制作会社「歓娯影視」に聞く〜ドラマ制作に対する独自の美学〜
『瓔珞〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜』(以下、『瓔珞』)、『尚食~美味なる恋は紫禁城で~』(以下、『尚食』)など中国ドラマのヒット作は国内外で人気があり、常に「中国風ドラマ」ブームを巻き起こしている。これらの作品を生み出したのが、東陽歓娯影視文化有限公司である。同社にドラマ制作に対する独自の美学についてお話を伺った。
ドラマを通じて東方美学を世界に広める
中国の国内外で人気を集める作品を次々と世に送り出している東陽歓娯影視文化有限公司(以下、歓娯影視)は2012年に設立され、脚本の制作、ドラマへの投資・制作、国内外の配給、さらに芸能人エージェント及び宣伝までを一体化させた大手企業だ。
同社は脚本家や監督、俳優、プロデューサーなど豊富な人材資源を擁している。また、シュー・カイ(許凱)やバイ・ルー(白鹿)、ウー・ジンイェン(呉謹言)、ニエ・ユエン(聶遠)などを含む50人余りの人気芸能人が所属している。
中国で最も早くインターネット会社と協力してオンラインドラマを制作した同社は、最も早く「華流」の理念を打ち出して海外に進出した会社でもある。また、制作された60余りに及ぶドラマは20の言語に翻訳され、200ヶ国で放送されている。海外での放送量は累計30億回を超えるという。
中国の文化要素をドラマ作品の「衣食住行娯」に埋め込んでいるのが同社の特徴だ。その独特な東方美学を表現するドラマと優秀な人材チームによって、歓娯影視は独自のドラマ制作モデルを確立した。そして中国ドラマを広く世界に広めている。
ドラマを彩る文化
伝統工芸の刺繍や手織りの技を実現
『瓔珞<エイラク>』の中では昆曲、刺繍、絨花、緙糸(こくし、つづれ織)、花糸象嵌 、打樹花(溶けた金属を撒き火花を作り出す伝統行事)など数十種の無形文化遺産要素が表現されており、ドラマ作品そのものが無形文化遺産を広める重要な媒体となっている。全世界の視聴者が作品を通じて貴重な中国の伝統技術を知るようになった。
監修者と料理人が明代の料理を再現
『尚食(しょうしょく)』では全脚本と制作を通じて明史の専門家の指導のもとで時代考証をした。飲食部分においては最も精巧で最もリアルな美食を視聴者に見せるために、15人の常駐シェフを招いて制作に参加してもらい、また3人の有名な学者に全体にわたり指導を依頼したと言う。
京劇の演技やカトレフの射撃も徹底指導
北平(北京のこと)の梨園を巡って物語が展開し、京劇芸術の美学的気品を体現した『君、花海棠の紅にあらず』は、京劇芸術と物語を融合させ、戯曲の味わいによって再び中国国内に「中国風」ドラマの潮流を巻き起こした。