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「世界一の人口大国」の肩書喪失、中国は懸念する必要があるのか?~中国社会科学院国家高級シンクタンク首席専門家・蔡昉氏

国連の世界人口推計によると、今年4月、インドが人口で世界トップとなった。一方、中国は人口が減少に転じた。
中国の人口発展は新たな局面に直面している。中国社会科学院国家高級シンクタンク首席専門家の蔡氏は新著『人口マイナス成長時代:中国経済成長の試練とチャンス』の中で、人口の減少について改革のボーナスが生まれてくるチャンスでもあると指摘した。中国は「世界一の人口大国」の肩書を失うことを懸念する必要があるのか。中国はどのように巨大な規模の既存人口から経済成長の原動力を掘り起こし続けるのか。中国新聞社はこれについて蔡氏にインタビューした。

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中国、一線都市「北上広深」の人口、2022年はいずれもマイナスに

中国では、2022年末時点の一線都市と呼ばれる北京、上海、広州、深圳の4都市の常住人口がいずれも前年末比でマイナスになった。このうち、深圳は市創設以来、初めてのマイナスで、北京、上海、広州、深圳の人口がそろってマイナスとなったのは初めて。これは、一線都市の人口増加がすでに臨界点に達していることを示すもの。中国全体の人口が減少に転じる中、各都市がどのような人材誘致策を打ち出すのか課題になっているといえる。

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中国の都市別人口、流れに変化~22年の人口増トップは長沙

中国の都市別人口に変化が起きている。4月10日時点で2021年末時点の人口が1,000万人を超えた17都市のうち、13都市が2022年末時点の常住人口を発表。うち、前年末比で人口増加数がトップだったのは長沙だった。22年末の長沙の常住人口は1042.06万人。前年末比で18.1万人の増加だった。増加数2位は杭州の17.2万人、3位は西安の12.3万人で、いずれの中西部の都市となっている。

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中国、「25年までに人口は減少に転換」と当局が公式見解~産休・育休日数増加の動きも

中国・国家衛生健康委員会はこのほど、共産党理論誌「求是」に掲載した記事の中で、今後の人口動態について、第14次5カ年計画期間(2021~25年)の間にマイナス成長に入るとの予想を示した。中国メディアによると、人口が減少に転じる段階に突入すると政府が公式に見解を明示したのは、これが初めてという。人口減への対策が迫られる中、産休・育休の日数を増やす地方政府が増えている。 ■進む少子高齢化 中国の21年の出生人口は1,062万人、死亡人口は1,014万人で、全体の人口は48万人の純増だった。純増数は60年ぶりに過去最低を記録。00年までは純増数が1,000万人超、18年までは500万人超だった状況に比べて、純増数の縮小は鮮明となっている。 一方で高齢化は進展。21年に65歳以上の人口は初めて2億人を突破。人口全体に占める割合は14.2%に達した。足元の動向を鑑みると、人口が減少するのは早ければ今年、遅ければ来年か再来年との予想も出ている。 ■出生率低下、ここ数年顕著に 出生率は、1990年代には20‰(人口1,000人当たり出生数は20人)超だったが、その後は徐々に低下。