Category: 論説・主張

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世界で起こる「人とゾウの衝突」 解決のカギは

近年、生息地の縮小により、野生のゾウが森から人の住むエリアへ侵入し始め、「人とゾウの衝突」が増えている。これは、野生のゾウがいる国にとって問題であるだけでなく、世界が直面している生物多様性保護と経済・社会の発展との衝突の縮図でもある。8月12日「世界ゾウの日」に合わせ、中国国家林業・草原局アジアゾウ研究センターの陳飛(チェン・フェイ)主任と、世界的に有名なゾウ研究家である中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園大型獣類多様性・保護研究チームの アインサ・カンポス・アルセイズ研究員に解説をお願いした。 中国新聞社・記者/胡遠航 韓帥南 翻訳/及川佳織 記者:昨年、雲南省で野生のゾウ十数頭が北 上し、その後、南の生息地に戻るという出来事 が世界の注目を集め、多くの人が「人とゾウの 衝突」に関心を持ちました。「人とゾウの衝突」 が起こる原因は何でしょうか。また、どのよ うな影響がありますか。 陳飛:「人とゾウの衝突(Human-Elephant Conflict)」は、主にゾウの生息地の縮小と断片化の結果です。アジアゾウでもアフリカゾウでも、世界のゾウがいる地域ではこの問題が存在し、深刻な結果をもたらしています。 過去100年間、生息地の喪失、象牙の密猟、「人とゾウの衝突」などによって300万から500万頭いると見られていたアフリカゾウは47万から69万頭に、約10万頭いたアジアゾウは4万から5万頭に激減しました。また、人類は深刻な脅威と損失にも直面しており、インドやスリランカでは毎年100人以上がゾウによって死傷し、ケニアでは過去7年間に200人以上が亡くなっています。住民の財産も損害を受けています。小さな農家ではゾウによって1年分の生活費が奪われ、大きな農場では毎年巨額の損失があります。 アインサ・カンポス・アルセイズ(以下、アルセイズ):実は、人とゾウが同じ空の下にいて、同じ土地を共有していれば、気候や環境や文化がどうであっても、衝突を免れることはできません。「人とゾウの衝突」の本質は、人とゾウの資源争奪です。衝突は昔からありましたが、人類が占用する自然資源が増えるのに伴って、人為的要素が優位になってきました。自然の中で生きる環境が失われ、ゾウは直接人と衝突するようになったのです。 2022年7月31日、雲南省普洱市康平鎮で活動するアジアゾウを撮影した。撮影/李嘉嫻 記者:現在、野生のゾウのいる国ではどのような対策を採っていますか。その効果は上がっていますか。 陳飛:近年、アジアゾウ保護の意識が高まり、ゾウが人間を怖れなくなりました。頻繁に保護区を出て農作物を食べ、頭数も増えていることから、問題がより大きくなっています。海外では、ミツバチ、唐辛子、タバコなどの生物学的・物理学的・化学的威嚇剤を使い、ゾウを田畑や居住エリアから遠ざけていますが、多くの場合、こうした刺激的で対抗的な措置は、反対にゾウの攻撃性を高めてしまいます。ある国では、ゾウの好まない作物を植えるという耕作方式に変更して防御しています。同時に、問題を起こしたゾウに対する管理・抑制も重要です。マレーシアでは、深刻な問題を起こしたゾウを毎年別の森に移していますし、ケニアの野生動物保護管理部門は、現地住民と経済作物を守るため、問題のあるゾウを毎年50頭から120頭射殺しています。ネパール、インドネシアでは、移動用の通路を敷設することで、人とゾウが接触する機会を減らしています。総じて言えば、いまのところ「人とゾウの衝突」を完全に回避する方法はありません。 アルセイズ:地域環境や文化の影響によって、ゾウの行動にも違いがあり、これがゾウと人の関係を複雑にしています。例えば中国は人が多くゾウが少ないので、ゾウの生息地は断片化しており、その周囲はほとんどが人の使用する土地なので、人とゾウが遭遇しやすいのです。マレーシアは人が少なくゾウが多く、広大な土地がシュロの栽培に使われているので、ゾウの活動でシュロは破壊されますが、人と遭遇する可能性は低いのです。スリランカは人が多くゾウも多いので、衝突の可能性はかなり高いと言えます。現地の人はゾウを大切にしていますが、衝突が増えると、ゾウを狩る形で、被害を避けるしかありません。「人とゾウの衝突」の実態を語るときには、人の要因、ゾウの要因、環境の要因を考慮する必要があります。 雲南省普洱市康平鎮にある約167ha のアジアゾウ食料基地の空撮。ドローン撮影/李嘉嫻  現在世界的には、射殺によって衝突に対処するという過激な方法を採っているところもありますし、ゾウを驚かせて離れさせるという、さほど過激でない方式を採っているところもありますが、ゾウは人間が実質的な脅威を与えているのではないと気づくと、また戻ってきてしまいます。ある地域では、衝突のあった場所からゾウを別の場所に移していますが、通常、アジアゾウは元の生息地に戻ってきます。また、電気柵を発明して広く使用している地域もあり、これは効果を上げています。私たちには、根本的にゾウとの衝突をなくす方法はなく、受け入れられる程度にまで衝突を減らすことしかできません。 雲南省普洱市康平鎮に作られたゾウ監視塔。