中国、11月の自動車生産・販売は予想上回る好調~今年通年は過去最多更新も視野

中国の11月の自動車生産、販売実績は予想を上回る好調さだった。こうした中、今年の生産、販売台数は過去最多だった2017年の水準を上回る可能性も出ている。このほか、中国の自動車市場では今年、乗用車の中国ブランドのシェア拡大、新エネルギー車(NEV)の売れ行き車種の変化など構造的な変化も顕著となった。

 

■11月の生産台数は300万台を突破

中国汽車工業協会(CAAM)が12月11日発表した統計によると、11月の自動車生産台数は前年同期比29.4%増の309万3,000台、販売台数は27.4%増の297万台。「ダブル11」などのプロモーションなどが販売を押し上げた。

 

■通年は過去最多更新の可能性

11月の好調を受け、通年ベースで過去最多が視野に入ってきた。通年の生産、販売台数が過去最多だったのは2017年。生産台数は2,901万5,400台、販売台数は2,887万8,900台だった。

今年1~11月までの累計生産台数は前年同期比10%増の2,711万1,000台、販売台数は10.8%増2,693万8,000台。12月も年末商戦などで好調が続くと予想される中、12月の生産、販売台数が約300万台の水準を維持すれば、今年の中国自動車生産・販売台数は3,000万台の大台を超え、過去最多を更新することになる。

 

■中国ブランドのシェアが6割近くに

乗用車については、NEVの販売が増える中、NEVでリードする中国メーカーが躍進している。

乗用車の11月の生産台数は前年同月比25.6%増の270万5,000万台、販売台数は25.3%増260万4,000台。中国ブランドのシェアは59.7%に達した。

1~11月の累計ベースでは生産台数が前年同期比8%増2,341万1,000台、販売台数が9.3%増の2,327万2,000台。うち、中国ブランドの乗用車販売台数は前年同期比23.8%増の1,297万8,000台。市場シェアは55.8%で、前年同期比6.6ポイント拡大した。

通年の中国ブランドのシェアは2022年が40.9%。今年は50%を超え、通年では55%を超える見通し。

■NEV生産・販売が初めて単月100万台を突破

NEVの11月の生産台数は前年同月比39.2%増の107万4,000台、販売台数は30%増102万6,000万台で、ともに100万台を突破。NEVのシェアは34.5%となっている。

1~11月の累計のNEV生産台数は前年同期比34.5%増の842万6,000台、販売台数は36.7%増の830万4,000台で、シェアは30.8%となっている。

今年のNEV市場の特徴は、売れ行きが好調な価格帯の変化。従来は、小型の低価格帯、またはハイエンドの高価格帯の売れ行きが比較的好調で、凹型となっていた。しかし、NEVの車種が多様化する中、今年は超小型「A00級(ホイールベース 2400mm以下)」の販売が大きく落ち込んでいる。

1~11月のNEV販売台数を価格帯でみると、8万元以下が前年同期比で27.6%減の69万3,000台。一方、10万~25万元までの価格帯の販売は大幅に増加し、中でも15~20万元の価格帯は57.1%増の251万4,000台と、販売台数が最も多くなっている。

【1~11月、NEV価格帯別販売台数】

価格帯 販売台数(万台) 前年同期比増減率
8万元以下 69.3 -27.6%
8~10万元 38.0 27.4%
10~15万元 98.9 35.6%
15~20万元 251.4 57.1%
20~25万元 87.9 53.3%
25~30万元 36.0 0.5%
30~35万元 72.6 40.2%
35~40万元 99.6 107.2%
40~50万元 30.1 34.6%
50万元以上 8.2 49.0%

中国NEV販売、今年上期の販売台数に占める比率30%突破~売れ筋車種に変化

全国乗用車市場情報連合会(乗連会)は2024年のNEV市場について、シェアが40%に達すると予想する。ただ、需要サイドの構造変化の圧力にさらされる可能性があるとの見方を示している。中国の自動車市場のけん引役となったNEV。目まぐるしく変化する市場への対応力が問われている。

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