特に、16年以降は低下ペースが加速し、16年の13.57‰から21年には7.52‰にまで下がり、統計の発表が始まって以降、過去最低を記録した。 なぜ16年を境に低下が顕著になったのか。一つ目の理由として挙げられるのは、16年に全面的な二人っ子政策が導入されたこと。これにより、16年に出生率は小さなピークを記録した。しかし、政策効果は長続きせず、16年のピークから反動減となった格好だ。二つ目の理由は、16年以降、住宅価格が1998年以来の最大の上昇局面になったこと。家計の支出が増える高い住宅価格が、出生を抑制する一因になったといえる。 ■出産意欲の低下が出生率の低下に拍車 無論、長期的な傾向として、出産適齢期に当たる女性の人口の縮小に加え、出産意欲が低下していることも、出生率を押し下げている。 2020年の出産適齢期(20~35歳)の女性の人口は2010年と比べて4,591万人減少。今後さらに減少するとみられている。さらに深刻なのは、出産意欲の低下が予想をはるかに上回るペースで進んでいることだ。 出産適齢期の女性の出産意欲は低下を続け、2021年の国家衛生健康委員会の調査によると、平均出産予定数は1.64人。17年の1.76人、19年の1.73人を下回った。特に、出産の主体となる「90後(90年代生まれ)」、「00後(00年代生まれ)」はそれぞれ1.54人、1.48人にとどまっている。 さらに、ここ数年は新型コロナウィルス感染症の流行など不確実性が増幅する中、結婚、出産計画を延期または棚上げする人が増えているという。 ■人口構造変化で課題も 若者が多く、高齢者が少ない「人口ボーナス」の段階から少子高齢化の進展で「人口オーナス」の段階に突入する中、人口構造は変化が生じている。 実際、若年層の人口は減少している。年代別の人口をみると、「80後(1980年代生まれ)」の人口は2億2,300万人、「90後(1990年代生まれ)」は1億6,700万人、「00後(2000年代生まれ)」は1億5,800万人、「10後(10代生まれ)」は1億6,800万人となっている。00後と10後の人口は、80後と90後に比べて6,000万人以上少なく、20後の人口はさらに減少するとみられている。 こうした人口構造の変化は様々な問題を生み出す。労働力供給に直接影響を与え、労働力不足、さらには経済成長の足かせになり得る。 年金問題も看過できない。中国の年金は賦課方式(現収現付方式)を採用しており、現役世代が払った年金は高齢者の老後に使われている。将来的に年金収支が不足すると、現役世代の年金はどうなるのか、課題となっている。 ■出産・育児休暇日数増加の動き 人口減を食い止めるべく対応が迫られる中、足元では出産休暇、育児休暇を増やす地方政府が増えている。人民日報によると、8月1日時点で30以上の省・市が出産休暇および育児休暇の日数を増加。北京や蘇州は出産休暇を従来の30日から60日に延長し、育児休暇と併せると98日までとしている。また、重慶の出産休暇は178日、青海は188日。陝西省は3人目の出産の場合は計350日の休暇を与えるという。 男性の育児休暇を増やす地方もある。広西は今年3月、条例を見直し、男性に出産前の検査付き添い時の休暇を増やしたほか、出産後の休暇は国の規定のほか、1人目は60日、2人目は70日、3人目は80日の育児休暇を追加している。 こうした動きについては「出産・育児休暇の増加だけで出産意欲の低下を食い止めることはできないが、政府が少子化問題を重視し、支援する姿勢を示しているもの」と受け止められている。今後は住宅価格や教育問題などを含め子供を産みやすい環境づくりにつながる少子化対策が講じられるのか、注目されよう。

