「新たな広東をつくり出す」、中国にとっての意義(2)~広東省社会科学院・王廷恵院長
中国の旧正月明け7日、広東省で開催された新春最初の会合「広東省、質の高い発展大会」が国内外から注目を集めた。大会ではどのような重要なシグナルを発したのか。「新たな広東省をつくり出す」という目標をどのように実現するのか。中国式現代化を広東省が模索する意義はどこにあるのか。広東省の質の高い発展推進は世界経済にどのような新たなチャンスをもたらすのか--これらについて、中国新聞社は広東省社会科学院の王廷恵院長にインタビューした。
中国新聞社:かつて「東西南北中、富は広東に至る」という言葉が広東省に多くの人材や企業を呼び寄せた。広東省が一段の開放を進め、より多くの資本、企業、人材を呼び込むにはどのようにすべきか?
王廷恵:広東省は中国の大規模な市場の優位性を積極的に活用し、一段の開放を進める必要がある。
一方で、広東省は「一帯一路」構想やRCEP(『地域的な包括的経済連携協定』)の下、対外貿易を推進するとともに、外資やアウトソーシングを通じて海外との関係を強化。同時に、外国の知識など、外部からの要素を積極的に取り入れ、制度面の開放を拡大し、ビジネス環境の改革・刷新を推進。企業や人材誘致を促す必要がある。他方、国内外の市場、リソースを結び付け、より多くの資金の広東省への流入、より多くの企業の広東省への投資、より多くの人材の広東省への定着を図らなければならない。
中国新聞社:広東省は40年以上にわたり、国際社会が中国の改革開放を見る重要な窓口となってきた。広東省が質の高い発展で現代化の新たな飛躍を実現することは、中国にとってどのような意義があると思うか?
王廷恵:広東省は質の高い発展で現代化建設の新たな飛躍を実現し、社会主義現代化国家の全面的建設の新たな道のりにおいて全国の先頭に立ち、新たな輝かしい未来を創造するには、次の3つの面で実践と模索の意義がある:
一つ目は、国の現代化発展において、質の高い発展の道を模索すること。広東省は中国の中でも経済規模が大きく、人口が多い省だ。改革開放の先行優位性と質の高い発展の基礎的優位性を十分に活用し、質の高い発展を着実に推進し、中国式現代化に向けた広東独自の道を模索することは、全国の質の高い発展のモデルケースとなろう。
二つ目は、質の高い発展で現代化建設を推進する開放的な実践を模索すること。世界一流のベイエリアを築くという目標に向けて、広東省はより質の高い開放を全面的に拡大。開放を通じて成長のけん引役や成長方式を転換する必要がある。同時に、発展構造を最適化し、発展効率を高め、大湾区の開放・相互補完、イノベーションを通じて中国現代化建設を推進する必要がある。
三つ目は、中国の特色ある社会主義思想で質の高い発展の実践を模索すること。新時代の中国の特色のある社会主義思想の指導の下、広東省の改革・革新・発展を通じて世界に中国の特色のある社会主義の制度的優位性と革新の成果を示す必要がある。
中国新聞社:広東省を単独の経済体とすると、2022年の広東省のGDPは世界トップ10の経済体に入った。広東省が質の高い発展に向けた新たな道のりの中で、外資系企業、さらには世界経済にどのようなチャンスをもたらすか?
王廷恵:広東省は近年、「広東省の対外開放のさらなる拡大による外資積極導入の若干の政策措置」(「外資十条」)などの政策・措置を打ち出し、他の地方に先駆けて外商投資権益保護条例を公布。BASF、エクソンモービルなど多くの外資系企業による高品質の大型プロジェクトを誘致した。広東省の全面的で深い改革、全面的な開放の拡大、全面的なイノベーションの推進は、外資系企業にとってより多くの投資機会、より広い市場、より将来性のある発展のチャンスがあることを意味する。
まず、広東省は粤港澳大湾区の地域市場一体化建設の推進を加速し、市場化・法治化・国際化した一流のビジネス環境を最適化することで、外資企業の制度的取引コストをさらに引き下げ、法に基づき外商投資権益を保護し、外資系企業の投資の予測可能性と利便性を向上させることが必要だ。次に、広東省は外商投資分野をさらに開放し、制度面での開放を拡大し、国際的な影響力を持つ企業の誘致・投資受入プラットフォームを構築し、外資利用の質と水準を向上させることで、外資系企業の投資機会を大幅に拡大することができる。
王廷惠氏プロフィール:
広東省社会科学院党組副書記、院長。主に規制経済学、発展理論と政策、制度経済学などの分野の研究に従事している。2003年5月に中国共産党広州市委員会、広州市人民政府から「広州市労働模範」の称号を、2006年5月に中国共産党広東省委員会、広東省人民政府から「広東省労働模範」の称号をそれぞれ授与した。