中国が歩む道、中国共産党への世界の理解を如何に促進するか?(1)~中国国家創新・発展戦略研究会の鄭必堅会長

最近、世界が注目する一連の中国外交活動が展開されている。中国で開催された影響力のあるオフライン国際会議、フォーラムでは、世界の激動・変革期における中国の平和的発展の新たな取り組みを世界に示し、中国と海外の対話促進のための新たな窓口を提供している。

鄭必堅氏が会長を務める中国国家創新・発展戦略研究会は広州市で「中国・ベイエリアを読み解く対話」と題する特別フォーラムを開催した。世界から政府要人や企業家、学者らを招き、中国、そして中国式現代化の意味や、中国の発展が世界にもたらす新たなチャンスを読み解いた。人類社会はかつてない試練に直面しているが、世界はどのように中国、そして中国共産党を理解するのか?中国の戦略的な平和発展路線が頓挫したり、停滞したりすることがないようにすることの世界的意義は何か?中国は世界の目をどのように見ているのか?中国に対する一部の誤解にどのように対応するのか?これらについて中国新聞社は鄭必堅会長にインタビューを行った。

中国新聞社:過去数年間、会長は各種国際イベントの開催や参加を通じて世界の対中理解を深めることに尽力してきた。また90歳を超えた高齢でも「中国・ベイエリアを読み解く対話」を企画・主催した。ここ数年、中国と中国共産党に対する外部の認識はどのような面で強化されたか。またどのような面で理解の余地があり、どのような面でこれまで誤解が存在しているのか?

鄭必堅:ここ数年来、中国と中国共産党に対する外部の認識はいくつかの面で増強された。例えば、中国の経済や科学技術の発展への理解が深まり、中国が世界第2位の経済大国で、世界最大の市場の一つになったと認識した人は増えている。中国の文化、歴史、社会の変遷に対しても理解が深まり、中国には悠久の文化的伝統と多元的な社会があるとの認識が強まった。これはポジティブな面である。


その一方で、中国、中国共産党に対する外部の「認識のずれ」は依然として存在する。これはネガティブなことだ。我々はこれを変える方法を見つける必要がある。情報源や政治的立場が異なるため、外の世界の中国に対する見方には相違や偏見がある。中国と中国共産党に対する認識にも誤解がある。例えば、中国の経済的台頭を脅威とみなす一方で、グローバル・ガバナンスにおける中国の積極的な役割を無視する人がいるようだ。また、中国の社会主義体制を権威主義とみなす一方、中国の改革開放の経過や40年以上にわたる急速な発展の成果を無視する人もいる。

しかし、今日存在する誤解、分断、特に文化的な分断の中には、逆に中国の立場や視点をより創造的に発展させることができるものもあると考えている。例えば、平和、発展、安全保障、ガバナンスなどの課題に直面する中、習近平国家主席は対立を克服し相互理解を促す「グローバル発展イニシアチブ」、「グローバル安全保障イニシアチブ」、「ブローバル文明イニシアチブ」を相次いで提唱した。これはグローバル・ガバナンスに対する中国の新たな貢献である。また、「理解できない」というのは、「理解したくない」のかもしれない。事実は雄弁よりも勝るが、事実が歪曲されているならば、雄弁もまた必要である。

中国新聞社:中国共産党は、長期にわたる模索、実践を経て、国民を中国の特色ある社会主義の道に導いてきた。中国は自国の制度を輸出するつもりはなく、自国の発展経験について他国が学ぶべき多くの選択肢を提供しているにすぎない。しかし、一部の国は中国が歩む道を懸念し、イデオロギー的な線を引いて中国を孤立させようとしている。この問題をどう考えるか?