撮影/李嘉嫻 記者:昨年、雲南省のゾウが北上して世界の注目を集めましたが、多くの努力によってゾウは無事に戻りました。この事例から、どのような教訓が得られましたか。 陳飛:この成功例によって、人々のゾウに対する容認度が高まったことと同時に、食べ物による誘導や電気柵といったソフトな介入が衝突を減らすのに有効だということが分かりました。しかし大量の人員と物資、資金が投入されたことは間違いなく、長期的にできるものではありません。「人とゾウの衝突」を緩和する根本的方法は、ゾウのために適切な生息地を確立することです。面積、森林の質などの必要条件のほかに、ゾウが必要とする大量の食べ物と活動の範囲を考え、生息地の改造や建設を行い、緑の通路などで生息地をつなぐことが必要です。中国は国立公園の建設により、アジアゾウの生息地回復を模索しているところです。 雲南省シーサンパンナ国家級自然保護区管護局のスタッフがスマホアプリでアジアゾウの監視・警報システムの画面を見せてくれた。撮影/李嘉嫻 アルセイズ:「人とゾウの衝突」は漠然とした問題ではなく、具体的な問題です。雲南省のゾウの北上では、少なくとも3つの有益な経験が得られました。第1に、人々のゾウへの態度が「人とゾウの衝突」問題解決にとって非常に重要なことです。中国では政府も国民も、積極的にゾウを保護しており、これが今回の突発的事件解決のベースになっていました。第2に、より動的な見方でゾウ保護の問題に対処することです。アジアゾウの数は常に変化しており、群れの数が増えれば、ゾウは保護区に留まらず、出て行くでしょう。第3に、ゾウの群れは大きな範囲で移動し、都市部に近づいて、人の生活に問題を起こすことです。雲南省の事例では、被害に対する補償、事前警報、各部門の協力などでよい対応が実現できました。これらは、今後この問題を処理するための参考になります。 記者:世界の国立公園と比較して、中国が計画しているアジアゾウ国立公園はどのような違いがありますか。「人とゾウの衝突」解決に対して根本的な変化がありますか。 陳飛:中国の国立公園には、はっきりとした特色があります。  まず、より保護を重視しています。中国は国立公園を最も重要な自然保護区域に位置づけ、厳格・科学的で規範に沿った管理をおこない、本来の完全な生態系を保護することを重視しています。  次に、生態系建設を強化しています。中国政府は行政管理能力が高く、集団の意思を統一して実施できるという優位性を持っているため、エコロジーな文化を建設するという立場から、国立公園を主とした自然保護エリアを体系的に建設し、効果的・長期的メカニズムを構築できます。  さらに、生態環境保護とコミュニティ発展の融合を強調しています。アメリカ、カナダ、オーストラリアなどでは国立公園を建設する際、広大な荒野や人のいないエリアがあり、公園内の人口が少なく、コミュニティとの矛盾は多くありません。中国は人口が多く、公園内に住んでいる住民の一部を行政の指導で集住させますが、より多くは公園内の不規則な自然村に分布し、遊牧民の冬の住居や夏の牧場の一時的なテントなどもあり、「広範囲に分散し、集中の度合いは小さい」という特徴があります。これに対して、国立公園建設と保護においてはコミュニティや生活をより重視し、科学的な計画、合理的な区分けにより、個別の政策と管理を実施して、住民をパートナーと考え、「美しい生態、豊かな住民」を実現します。  現在計画中のアジアゾウ国立公園は、こうした特徴のほか、アジアゾウ保護について新しい方法を実現します。アジアゾウが集中している一部の農地を残し、作付けをして食料を補償します。ゾウの食物を供給し、群れを引きつけて森へ返し、生息を安定させて「人とゾウの衝突」を回避し、共存を実現します。  現在、人間の住むエリアへのゾウの侵入はこれまでにない規模になっており、従来の動物管理手法は限界を迎えています。「人とゾウの衝突」をどう解決するかは、人と動物の共存に関わるだけでなく、人類の智慧と勇気が試されているのです。喜ばしいことに、対処方法が行き詰まりを脱して徐々に多様化し、短期的対応から持続可能な発展へと考えが変わっています。人類が発展し、かつ野生動物の発展に対応するためには、こういう考えが必要なのです。総合的な保護理念を持ったアジアゾウ国立公園ができれば、地域の「人とゾウの衝突」に根本的な変化をもたらしうると信じます。 アルセイズ:アジアゾウ国立公園建設の目的は、まず熱帯雨林の保護、次にアジアゾウの保護です。従来の自然保護区と比べ、この公園は、より人為的要素に関わります。多くの資源を統合し、管理も体系的なものになるでしょう。アメリカにできた世界初の国立公園 は、大部分に人が住んでおらず、公園内での人の活動は限定的でした。アジアゾウ国立公園は全く新しい方式を採用します。「人とゾウの衝突」、さらには人と自然との関係について、多くの経験を蓄積できるでしょう。 【写真キャプション】 陳飛:国家林業・草原局アジアゾウ研究センター主任。主にアジアゾウとその生息地、生物多様性の研究に携わる。 アルセイズ:アインサ・カンポス・アルセイズ(Ahimsa Campos-Arceiz、中国名・康牧颯)。スペイン国籍、中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園研究員。主にアジアの大型動物の生態と保護、種子散布、人類と野生動物の衝突、学際的保護科学および保護能力建設などの研究に携わる。

