中国の経済成長率予想をIMFが下方修正~中央当局は相次ぎ景気下支え措置

中国では新型コロナウイルス感染拡大防止のための厳格な措置実施などを背景に景気の下押し圧力の強まりが懸念されている。こうした中、中国当局は景気下支えに向けた措置を相次いで打ち出している。

■IMFは今年のGDP成長率を4.4%に

中国経済を巡っては、国際通貨基金(IMF)が4月19日に発表した最新の世界経済見通しで、2022年の中国のGDP成長率を4.4%と予想。今年1月の予想から0.4ポイント引き下げた。23年のGDP成長率は5.1%とし、今年1月の予想から0.1ポイント下方修正した。IMFは中国経済について、感染力が強いコロナの変異株が出現する中、政府の「ゼロコロナ戦略」による厳格な防疫措置は個人消費に影響を与えるなどと指摘している。IMFのほか、UBSなど民間の機関も足元で中国の22年のGDP成長率予想を下方修正する動きが広がっている。

■人民銀行、コロナの影響が大きい業種を中心に金融支援

こうした中、中央の各当局は景気下支えの方針を打ち出している。中国人民銀行と外貨管理局は4月18日、『コロナ予防及び経済社会発展の金融サービス』に関する23条の措置を発表。その中で◆ホテル・飲食、卸売・小売、観光などコロナのマイナス影響が比較的大きい業種を金融機関が支えるよう促す、◆金融機関が運輸・物流企業やトラック運転手の資金需要に対応し、一時的に融資返済が難しい場合は返済期限の延期や借り換えの手配をするよう促す――などの方針を盛り込んだ。

■国家発展改革委員会、消費促進や企業救済を強化

国家発展改革委員会は4月19日、景気下支えに向けて(1)消費促進・投資拡大、(2)企業の救済強化、(3)民生支援、(4)商品価格の安定——を軸に進める方針を表明。(1)については、重点分野の消費拡大として、新エネルギー自動車消費の支援を続ける方針を示した。また、新型消費としてオンラインとオフライン融合の消費を促すとしている。

(2)では、工業経済の安定成長を促進する政策や、飲食や小売、観光などコロナの影響が比較的大きいサービス業の回復に向けた政策を進める方針を示した。(3)については、◆大卒者の就職・創業の支援、◆農民工の出稼ぎ労働や現地での就業促進、◆帰郷者による創業奨励——などを挙げている。(4)では、足元の地政学リスクの高まりによる商品価格の上昇を受け、商品価格の動向を密接にフォローし、適時に対処する方針を示した。

■国有資産監督管理委員会、中央企業の中小企業への支払延滞防止メカニズム構築

国有資産監督管理委員会は4月19日、◆中央企業による石炭、電気、石油・ガスなどの高品質な基礎サービスの提供を通じた中小企業の運営コスト引き下げを推進、◆中央企業によるハイエンド設備製造、新エネルギー、新素材などの戦略的新興産業の重点分野での投資拡大を促進、◆中央企業による中小企業への支払延滞防止の長期的なメカニズムを構築することで、中小企業、民営企業への未払金を最小化ーーなどに取り組むとしている。

■工業情報化部、上海に人員派遣で生産再開を指導

工業情報化部は4月19日、工業の安定成長、中小・零細企業の支援に関する政策を検討していると表明。また、既に上海に作業部会を派遣し、地方当局による工業企業のコロナ対策ガイドラインの実施を指導。重点企業の操業再開・生産再開を秩序正しく推進し、企業の物流輸送問題の解決に協力するよう促している。

You may also like...

Leave a Reply

Your email address will not be published.