中国の都市別人口、流れに変化~22年の人口増トップは長沙

中国の都市別人口に変化が起きている。4月10日時点で2021年末時点の人口が1,000万人を超えた17都市のうち、13都市が2022年末時点の常住人口を発表。うち、前年末比で人口増加数がトップだったのは長沙だった。22年末の長沙の常住人口は1042.06万人。前年末比で18.1万人の増加だった。増加数2位は杭州の17.2万人、3位は西安の12.3万人で、いずれの中西部の都市となっている。
人口1,000万人以上の都市で22年末時点の常住人口を公表していない都市には、広州、深圳、東莞が含まれる。ただ、コロナの影響で広東省の常住人口が22年末時点で前年末に比べて27.2万人減少したことを踏まえれば、長沙のトップはほぼ確実といえる。
2010年から2020年にかけては人口増加のトップは、広州、深圳、杭州などの沿海都市部が中心だった。しかし、21年にトップとなったのは武漢、22年は長沙。2年続けて中部の都市がトップに名を連ねた格好だ。

■21年に人口増トップの武漢、22年は人口数で天津追い抜く
21年に人口増がトップだった武漢市の22年末時点の常住人口は1,373.90万人。前年末に比べて9.01万人の増加で、増加数は21年(120.12万人)に比べて減少した。ただ、都市別人口数では天津を抜いて全国7位に順位を上げた。

■成都、北京との人口差縮小
西部の都市でも人口増が鮮明な都市がある。例えば成都。成都の22年末の常住人口は2,119.2万人。同じく、人口2,000万人以上の都市のうち、北京の同年の常住人口は2,188.6万人。成都と北京の差は57.5万人で、数年前の差(300万人以上)から大幅に縮小した。北京は人口抑制に動いており、常住人口は6年続けて減少。今後も北京との差は縮まり、今後数年で北京を追い抜くとみる向きもある。

■人口増が鮮明な都市は「省都」
人口増が鮮明な都市は共通点がある。それは省都であるということ。長沙は湖南省、武漢は湖北省、成都は四川省のそれぞれ省都。中でも長沙は、湖南省全体の人口が22年に18万人減少したのに対して、人口増で全国トップとなった。山東省、河南省も省全体では常住人口がマイナスとなったが、省都の済南市、鄭州市はプラスとなった。

■中西部への人口還流の背景
20年以降の人口の流れはコロナの影響という一時的な要因の影響が大きかったことは否定できないが、構造的にも中西部に人が流入する要因はある。
一つ目の要因は、産業の西への移動である。ここ数年、中西部では複数の省都が頭角を現し、新な製造業の中心になっている。市場調査会社の賽迪が発表した2022年全国製造業トップ100都市ランキングには、成都、武漢、合肥、西安、鄭州などの都市がトップ20に入った。
工業情報化部が発表した先進製造業クラスターランキングでも、成都、長沙、武漢、西安がランクイン。さらには株洲、徳陽といった地方都市も入っている。
「内陸復興」も中西部の人口増の要因の一つ。内陸部の復興で、高速道路や空港などのインフラ整備が進んでいる。また、インターネットに代表されるデジタル経済などの新型インフラの整備が、地域間の格差を是正した側面もある。
東部の沿海都市部に比べて発展が遅れていた中西部。一方、北京や上海では人口を抑制する政策を打ち出す中、今後の中国全体の人口動態がどのように変わるのか注視する必要がある。

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