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増える極端気象、地球の「発熱」は抑えられるか

―― 国家気候センター・巣清塵主任インタビュー 今年の3月、熱波がインドとパキスタンを襲った。6月以降、アメリカでは高温が続き、9000万人に警報が出された。7月にヨーロッパ各地で気温が史上最高を記録し、ポルトガルでは一時47度に達した。中国では河川の増水期に南部各地で降水量が新記録を作り、北部では熱波で気温が40度以上になった。地球はどうなってしまったのか。なぜ世界で、これまでの観測値を超える豪雨や強風、 過酷な高温など局地的に大きな被害をもたらす極端気象が増え続けるのか。この問題について、国家気候センターの巣清塵(チャオ・チンチェン)主任に話を聞いた。 中国新聞社・記者/陳溯 翻訳/及川佳織 記者:今年、増水期になって南部を大雨が襲い、洪水被害が深刻です。最近になって、北部でも大雨が増え始めました。また、夏に広範囲で気温の高い日が続き、最高記録を作っています。こうした極端気象の原因は何ですか。近年、中国では極端気象が増えているのでしょうか。 巣清塵:中国の広い地域で6月以降、暖かい高気圧のために下降気流が発生し、雲が少なく晴れた日が増え、太陽が照りつけて気温が高い状態が続いています。また地球温暖化により、平均気温が上がっているため、気温の高い日が頻繁に発生しています。地球温暖化は大気環流、海洋や地表の状態を変え、間接的に世界の気温上昇に影響しています。  総じて言えば、今年の天気は異常です。華南の1回目の増水期は例年より16日早まって期間が長く、累計降水量も多く、雨の降り方も極端でした。福建省・広東省・広西チワン族自治区・海南省にある国立気象観測所の多くで、1日の降水量がその月の最高記録を突破しました。3月1日から7月31日の間、珠江流域では例年より86・4mmも多く雨が降ったのです。 記者:世界的にも今年の夏の北半球では極端な高温が多発しています。ヨーロッパやアメリカ西部は猛暑に見舞われ、一部では新記録を創りました。世界で極端気象が多発する原因は何ですか。気候の変化には、どのような特徴がありますか。 巣清塵:北半球の猛暑の多発の背景にあるのは地球温暖化ですが、6月以降の気温上昇の直接的原因は大気環流の異常です。  近年の極端気象の増加と温暖化には、密接な関係があります。温暖化によって世界の海と大気環流の状況が変わり、海と大気、陸と大気の相互作用が、局地的な気候にさらに影響を与えます。地球温暖化は気象システムの不安定性を加速させ、極端気象を発生させています。  地球温暖化によって極端気象や激甚化した気象が発生する確率や、その程度が高まっています。陸と海の極端な高温、大雨、干ばつと火災などが社会、生産、生活を破壊し、死傷者を出し、財産の損失を招いています。 2020年8月、カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアで山火事が多発。22件の火災で少なくとも4000ヘクタールが焼け、2万2000人以上が避難した。写真は、消火に当たる消防士が仲間とトランシーバーで話す様子。撮影/劉関関 記者:気候変動に対応するために、主な課題となるのは何ですか。人類はどのようにして気候変動に対応すべきですか。中国の関係各方面はどのような努力をしていますか。 巣清塵:気候変動への対応策を国レベルの計画に落とし込むには、まだ問題があります。国によって発展段階や状況が違い、直面する脅威も異なります。世界的な行動、政策、計画をそれぞれの国で実施するのは簡単ではありません。また、途上国が気候変動に対応するには多くの資金、技術、政策支援が必要です。「パリ協定」や「グラスゴー気候合意」 が結ばれ、この面では一定の進歩があったのですが、実際のニーズとはまだ差があります。 2022年4月、杭州西駅屋上の太陽光発電設備の空撮。杭州西駅の太陽光発電設備は1万5000m²、完成後の予想年平均発電量は 231万 kWh で、年に標準炭換算で830トン余りを節約し、二酸化炭素排出を2300トン余り削減できる。撮影/王剛   気候変動の二大対応策は軽減と適応で、両者を組み合わせることが必要で、どちらも欠かせません。軽減はエネルギー、工業、交通などの経済システムと生態系の長期にわたる調整によって、温室効果ガス排出を削減することです。適応はすでに発生した、または今後発生が予想される気候変動に対し、自然のシステムと人類のシステムとを調整して、気候変動が社会・経済の発展と生態系に与える悪影響を減らし、気候変動による、ある種のチャンスを十分に利用することです。  現在、世界は軽減を重視し、適応を軽視する傾向にあります。中国は一貫して軽減と適応の両方を重視し、気候変動に積極的に対応する国家戦略を採用しています。軽減については、「双炭〔カーボンピークアウトとカーボンニュートラル〕」を掲げ、産業構造とエネルギー構造の最適化により、二酸化炭素排出削減で大きな成果を上げています。2020年、中国の二酸化炭素排出は2015年から18・ 8%、2005年から48・4%減りました。世界に約束した40~45%減という目標以上の数値を達成したのです。エコロジーな低炭素型発展を推進し、新エネルギー車の生産・販売が世界トップになり、風力・太陽光発電設備の製造では世界一完備された産業チェーンを形成しています。適応については、今年6月、「国家気候変動適応戦略2035」を公布しました。これは気候変動適応政策に関して、世界の手本となる重要文書です。 【プロフィール】 巣清塵(チャオ・チンチェン) 国家気候センター主任、党委員会書記、研究員、理学博士。グローバル気候観測システム(GCOS)研究チーム共同主席、指導委員会委員。中国気象学会気候変動・低炭素経済委員会主任委員、中国気象学会気象経済委員会副主任など。研究分野は、気象システム分析と相互作用、気象リスク管理および気候変動政策。国家科学技術部重点研究計画、科技支援計画、中国クリーン発展基金、国と地方の発展・改革委員会、中国気象局、国際協力などのプロジェクト10件以上を主宰している。

