香港は国の発展戦略における優位性を如何に発揮させるのか?

 中国返還から25年、香港は世界が注目に値する成果を収めた。一方、数々の試練も経験してきた。では、未来の香港は何を拠り所に成り立ち、発展するのか。国家発展戦略の中での香港の独自の機能が残るのか、という点に関心が寄せられている。

 一、香港は中国と西洋の架け橋、窓口としての独特な戦略的役割を果たし、歴史的な要因、そして双方の現実的で客観的なニーズに支えられている

 1949年に新中国が成立して以降、中国本土では新民主主義制度を全面的に実施し始めるとともに、比較的短期間で社会主義制度に移行した。主要先進資本主義国の陣営はイデオロギー対立の必要性から、中国に対して戦略的封鎖措置をとり、英国当局の支配下にあった香港は、新民主主義制度または社会主義制度の中国本土と、資本主義制度の主要先進国グループとの間の架け橋、窓口としての戦略的役割を果たしてきた。

 中国と主要先進資本主義国家グループの間にはイデオロギー、社会制度の面での矛盾と相違、さらには対立関係が存在している。しかし、双方は交流や経済貿易活動を維持するために、このような架け橋、窓口を必要としている。したがって、香港という戦略的機能の存廃は、対立する双方がそれぞれの主観的意思だけで決めることができず、双方の客観的な利益によって決まるのである。いずれの側も客観的なニーズと法則に従って行動しなければ、国益にとってマイナスとなり、大きな利益を得る機会を失うことになる。

 香港のこの戦略的役割が中国、そして主要先進国グループに共通して必要とされているからこそ、冷戦時代において双方は暗黙の了解の下、香港に必要な政治的・制度的余地を残し、冷戦終結後に中英交渉を受けて共同声明を採択。中国が香港に対して主権を有することを確認した前提の下、「一国二制度」という平和的な方式で歴史的に残された香港問題を解決し、中国の香港に対する主権行使を回復し、引き続き香港がこの戦略的機能を維持、発揮できるようにした。中英双方は歴史、現実、客観的な利益などを尊重し、「実事求是(事実に基づいて真理を求める)」の態度を取ってこそ共通認識に達することができる。

1997年7月1日、香港返還カウントダウンが0分0秒になった瞬間に、北京天安門広場に集まって国旗、区旗を挙げて熱烈に歓呼する人たち=中新社 王瑶撮影

 二、制度上の矛盾や一部の国、政治家による反中行為が香港の戦略的機能を妨げることはできない

 香港では、米中摩擦の激化や中国の国家安全に危害を加える反中敵対勢力の活動によって「暴動」が発生した。中央政府の支援の下、香港政府は法に基づき断固たる措置をとり、「暴動」を抑え、社会秩序の回復に努めた。しかし、ビジネス界などからは香港の将来の見通しに対して懸念がくすぶるようになった。

 この問題を認識するには弁証法的態度をとるべきである。香港の「暴動」後、特に当面の国際政治の大きな背景を直視しなければならず、香港が社会主義制度を実行する中国本土と資本主義制度を実行する主要先進国グループとの間の架け橋、窓口という戦略的機能を引き続き発揮する上で、極めて大きな試練が生じている。香港が担う役割も時代に合わせて調整する必要がある。

きらびやかな香港国際金融センター(中央)と環球貿易広場(左)=中新社 張煒撮影

 その一方で、香港の戦略的機能のニーズに対して双方が対抗しているからこそ、客観的で現実性が強く、人の意志によらず、一方のイデオロギーや主観的な願望だけで存廃が決まるわけではないことも認識しておく必要がある。矛盾する双方の社会が発展すればするほど、実力の差が縮まり、香港のこの戦略的機能に対するニーズは、一過性ではなく長期的なもので、時代とともに進化しなければならない。この点は、香港が戦略的機能を発揮し続けることの根本的な要因である。

 一部の主要先進国が香港に対して制裁措置を取ることは、彼らの国益と関係国グループの共同利益を傷つけることにもなり、長期的には国家間グループの行動における共通認識を得ることが難しくなるだろう。資本主義国の陣営にとって、自国や国際資本グループの利益の最大化を追求する意志が、資本主義国の政府や一部の政治家の主観的な願望やイデオロギーだけで効果的に抑圧されることはあり得ない。逆に、資本家集団の根本的利益を損なう政治家、さらには政府や関連法制度については、資本家集団は資本主義民主制度と法治を駆使して調整する。そのため、米国と西洋の政治家たちは、政権の地位を失い、ひいては政治生命が終焉するリスクを冒してまで、勝ち目のない政治に賭けることはないことを理解している。

 三、「一国二制度」を全面的かつ正確に貫徹することは、香港の戦略的機能の発揮を保証するカギである

 今後、香港が社会主義制度を実行する中国本土と資本主義制度を実行する主要先進国グループとの架け橋、窓口の役割を果たすためには、結局のところ、中国本土の全体の発展が支えとなるだろう。中国本土が時代とともに発展し、発展の質を高めてこそ、主要先進国グループとの間に相対的に平等な協力、競争関係を維持するための力と条件を確保することができ、主要先進国グループは、自国の国益とグループの根本的利益のためにも、香港を中国本土との架け橋、窓口として長期にわたって維持し、利用せざるを得なくなる。また、イデオロギーや社会制度の違いや敵対という理由だけで、香港という戦略的機能を破壊する措置をとることはできないだろう。こうした措置は、彼らの国益、資本家集団の根本的な利益を損ねることになるためである。この点こそが、香港の未来の戦略的機能の発揮は一部の人の主観的な意思によるものではない理由である。改革開放の全面的深化を堅持し、「一国二制度」の内包を絶えず豊かにすることこそが、自身の発展のカギとなるのである。

2007年の香港金紫荆広場=中新社 任海霞撮影

 従って、「一国二制度」を全面的かつ正確に貫徹し、イデオロギーと制度の対立、対抗が存在する中国と主要先進国グループの双方が、香港を通じて合理的で十分、且つ持続可能な利益を得られるようにすれば、香港の架け橋、窓口の機能を根本的に保証することができる。客観的法則の本質を認識することは、われわれの自信を高めることにつながるのである。

陳欣新 中国社会科学院台湾香港澳门法研究中心主任、研究員

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