鄭必堅:結局のところ、中国の台頭に対する一部の国の「懸念」は、国の利益、価値観の選択、考え方によって決まるもので、中国と世界が大きな変化を経て、新たな段階に入っていることを理解していないのではないことから生じるのではないか。近年、米国は中国と対立し、中国を封じ込めるために、いわゆるイデオロギーを利用して世界を二分し、対立を誘発している。またレッテルを貼って、中国の発展状況を歪曲し、世界を危険な状況に導いている。

実際のところ、各国は自国の歴史や文化に応じて、自国の国情に適した発展の道を歩むべきであり、自国の発展の道を判断する資格があるのは自国の国民だけであることを、歴史、現実、世界の経験は教えている。我々は、人類文明の有益な成果を積極的に学び、有益な提案や善意の批判を歓迎するが、「説教」のような口出しは決して受け入れない。

最終的には、外界がどれほど中国を懸念し孤立させようとも、我々は決意を堅持し、独自の道を歩み、改革と革新に依拠して一丸となって中華民族の偉大な復興という中国の夢を達成すべきである。


中国新聞社:毛沢東は中国の社会主義の段階の当初、「中国は大きく強い国に、そして人々が親しみやすい国になるだろう」と語った。また習近平総書記は、信頼され尊敬に値する中国のイメージ構築に向けた努力の必要性を強調している。中国は新たな発展を遂げ、世界に新たなチャンスを提供し続けているが、その過程で中国のイメージはどのように形成されるべきか?このプロセスにおいて、中国の伝統文化の再生と変革はどのような役割を果たすべきか?

鄭必堅:習近平総書記は、「わが国の発展の成果は非常に大きく、発展の勢いは非常に良好で、わが国は世界で数々の貢献をしてきた」と述べている。国際舞台で大国が行うべきは、時代の趨勢を的確に把握し、自ら問題を解決し、変化と逆境の中で責任ある大国の役割を果たすことである。そのためには、世界と運命共同体を築くという中国のビジョンと努力を十分に示す必要がある。例えば、中国は発展途上国として、カーボンニュートラル実現に向けたアクションプランや具体的な政策を策定・実施し、実際の行動によって人類を守っている。我々が語ってきたことは、直面している課題、それを克服するために行ってきた闘争によって中国国内で起こったこと、中国共産党が中国と世界のために行ってきたこを世界に理解させるものである。

一国の総合的な国力と国際的地位は、その国の歴史、文化と密接に関わっている。中国共産党第20回全国代表大会の報告では、「中国文化のスタンスを堅持することを強調。「中国の物語、中国の声を広め、信頼でき、愛すべき、尊敬に値する中国のイメージを提示する」ことを提案している。平和的台頭の道を歩む中国の自信、自意識の重要な源泉は、中国文明である。従って、我々は中国共産党、そして中華民族の伝統文明の物語を伝えなければならない。

目下人類は、貧富の差拡大、個人主義の過度の拡大、人間と自然との緊張関係の高まりなどの問題に直面している。これらの問題を解決するためには、人類の歴史に蓄積された知恵を活用する必要がある。人類が生み出したあらゆる思想、文化、豊かな知識を常に探求し、活用してこそ、世界、社会、そして自身をよりよく理解し、人類社会の未来をよりよく創造することができる。

習近平総書記は、中国共産党と世界の国々とのハイレベルな対話において、伝統に基づいて未来に向かう必要性を指摘している。また、文明の継承と刷新を重視し、各国の歴史、文化の現代的価値を十分に探求し、現代化の過程において各国の優れた伝統文化の創造的な転換と革新的な発展を促進することを共同で提唱すべきだとしている。例えば、中国の伝統文化の「天人合一」(天と人の心は通じ合っているという考え)や「和而不同」(人と協力はするが無闇に同調することはしない)といった考え方は、紛争解決のヒントを提供するものではないか。

鄭必堅氏プロフィール
1952年中国共産党入党、1954年中国人民大学卒業。中国共産党中央委員会文献研究室主任、中国社会科学院副院長、マルクス・レーニン主義研究所所長、中国共産党中央委員会宣伝部常務副部長、中国共産党中央委員会党学校常務副校長、中国改革開放フォーラム主席などを歴任。中国共産党第14、15期中央委員会委員、第10期中国人民政治協商会議常務委員。 現在は、中国共産党中央委員会党校学術委員会主任、中国科学院大学院人文科学研究院院長、中国人文科学フォーラム会長、中国国際戦略学会上級顧問、中国外交学会上級顧問、中国国家革新発展戦略学会会長などを務める。

You may also like...

Leave a Reply

Your email address will not be published.