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東西問|李庚香 黄河文明はなぜ唯一無二なのか

2023年2月1日 出典 中国新聞網 執筆者 李庚香氏(中国河南省社会科学界連合会会長、研究員、博士) 黄河は中華民族の母なる川である。新しい形の人類文明の創造という視点に立つと、中国文明が「河図洛書」から「礼楽文明」そして「礼法文明」へ連続性と紆余曲折(転換、移動、変化を含む)というプロセスを経たことを黄河文化、黄河文明から読み取ることができる。 黄河文化から黄河文明への飛躍をどう認識するのか 『漢書・溝洫志』には「中国の河川は数百あるが、四瀆(黄河、済水、淮河、長江)ほど目立つものはなく、その中でも黄河が宗主である」とある。水は生命の源であり、川は文明の母であり、川の特性は文明の特性を形成する。「四大古代文明」である古代メソポタミア文明、古代エジプト文明、古代インダス文明、中国文明は、それぞれチグリス・ユーフラテス川、ナイル川、インダス川、黄河によって生まれはぐくまれた。 文明が始まって以来、夏から北宋に至るまで、多くの王朝が黄河流域に都を築いてきた。古代から現代まで、黄河流域は長い間中華民族の政治、経済および文化の中心地であった。黄河を国運、国家の命脈という観点から見ると、中華民族の命運が黄河の栄枯盛衰と密接に関係しており、過去・現在・未来を完全に理解することによって初めて中華民族にとって黄河が持つ独特で特徴的な意味を深く理解することができるのである。 歴史発展の長い流れの中で、黄河流域において東西の文化が交流、融合し、多民族が長期にわたって融合発展する中華民族を形成しはぐくんだ。それは、「すべての姓は同根、すべての氏族は同源」という民族文化的アイデンティティと、大団結を尊ぶ社会意識の主流を形成し、「和を尊ぶ」「大同を求む」という中華民族独自の精神的アイデンティティを明示するとともに、中華民族の深い文化的遺伝子を蓄積し、中国の子どもたちの文化的自信の現れを示すものである。 2022年4月3日(旧暦3月3日)壬寅年に黄帝の故郷の河南省新鄭市での祖先崇拝の儀式=韓章雲撮影 異なる黄河の文化体系をどう認識するか 中原文化や河洛文化は地域文化であり、黄河文化は流域文化である。しかし、中華民族にとって黄河文化は、流域文化であるばかりでなく、民族文化および国家文化でもある。黄河文化体系については、歴史的進化の次元、地域的調和の次元、地勢的な次元、制度および法的な次元、人文思想の次元という5つの側面から理解する必要がある。 黄河文化体系は、時間的、空間的に生み出された思想、制度、モノであると言える。言うまでもなく、この複雑な文化体系は、複雑な「凝集」と「輻射」というプロセスを経ている。以天為則(天をもって則となす)、以民為本(民をもって本となす)、以史為鑒(史をもって鏡となす)、以文載道(文をもって道を記す)を含む凝集のプロセスは、礼楽文明から礼法文明への価値変遷のプロセスである。輻射のプロセスは、以文化人(文をもって人を化す)、以理服人(理をもって人を服す)、以情動人(情をもって人を動かす)、以美育人(美をもって人を育む)ことであり、中原から中部へ、中部から中華へ、中華から中国へと空間的に展開されるプロセスを体現することである。 黄河文化体系は、羲皇、炎帝、黄帝を起点とし、長安―洛陽―開封を軸とする。その連続性と紆余曲折を経た進化発展の過程には、礎の一万年前、始動の八千年前、加速の六千年前、進出の五千年前、過渡的な四千年前、強化の三千年前、転換の二千年前、移動の千年前、変化の二百年前という段階があるということができる。 山西省永済市の凍った黄河河床の航空写真=宝成撮影 複雑な黄河文明体系をどのように理解するのか 黄河文明は中国文明の骨格であり主体である。