、政府の行為を制約する法律・法規体系を確立・健全化することで、政府と市場の関係を整理し、各種市場主体の利益を適切に保護し、金融商品とサービスの刷新を奨励し、資本市場の実体経済に対する支援機能を強化し続けなければならないのである。

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東西貿易を切り開いた中国の帆船

――上海中国航海博物館 副研究館員・葉衝氏インタビュー 中国は世界で最も古い造船の歴史を持つ国の1つである。広大な国土を有する古代中国はなぜ帆船建造に精通していたのだろうか。先進的な造船技術はどのようにして中国の海洋文明を支え、人類の「グローバル化」のプロセスを牽引してきたのだろうか。中国初の国家級航海博物館である、上海中国航海博物館・副研究館員の葉衝(イエ・チョン)氏にお話をうかがった。 文/樊中華 写真編集/張興竜 翻訳/及川佳織 記者:中国の伝統的な木造帆船は何種類ありますか。西洋のものと比較して、どんな特徴がありますか。 葉衝:中国は広く、水系が豊かな上、長い歴史において様々な帆船が発達したため、具体的な数の統計は困難です。19世紀前半から20世紀半ばに かけて、外国人や機関が沿海部と長江流域でおこなった調査によると、帆船の種類は一千種以上でした。しかし、これはすべてを網羅しておらず、しかも調査時にはすでに伝統的な帆船の最盛期は過ぎていました。  中国式帆船の特徴は第1に、設計と建造に独創性があることです。西洋の帆船はフレーム構造ですが、中国式は独特の横隔壁構造で、設計の発想がまったく違います。  第2に、中国の帆船は柔軟性と実用性が高いことです。まず、中国帆船の横隔壁構造と水密隔壁は、船の構造上の強度と沈没防止性能を大きく高め、人と貨物の空間を分け、船体の形状線確定と、その後の建造をしやすくします。設計や建造は図面に頼る必要がなく、ポイントとなる横隔壁と主要部品間の長さの比率関係によって、段階的に計算して建造できます。次に、職人は経済力、積載貨物量、航行する水域といった船主のニーズに合わせて水密船倉の配置や数を自由に調整できるので、「一艘一設計」と言えます。さらに職人は、造船する土地の木材の条件によって、船の各部に合わせて使い分けることができます。このほか、西洋の帆船には前後を貫通する甲板が何層もありますが、中国の帆船は通常、主甲板だけで、そのほかに取り外し可能な平甲板を設置します。危険に遭遇したら、平甲板を外して救命道具にするのです。  中国式帆船の第3の大きな特徴は帆装です。西洋式の「軟帆」に対し、中国のものは「硬帆」「活帆」と呼ばれ、縦横の経脈のように、帆布に横桟(バッテン )を配置し、帆の周囲と内部に縄を縫い込んで帆筋とします。こうすることで帆が風を受けるエリアが増えて効率が高まり、穴がたくさん開いても使うことができます。西洋の帆は1つ穴が開けばすべてダメになってしまいます。  「活帆」の「活」とは、融通が利くことです。第1にマストを中心に八方から風を受け、ジグザグに船を走らせ(つまり、方向を調整して)、風向きが悪いときにも航行できます。これに対し西洋の帆船は逆風では操縦しにくいため、長い間、オールを併用していました。第2に、中国式の帆はそれ自身の重さですばやく取り込むことができ、西洋式より早くて便利です。海上で暴風を受けたときに帆を下ろすのが間に合わずに重大な事故に遭うことがなく、操縦者も少なくてすみます。 記者:中国は土地が広く、古代から農耕文明主体と考えられていました。なぜこのように先進的な造船技術を持つようになったのでしょう。 葉衝:春秋時代から、水上戦が戦闘用船舶の発展を促しました。戦闘用船舶の持つ突撃、遮蔽、輸送など細分化された機能により、船の種類は豊富になり、それが民間の船の基礎となりました。三国時代、呉政権は海路を使って東南アジアや朝鮮半島に進出し、台湾諸島を探索しました。木造帆船は大型化し、呉の船は長さ48mに達し、人は600~800人、貨物は500~700t載せることができました。