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中国の21年の人口、16省で常住人口減少~都市部への人口集中など構造問題も

中国の31省・直轄市・自治区の人口統計が出そろった。2021年末時点で常住人口が前年末比で減少したのは16省・直轄市・自治区。増加したのは15省・直轄市・自治区。人口減の地域が増加の地域を上回った。人口減の地域が増えると同時に、都市部への人口集中など構造的な問題も垣間見られる。 ■中国全体の人口増は48万人 まず、中国全体の統計を確認する。21年末時点の人口は14億1,260万人。前年末からの増加数は48万人にとどまった。21年の人口の自然増加率※は0.34‰で、前年に比べて1.11ポイント低下した。国家統計局は人口増鈍化の要因について、出生数が減少しているためと説明。出生数減少の主な要因は2つあり、1つは出産適齢年齢人口の減少、もう1つは出生率の低下という。 ※自然増加率とは、一定期間(通常は1年間)の平均人口(または期中の人口)に対する人口の自然増加数(出生数から死亡数を引いたもの)の比率で、千分率で表される(自然増加率=出生率-死亡率)。 ■北部、中部、西北で人口減 地域別にみると、21年末の人口が減少した16省・直轄市・自治区は、黒竜江省、遼寧省、吉林省、河北省、甘粛省、内モンゴル、北京市、天津市、陝西省、山西省、江西省など。うち10省・直轄市・自治区で減少数が10万人を超えた。 減少数のトップ3は河南省、黒竜江省、雲南省で、それぞれ58万人減、46万人減、32万人減だった。遼寧省、吉林省、湖南省は、減少数がいずれも20万人を超過。人口が減少したのは主に東北、華北、西北、中部地区となっている。 このうち、東北は全国に先駆けて人口が減少し始めたエリア。20年以降、人口1,000人当たりの出生率は5人を割り込んでいる。東北は人口、特に若い人の流出が増加し、それに伴い出生数が低迷している。 このほか、戸籍人口が全国最多の河南省のほか、湖南省といった中部も人口減が目立つ。戸籍人口が全国最多で、常住人口が同3位の河南省の21年の出生数は80万人を割り込んだ。また、湖南省の21年の出生数は60万人を割り込んだ。 ■人口増は浙江省、広東省など経済をリードするエリア 一方、人口が増加した15省・直轄市をみると、増加数トップ5は浙江省、広東省、湖北省、江蘇省、福建省。この5省の21年の1人当たりGDPの全国順位は浙江省が5位、広東省が7位、湖北省が9位、江蘇省が3位、福建省が4位と、相対的に経済が発展しているエリアとなっている。湖北省以外の4省はいずれも東南沿海部に位置し、人口純増数の合計は186万1,000人に達した。 ■浙江省と広東省の人口増、要因は対照的 うち人口増が最多だったのは浙江省で72万人増。内訳をみると、出生数が44万9,000人、死亡者が38万4,000人で、自然増はわずか6万5,000人だった。一方、純流入人口は65万5,000人で、浙江省は流入者が人口増を支えている。 人口増で2位は広東省で60万人の増加。内訳は、自然増が57万1,900人、純流入人口は2万8,100人万人となっており、浙江省と対照的に、自然増が人口増に寄与している格好だ。広東省内の都市をみると、二大都市の深圳と広州はそれぞれ4万7,800人、7万300人の増加となった。 3位は湖北省。湖北省は20年は新型コロナウィルス流行の影響で一部の人が省から出てカウントされなかったが、コロナが落ち着き経済が回復するのに伴い、戻ってきた人が多かった。次いで4位の江蘇省は28万1,000人の増加、5位の福建省は26万人の増加だった。 ■省都に人口集中で都市間格差も 人口増の分布では、省都など経済規模が大きい一部の都市で人口増が集中している現象がみられる。例えば、陝西省では10市のうち、常住人口が増加したのは省都の西安のみ。銅川、宝鶏、延安、漢中など残りの9つの都市は減少となった。また、湖北省では省都の武漢市で増加したものの、他の都市の常住人口は減少した。江西省でも、省都の南昌市が増加した以外、他の都市は減少となっている。 一方、広東省など相対的に経済が発展している省は、常住人口が平均的に増加している。同省は仏山、広州、東莞、深圳、中山、江門、恵州、珠海、肇慶などでいずれも増加を記録している。 ■出生数は総じて減少傾向 21年の出生数に関するデータを発表したのは27省・直轄市・自治区。自然増加率をみると、黒竜江省、遼寧省、吉林省、重慶市、内蒙古自治区、湖南省、湖北省、上海市、江蘇省、河北省、山西省を含む11省・直轄市・自治区がマイナスとなっている。 うち、江蘇省は自然増加率がマイナス1.12‰。江蘇省の出生数は約47万9,800人にとどまり、統計が確認できる1978年以降で、初めて50万を割り込んだ。また湖南省は、出生数が過去60年で初めて50万人を下回った。 一方、出生数が最多だったのは、自然人口増が人口増に寄与した広東省。同省の出生数は118万3,100人、出生率は9.35‰、死亡数は61万1,200人で、死亡率は4.83‰、自然増は57万1,900万人で、自然増加率は4.52‰だった。 出生数が100万人を超えたのは広東省のみ。国家統計局によると、21年の全国の出生数が1,062万人だったため、広東省の出生数は全国の約11%を占めたことになる。 ■河南省などで出生数の減少際立つ 広東省と同様に1億人規模の人口を有する河南省と山東省は、出生数がそれぞれ79万3,000人、75万400人で、それぞれ2位、3位となった。ただ、前述の通り河南省は全体で人口が減少している地域。出生数は1978年以来で最低となり、同省の出生数は20年に100万人を、21年に80万人を割り込み、減少傾向にある。 河南省を含め、複数の省で21年の出生数が数十年ぶりの低さを記録した。江西省の出生数は前年比5万400人減少して40万人を下回った。40万人を下回るのは1950年以降で初めて。江西省統計局は出生数の減少の要因として、主に結婚・出産年齢の遅れ、「2人っ子政策」の効果の弱まりを挙げている。 ■都市部への人口集中、全体の人口減は今後も継続の見通し今後については、都市部への人口集中、全体的な出生数の減少といった構造は続くとの見方が大勢だ。こうした中、人口減が最多だった河南省は先ごろ「出産政策最適化を通じた人口の長期的なバランスのとれた発展促進に関する実施計画」を発表。出産の登記制度の改善などの施策を盛り込んだ。今後、急速な人口減を食い止めるとともに、地方都市の振興などによる人口分布の最適化を図ることができる。