早期の中国が集落から国家へ、統一された多民族国家が世界へ、滅亡の危機から再生へ変化する中国、勃興から復興へ革新する中国の全過程を記録したものである。その最大かつ最も本質的な特徴は、「断裂していない」ことであり、世界文明史上において類を見ないことである。 黄河文明は、中国文明の複雑な構造を体現しており、中華民族の動力源である。中国文明の複雑な構造を新たに分析するためには、黄河文明体系を認識し、理解するための思考の枠組みを確立することが必要である。そのためには、文明に対する理解を体系的に系統化し、黄河文明に関する多次元的かつ大規模な体系的研究の強化が必要である。ここでは、黄河文化の「根、源、幹、魂、家」という位置づけを重点的に把握しなければならない。 根には祖先、同族、ルーツが含まれる。源には地球の起源、生物の起源、人類の起源が含まれ、さらに農業の起源、文化の起源、文明の起源および国家の起源が含まれる。中国文明を大樹に例えるなら、根と魂である黄河文化は、主体であり幹である。いわゆる家は、発祥の地、中核地、ハブを指し、精神的な家、心の故郷という意味でもある。 黄河文化は強い結束力と求心力を持つ。特に天下為公(天下をもって公となす)、天人合一(てんじんごういつ)、為政以徳(政をなすには徳をもってする)、民為邦本(民は邦の本をなす)、任人唯賢(任命は唯才覚に由る)、革故鼎新(故きを革め新しきを鼎る)、自強自息(自勉して息まず)、厚徳載物(こうとくさいぶつ)、講信修睦(信を講じ睦を修める)、親仁善隣(仁に親しみ隣に善くする)等の中国文化の十大遺伝子を有している。中華民族の五千年にわたる深遠な思想創造を支えているのは、こうした思想の本質である。 2014年7月、デンマーク、スペイン、ベルギー、米国、カナダなどから「ルーツを探す旅」に参加した100人の中国系の教師と学生が黄河壺口瀑布(陝西省延安市)を訪れた=張遠撮影 黄河文明と世界文明との交流・相互学習をどう理解するのか 新時代、黄河文明と世界文明の交流と相互学習を実現するためには、中華民族共同体の建設と人類運命共同体の建設を一致させ、中華民族の現代文明を築き、和して同ぜず、多文化共生のすばらしい世界を築く必要がある。 大禹の治水以来、中華民族は偉大な河川文明を形成し、四大古代文明の中で重要な位置を占めている。秦・漢から明・清にかけて、黄河流域では農耕文明を主体に、遊牧文明、海洋文明(海あり洋なし)などの地域横断的な多文化共生の状況が形成された。上古の時代から、夏・殷・周の文化と西アジアとの交流、後漢時代以降の中国とインド文化の交流、さらには鄭和の西域訪問など、黄河文明は常に世界の文明と好循環を続けてきたのである。 山西省臨猗県の黄河に架かる橋の建設が本格化=姜華撮影 黄河文明の五千年の歴史と西欧列強が台頭した五百年の歴史を比較すると、「生産の社会化」が黄河文明の新しい発展の基礎とならなければならないことがわかる。そのためには、新時代の黄河文明を新しい発展パターンに統合する必要がある。このため、新時代の黄河学の建設は、核心価値を使って人々の心を一つにし、力を集めるだけでなく、共通価値を使って各国の人々がお互いを知ることを促進し、個人の価値と核心価値、核心価値と共通価値の二重サイクルを実現するために努力することが必要である。同時に、世界文明の多様性を尊重し、文明の交流で文明の壁を越え、文明の相互評価で文明の衝突を越え、文明の共存で文明の優劣を越え、「歴史終結論」「文明衝突論」「普遍的価値論」「西欧優越論」を効果的に分析し、世界の諸問題に取り組み、百年に一度の大きな変化の世紀の中で黄河から始まる世界文明史を書き記す。(完) 執筆者李庚香氏プロフィール 中国河南省社会科学界連合会会長、研究員、博士。主にリーダーシップ、中国式現代化および人類文明の新形態についての研究に従事。 責任編集:黄鈺涵