東晋では水密隔壁技術が船の安全性を飛躍的に高め、唐では1000t積載できる大型船ができました。当時の外国商人には安全で快適な中国帆船に乗ることが人気であり、大型・多様・安全という優位性により、中国帆船は海洋航海で主導的地位を占めていたことが分かります。 記者:現在、造船の材料と動力システムは木造帆船とまったく違いますが、中国の帆船の技術はいまでも価値がありますか。 葉衝:もちろんあります。まず、中国式帆装はウォータースポーツにますます応用されるようになっています。西洋の船員や学者は中国帆装の長所を 項目余りにまとめています。イギリス中国式帆装協会は2019年に、世界の30の国と地域の船員や帆船愛好者が近代船や西洋船に中国式帆装を取り付けているとの統計を発表しました。  次に、将来の造船はますますスマート化や環境保護を追求するようになっており、新しい帆装の設計には風力が補助動力として利用されるでしょう。外観、材料、設計原理などは大きく変わりますが、「八方から風を受ける」という発想は、伝統的技術と切り離せません。  また、水密隔壁など船舶の安全に関わる設計技術は、現在でも世界の船舶にとって沈没を予防する重要な技術です。「海上における人命の安全のための国際条約」は、すべての船が安全基準に達した水密隔壁を備えるよう強く求めています。  このほか、遅くとも漢代には船尾舵が現れ、軸舵、昇降舵、釣合舵、穴あき舵などさまざまなタイプが生まれました。 世紀初め頃、西洋では方向の制御はオールに頼っており、技術の差によって航海の能力と範囲が大きく制限されていました。 世紀以降、西洋の船にやっと船尾舵がつき、改良を重ねて、いまではすべての遠洋航海船で使われています。 【プロフィール】 葉衝(イエ・チョン) 1983年生まれ、安徽省廬江出身。中国航海博物館副研究館員、収蔵品修復部副主任、船舶モデル研究センター主管。中国航海シンクタンク特約研究員、中国造船工程学会船史研究学術委員会高級会員。主な研究分野は船舶史、航海史、船舶モデル研究。「鄭和、西洋へ」、「中国航海史基礎資料考古学編」、『船舶モデル評価基準』、『中国木造帆船モデル製作・考証ガイドライン』などの課題と標準の研究に参加。

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中国と西洋の家庭観の違いとは

家庭は個人と社会の橋渡しをする社会の基本単位である。中国と西洋の家庭観は、社会環境や政治経済の条件が異なるため、同じところもあればそれぞれの特徴もある。中国と西洋の家庭観を知ることは、お互いの文化を学び、交流する助けになり、世界文明の共同発展を促進するだろう。 文/尼山世界儒学センター孟子研究院院長・研究員 陳暁霞 翻訳/及川佳織  中国も西洋も、家庭は幸福の実現を目的とし、家庭という細胞の健康を確保し、そのメンバーの生活を守る。家庭は、倫理の最小単位として「個人」間の関係、責任、愛を育てる上で重要な役割を果たしている。中国と西洋には共通した教育観があり、同じように子どもの社会性を育み、社会の適格な一員に育てている。  中国と西洋では家庭観に様々な違いがあるが、その根源、意味、類型、教育の重点などいくつかの面で比較してみたい。  中国では古代から集団としての家庭という考え方を重視し、そういった価値観を作ってきた。『周易・説卦』には、「乾は天なり。故に父と称す。坤は地なり。故に母と称す」とある。「天」と「地」は人類の父母であり、天下は一家である。『論語・顔淵』には、「四海の内は、皆兄弟なり」とある。孟子は「家族を愛するという此の心をとりあげて、広く世の中の人に施した。したがって恩愛の心を推し広めれば世界の人を安んずることができ、恩愛の心を推し広めなければ自分の妻子さえ、安んずることができない」と言う。中国は家族という集団を基本として重視し、個人を集団に溶け込ませ、個人と家庭・社会・国家の運命を一致させてきた。中国文化において、家庭は「生生」〔生きること〕の媒体であり、「一以貫之」〔貫かれる唯一の道理〕の本体であり、「配天祭祖」〔天祖先を祀る〕の基礎であり、「報本返新」〔本に報いて新へ帰る〕の始まりであり、宇宙の秩序と社会生活はみな家庭を巡って展開する。  