中国のCPI、1月は前年同月比で2%台に加速も通年は抑制可能との見方
中国・国家統計局はこのほど、1月の消費者物価指数(CPI)を発表した。米国を中心にインフレ懸念がくすぶり続けているが、中国は他国に比べてインフレ圧力は大きくなく、制御可能とみる向きが多い。
1月の中国全体のCPIは前月比で0.8%上昇、前年同月比で2.1%上昇。前年同月比上昇率は12月の1.8%から拡大し、再び2%台に加速したが、市場予想はやや下回った。1月から2月にかけては例年、旧正月の時期の関係で振れやすくなり、今年は1月が旧正月だったためCPIは上振れしやすい状況だった。
品目別で上昇が目立ったのは野菜価格で、主にCPI押し上げ要因になった。一方、豚肉価格は下落し、野菜価格上昇の影響をある程度相殺した格好だ。
2月のCPIについては、1月に比べて鈍化するとの見方が大勢。前年2月は◇旧正月の関係で野菜価格の上昇率が高かったこと、◇原油価格が大幅に上昇したことーーなどで比較対象となる基数が高かった。このため、2月のCPI上昇率は「前年同月比で1.9%程度」と、1%台に鈍化すると予想されている。
■今年は景気回復期待もCPI上昇率は2%台に抑制か
今年通年でみた場合も、中国は他の国に比べてインフレ圧力は高くないとみられている。今年の中国経済は、昨年末にコロナの防疫措置が撤廃され、経済が正常化に向かう見込み。国際通貨基金(IMF)が1月に今年の中国の国内総生産(GDP)伸び率を5.2%に上方修正するなど、景気回復に期待が高まる。こうした中、旅行など個人消費も回復に向かうと予想されている。
ただ、CPIについては、前年のCPIの大きな押し上げ要因となった豚肉と原油の価格について、供給量の安定が見込まれることで上昇率が抑えられるとみられている。こうした点を踏まえると、全体としてCPI上昇率は高くても2%台にとどまると予想されている。