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東西問|陳梅 華僑・華人が春節文化を海外に広める「セルフメディア」なった理由

2023年1月28日 出典 中国新聞網 米国ニューヨーク華人総会会長陳梅氏独占インタビュー 中新社記者 羅海兵 春聯を書いて、窓に飾る切り絵を作って、提灯を吊るして、花火を打ち上げる。世界各地で暮らす中国系住民である華僑・華人は、中国の伝統的な風習を守り続けている。米国で長い歴史を有する月刊誌『ハーパーズ・マガジン』には、1880年から在米中国系住民が、爆竹を鳴らし、正月用品を買い、色とりどりの提灯をぶら下げて春節を祝っている様子が掲載されている。 華僑・華人は、春節の伝統を受け継ぎながら、春節を中国と海外の文化交流のためのユニークな伝達手段にしているのである。春節民俗文化フェスティバルを5回にわたって開催してきたニューヨーク華人総会の陳梅会長が、中新社の「東西問」の独占インタビューに応じた。華僑・華人は、海外で春節文化を伝えるための「セルフメディア」であり、中国の長い歴史と奥深い中国文化を広め、紹介するだけではなく、次世代の中国系住民にも中国文化を楽しく理解し、知ってもらい、好きになってもらうためのものだと語った。 中新社記者:2023年1月15日に開催される米国ニューヨーク華人総会の「ニューヨーク華僑・華人兎年春節民俗文化フェスティバル」とはどのようなものですか。この日は中国南部地方で「小年」(旧暦12月24日、かまどの神様を祀る日)と呼ばれていますが、なぜこの日にイベントを開催することにしたのですか。 陳梅:「ニューヨーク華僑・華人春節民俗文化フェスティバル」は2015年の初開催以来、5年連続で開催され、華僑・華人や地域の他民族に人気のあるイベントとなっています。その後、コロナウイルス感染拡大のため、2年間中止になりました。今年は対面で春節民俗文化フェスティバルを開催しました。 今年のイベント内容は多彩で、春聯を書く、年画を描く、切り絵など伝統的なものばかりでなく、子どもたちの喜ぶバルーンアート、フェイスペイント、飴細工や子どもたちの漢字理解に役立つ灯篭に書かれた謎解きなどがあります。そのほかに京劇、太極拳、武術、民俗舞踊、子どもたちによる豪華絢爛な民族衣装のファッションショーや米中音楽家協会の有名歌手によるプロの歌唱などの素晴らしい文化公演も行われます。出演者の年齢は9歳から85歳までと幅広く、私たちが提唱している「すべての人が春節を祝い、家中で喜びを分かち合う」というビジョンに沿ったものです。 今年の1月15日は、中国南部で「小年」と呼ばれている日ですが、米国に住む中国系の家族の多くは、多忙なスケジュールと祝日でないことから、「小年」に集まることができません。そこで「小年」当日に「春節民俗文化フェスティバル」を開催することにしました。いわば、海外の華僑・華人や次世代に、中国の伝統的な習慣である「小年」の起源と意味を紹介するとともに、春節民俗文化フェスティバルという形で、忙しい日々を過ごしている人たちが一堂に会するのです。 中新社記者:春節民俗文化フェスティバルを開催するそもそもの理由は何でしょうか。中国系コミュニティはどのように関わっているのですか。なぜ春節イベントに熱心に参加するのでしょうか。 米国ニューヨーク華人・華僑2023年第6回春節民俗文化フェスティバル=陳梅氏提供 陳梅:春節民俗文化フェスティバルは、中国文化を紹介する重要な場となっています。趣旨は各界で春節を祝うことで、中国の民間芸術、各地の風俗習慣や中華料理をテーマとしています。中国の悠久の歴史や奥深い中華民俗文化を、米国とニューヨークの主流社会、各界の人々、一般の人々に紹介するものです。これが春節民俗文化フェスティバルを毎年開催する目的とモチベーションになっており、子どもたちに喜んで知識を学び、中国文化を継承してもらいたいと考えています。2015年の初開催以来、第1回目はわずか10店舗だった出店が、2020年の第5回目には50店舗に拡大し、無料で楽しめる華やかな文化ショーも開催しています。これまで総会が開催してきた春節民俗文化フェスティバルには大勢の人々が来場しました。中国の民俗芸術体験、中華料理を味わう、中国伝統芸術の公演鑑賞だけでなく、春節の飾りとしてさまざまな民芸品を無料で持ち帰り、中国の「お正月の風情」を味わうことができるのです。 華僑・華人は外国にいても、文化的ルーツに対する感情は彼らの心に深く根付いており、伝統的な中国の行事に対する共通の思いを抱いているのです。春節の文化イベントに参加することは、新年の雰囲気を出して、望郷の思いを和らげるだけでなく、中国系の子孫に中国の伝統文化も体験させることができるのです。中国の春節といえば「再会」ですが、春節の文化イベントへの参加も海外の華僑・華人が一緒に新年を祝うシーンの一つなのです。 ニューヨーク華人・華僑春節民俗文化フェスティバルでの書道体験=陳梅氏提供 中新社記者:華僑・華人が守ってきた中国の春節の風習とはどのようなものですか。また、ローカライズされ新しく生み出されたものは何でしょうか。 