西洋の地理や気候などの環境は、商業文明を栄えさせ、理性や勇気や独立した個性を育てた。彼らは個人の権力や財産所有権を重んじ、理性の価値を強調した。キリスト教において、イエス・キリストは、父母や兄弟姉妹を離れて主の懐に入り、信仰の共同体を作ろうと呼びかける。ロックによれば、子どもは神の生み出したもので、父母は子どもの保護者でしかない。西洋で確立された「個人−主体」という現代的哲学に基づき、個人主義は長く「個人」の自己実現に重きを置き、「個人」間の相互関係を軽視してきた。人の依存関係は弱まり、個人の理性と権力が一貫して強化された。  中国人は「利他の中で利己を実現する」という価値を目指してきた。家庭が人々の生活の中心であり、肉親の情や血縁が一番しっかりした社会的絆である。父母は子どもを養い、教育し、子どもは父母の面倒を見て、独特の「孝」という文化を創りだした。家族としての責任は自由より重んじられ、義務が権利より先に立ち、集団が個人より上にある。西洋社会は個人の自由、権利、尊厳を尊重し、愛欲、信仰の愛、友愛を重視し、家庭は個人を基本とし、「利己こそが利他」という価値観を守ってきた。西洋は個人の理性をより重視し、自身の価値を重視する。個人は家庭や社会の主人公であり、往々にして個人の利益が重要な要素となり、家庭は二次的なものとなる。   中国の家庭は父子文化であり、『易経・家人卦』には「家の中には威厳のある君主が居て、それは父母である。父は父らしく子は子らしく、兄は兄らしく弟は弟らしく、夫は夫らしく妻は妻らしく、各々その道を固く守れば、家の中は正しく治まる。先ず家の中をしっかり治めてこそ天下も治まる」と言う。家族はそれぞれの立場を守り責任を果たすべきなのである。男女間は婚姻を結び、家庭を作り、家庭の倫理を守る。夫婦は互いに敬い、夫はおだやかに、妻は優しく、それぞれ自分の権力を捨てて、調和のとれた統一を実現する。西洋の家庭は夫婦が中心であり、夫婦関係と男女の自然な情を重んじる。夫婦間の考えや感じ方を婚姻の目的とし、結婚は両性が幸せになる権利を行使するためのもので、家庭は完全に個人の問題であり、外部が干渉することを許さない。個人の自由と権利が家庭より高い地位にあり、夫婦がそれぞれ自由と平等の権利を享受することが主張されている。  子どもに対する中国の家庭教育の中心は「道」である。伝統的な家庭観では、世界は天、地、人の「三才」から成り、それがすべて「1つの世界」にある。「道は人から離れたところにあるのではない」、つまり道とは身近なところから探求するものであり、まずは夫婦、親子という家庭から始める。『周易』は「家を正しくして天下定まる」と言った。家道が正しければ、天下は安定する。孔子の庭訓〔家庭内での教育〕などは、家風を伝えるための手本である。家風は個人の運命を決定し、家の盛衰に影響を与える。西洋の家庭は知識の蓄積を重視し、子どもの興味と創造力を育てることが中心で、自然に対する子どもの好奇心や創造力を開発し、成長と愛を重視した教育をする。父母は励ましの言葉で子どもを褒め、激励し、コミュニケーションによって子どもの心理的欲求を探る。  つまり、中国の家庭は家族の調和をより強調し、西洋の家庭は個人の権利の保護をより強調する。「それぞれが理想を追求し、他人の理想を尊重し、理想を共有する」〔中国の著名な社会学者、費孝通の言葉〕。中国と西洋がそれぞれの文化において家庭観の違いがあることを理解したうえで、交流し、互いに学ぶことで、人類の共同発展を促進することができるだろう。 【プロフィール】 陳暁霞(チェン・シアオシア) 尼山世界儒学センター孟子研究院党委書記、院長、研究員。複数の大学で特任教授を務める。長年にわたり歴史文化、儒学発展史、文化産業の発展、青少年教育を研究し、特に儒家文化など伝統文化の新しい発展に功績がある。国家、省、市の社会科学プロジェクト20件以上を主宰。著書に『新時代の伝統文化の革新的発展研究』『社会道徳風潮研究——郷村振興戦略の視点から』『游学三孔』など8冊がある。