中国新興自動車メーカー、生き残りへ「年間販売台数のハードル高まる」との見方

中国で4月18日~27日の日程で開催されている「上海モーターショー」では中国の新興自動車メーカー、伝統的自動車メーカー傘下の新エネルギー車(NEV)メーカーがこぞって各社の製品を展示。展示品の約3分の2がNEVという。群雄割拠の様相を呈する中国のNEV市場。足元では価格競争が激化する中、モーターショーに参加している新興自動車メーカーの経営陣は、「今後生き残れるのは数社程度」になるとの見方を示す。同時に、現状世界トップ10のメーカーに入るには年間200万台の販売が必要だが、この販売台数の基準も引き上がると見方が出ている。

■混戦する中国のNEV市場
中国のNEV市場は、蔚来汽車(NIO)、理想汽車(Li Auto)、小鵬汽車(Xpeng Motors)、零跑科技(Leap Motor)などの新興自動車メーカーのほか、広汽埃安(CAG Aion)、极氪(ZEEKR)深藍(Deepal) などの伝統的自動車メーカーをバックに持つ企業があり、混戦状態にある。
各社新製品の投入が相次ぐ中、NEVの販売は拡大が続く。中国汽車工業協会によると、2023年1~3月の自動車生産、販売はそれぞれ前年同期比4.3%減の621万台、同6.7%減の607.6万台に縮小したが、NEVの生産・販売に限っては、それぞれ前年同期比27.7%増の165万台、同26.2%増の158.6万台に拡大。NEVの占める割合は26.1%に達した。
販売は伸びているが、NIOなど新興自動車メーカーはいずれも赤字が続いている。こうした中、足元では価格競争が激化し、体力勝負になっている面がある。

■競争激化で淘汰一段と
もともと中国の自動車市場は小規模メーカーが多く、一定数の企業が淘汰されてきた経緯がある。中国メディアによると、2017年に中国には約400社の自動車メーカーが存在していたが、一定規模の量を製造していたのは100社程度だったという。そして2022年。中国汽車工業協会によると、一定規模の販売があるのは50社余りになっている。
競争は今後も続くとみられる中、一つの節目は2025年になるとみる向きが多い。また、生き残るための年間販売台数のハードルも高くなるとの予想も出ている。
小鵬汽車の何小鵬CEOは、「25年末にはワールドカップのように、どの企業が『ベスト32』に進出できるかが明らかになる」と予想。さらにその5~10年後には「32社から8社」に絞り込まれるとみている。上位に入るには年間300万~500万台以上の販売が必要と想定している。
理想汽車の李想CEO氏は、「23年から25年までの3年間はEVメーカーの間でトーナメントが展開され、中国市場では25年の上位5社が、30年も上位5社として残る可能性が高い」とみる。
NIOの秦力洪総裁は、「25年まではスマート自動車業界に自動車以外の企業の参入も続くが、その頃には技術に関する多くの論争なども、決着するだろう」との見方を示している。
小米汽車の雷軍CEOは、EV市場が成熟化したら、「世界のトップ5ブランドが80%以上のシェアを占めるようになる」と予想。「つまり、成功する唯一の道は、トップ5の1社になること」という。そしてトップ5社に入るには年間1,000万台以上の販売が必要になるとみる。
零跑汽車の朱江明CEOも、生き残るための販売台数の条件が厳しくなるとの見方。「これまで、世界トップ10に入るには年間200万台以上の販売が必要だったが、将来は電動化コストの低下に伴い500万台の販売が必要になる」とみている。
中国の新興自動車メーカーは当初、「蔚小理」と呼ばれる3社が先行。だが、足元では3社のうち小鵬汽車の販売が低迷している。一方、零跑や哪吒といった新たな新興勢力が躍進するなど目まぐるしく変化している。変化に対応できる機動力と柔軟性が一段と求められている。

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