陳梅:その歴史をたどると、海外で春節を祝うという伝統は、中国からの移民の足跡とともにありました。米国では、1850年代から60年代にかけてのゴールドラッシュと米国横断鉄道の完成を受け、初期の中国人労働者が米国西部から東海岸に移動しました。歴史資料には、1871年2月18日、これらの中国人労働者とその家族が米国東部で最初の春節の祝賀会を開催したことが詳細に記録されています。 春節は「Spring Festival」と訳されることが多いですが、実は海外では「Chinese New Year」と呼ばれる方が一般的です。それが「中国の旧正月」で、私たちが春節と呼んでいるもので、一般的に旧暦1月1日を指します。しかし、中国系の人々は海外でも中国国内と同じように大晦日、元旦、旧正月15日の三つの重要な日を含む形で春節を祝います。そして、春節の伝統をそのままに、春聯を貼り、提灯を掛け、花火を打ち上げます。大晦日の年越し料理には必ず餃子や餅を出し、旧正月15日には必ず元宵団子を食べます。春節の期間中には、親戚や友人同士が互いに訪問しあったり、子どもにお年玉をあげたりします。中国系のコミュニティーのイベントではドラゴンダンスや獅子舞のパフォーマンスなどがあります。 もちろん、春節にも、海外で現地に合わせた工夫がたくさんあります。例えば、米国の一部の大都市にあるチャイナタウンでは、旧正月のパレードなど、さまざまな形でお祝いをすることがあります。ヨーロッパの一部の国では、旧正月コンサートなどで祝われます。東南アジアの一部の国の中国系の家庭でも、新しい「お正月の味」として、南国風にアレンジした「正月の餅」が作られています。このように地域に合わせた革新の過程では、異なる文化や文明が融合し相互理解することができます。 米国ニューヨーク市ブライアント公園での獅子舞イベントで子どもたちと交流=廖攀撮影 中新社記者:春節をはじめとする海外で開催される伝統的な中国の行事には、地元の主流社会の参加はありますか。どれくらい参加しますか。 陳梅:実際、海外の春節は、チャイナタウンから徐々に外に出て、地元の主流社会の人々を巻き込んで、さまざまな形で祝われています。例えば、非常に有名なサンフランシスコの旧正月パレードは、初期のチャイナタウンで少数の中国人労働者が春節を祝うという伝統から、多民族で、中米の団体が密接なコラボレーションをして中国の伝統文化を紹介するものへと発展し、世界で最も有名な十大パレードに数えられています。ニューヨークのエンパイアステートビル、イギリスのロンドン・アイ、オーストラリアのシドニーオペラハウスなどのランドマークも、毎年春節を祝って赤くライトアップされます。 国や地域によっては、春節を国や地域の公式な祝日とするところもあります。中国の春節には、多くの国の政治指導者も新年の挨拶をします。 提灯で彩られた米国ニューヨーク市マンハッタンのチャイナタウン=廖攀撮影 中新社記者:華僑が受け継いできた中国の伝統的な行事や文化活動を、中国と海外の文化交流の手段にするにはどうしたらいいのか。 陳梅:ニューヨークには、中国からの移民、学生、労働者が何十万人も住んでいます。 佳節の季節になると家族に思いを馳せるものです。中秋節や旧正月など、いかにも中国らしい伝統的な行事も、現地の米国人の生活に徐々に溶け込んできています。ニューヨーク州では、春節にすべての生徒が家族と一緒に家で過ごすことを認め、欠席扱いにしないという法律が制定されたため、春節が中国の伝統的な祝日として一躍有名になりました。さまざまな大学、中学校、小学校が、学生に餃子の作り方を教えたり、春聯を書いたり、中国の民族舞踊を踊ったり、中国の民族楽器を使ったコンサートを開催したりするなど、春節を祝うイベントを開催します。時の流れとともに、このような祝賀イベントは自然と中米文化交流の媒体となりました。 世界の多文化主義が発展する中で、こうした中国の色鮮やかな行事の伝統は、地元の人々にとっても新鮮で、春節の活気や「お正月らしさ」に惹かれ、ひいては中国文化に興味を持つようになりました。そして、このような生き生きとしたシーンを通して、春節文化の精神的な核心をよりよく感じ取り、中国文化に埋め込まれた家族の概念と世界観、すなわち再会と調和の追求を読み取ることができるのです。 春節ムードにあふれた米国ニューヨーク市マンハッタンのチャイナタウンで上海料理を楽しむ人たち=廖攀撮影 中新社記者:海外の華僑・華人は春節の伝統を守りながら、春節の文化を伝え、広めるためにどのような役割を担っているのでしょうか。 陳梅:海外の華僑・華人自身が中国文化を伝え、春節の文化を海外に広める「セルフメディア」なのです。私たちは、中国の伝統文化を次世代、そして他の民族や社会の主流に継続的に紹介・敷衍することで、五千年の文明の歴史を持つ中国人が平和を望む民族であることを人々に思い出させるのです。何世代にもわたって、中国と米国の人々の友好を願い、世界平和と国家の繁栄のために橋をかけ、道を切り開いてきたのです(完) 陳梅氏プロフィール 米国ニューヨーク華人総会会長。2003年に設立されたニューヨーク華人総会(New...

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金文京:漢文はどのようにして東アジア世界文明交流の橋渡しになったのか?|東西問

東アジアの漢字文化圏の交流は二千年以上の歴史があり、中断することがなかった。世界各地の文化交流史においてもまれなことである。現在の世界が学ぶことのできるところもある。例えば交流を通じて共通の理解を達成する方法、危機を回避する方策などである。

変化する世界情勢下、香港の国際金融センターの競争力をどう維持?-香港金融管理局初代総裁の任志剛氏 0

変化する世界情勢下、香港の国際金融センターの競争力をどう維持?-香港金融管理局初代総裁の任志剛氏

「一国二制度」の下、香港は中国本土と密接につながっているだけでなく、世界と広くつながっている。世界で最も自由な経済都市と呼ばれる香港は、長年にわたり本土と海外の資金融通の重要な橋渡し役を演じてきた。また安定した金融システムや法体系といった独自の優位性により、世界トップの国際金融センターに成長した。

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中国の「いま」をリアルタイムでお届け。中国のトレンドやライフスタイルに特化したメディア「SheChina」の運営を開始!

「SheChina」URL:https://shechina.jp/ SheChinaは、今までになかった「中国に特化した」WEBメディアです。中国の最新トレンドをチェックしたいという方はもちろん、これから中国への進出を考えている企業担当者の方にも有用な情報を多数掲載します。 【発信予定の情報】・中国本土のトレンド情報・越境EC/輸出に関する情報・中国版インフルエンサー「KOL」の情報・中国のアプリやSNSのトレンド・中国で人気のエステや化粧品など、美容トレンド情報・日本で暮らす中国人女性や中国で暮らす日本人女性のライフスタイル・イベントレポート など、中国のトレンド情報を網羅 「SheChina」コンセプト 新型コロナウイルスの影響で日本ー中国間の渡航は大きく制限されました。これまで気軽に往来していた人たちも、国内に滞在せざるを得ない状況が長らく続いています。そのような状況下でも、中国に関するリアルな情報を届けたいという思いから、「SheChina」が生まれました。 トレンドは日々めまぐるしく変化し続けています。最新情報をお届けするためには、現地の生の声を拾うことが必要不可欠です。 「SheChina」では、在日中国人が多数属するコミュニティや、KOLと呼ばれる中国人インフルエンサーから、最新のトレンド情報や口コミをピックアップ。マーケティングレポートだけでは分からない中国のリアルな肌感覚をお伝えします。

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中外対話|米国はなぜ「小さい勢力圏」をつくることに熱心なのか

世界中の何十億人という人の生活を向上させてきたグローバル化は、本当に終焉を迎えるのか。世界情勢に影響を与える中米関係の今後の見通しとは。中新社の「東西問 中外対話」では、米国ワシントンのシンクタンクのグローバル安全保障分析研究所共同所長であり米国エネルギー安全保障評議会上級顧問であるガル・ルフト(Dr. Gal Luft)氏を招き、中国人民大学国際関係学院副院長兼教授の翟東昇氏、中国国務院発展研究センター世界発展研究所元副所長で研究員の丁一凡氏と座談会を行った。

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30年前の「九二共識」はどのように成立したのか

「正直なところ、当時私たちには、欧米のような「世論戦」に対処した経験がまだなく、正確さだけを考えて書きました。当時、私自身は少なくとも、どんな風に印象的に書こうかなんて考えませんでした」と海峡両岸関係協会副会長で中国国務院台湾事務弁公室元副主任の孫亜夫氏が述べた。