米中首脳のオンライン会談巡り~王外相は中国側の立場改めて表明、新華社は3つの重要シグナル発信と分析

中国の習近平・国家主席と米国のバイデン大統領は3月18日、テレビ電話を通じてオンライン会談を実施した。米中首脳のオンライン会談後、王毅・外相は2日続けてロシア・ウクライナ情勢に対する中国の立場を改めて表明した。また、新華社はオンライン会談について、3つの重要なシグナルを発したと伝えている。


■王外相、平和の維持を主張
中国外交部のウェブサイトに掲載された文書によると3月19日、王毅・外相は国内メディアのインタビューで、米中首脳のオンライン会談で習近平・国家主席が重要なメッセージを発した点に言及。中国は常に世界の平和を守る力を維持しており、「平和を守り、戦争に反対することは一貫した外交政策である」と中国側の立場を改めて表明した。また、中国は引き続き理非曲直に基づき、客観的かつ公正な態度で、独立した自主的な判断を下すと言明。いかなる外部からの脅威や圧力も決して受け入れず、根拠のない指摘や憶測に反対すると述べている。


王毅・外相はまた、習近平・国家主席が米中首脳オンライン会談で提起した中国によるロシア・ウクライナ情勢の解決案を引用。「目下の課題は当事者間の対話、交渉を推進し、できるだけ早く停戦すること」と改めて強調した。また、長期的な視点では冷戦思考を捨て、持続可能な地域安全保障の枠組みを形成しなければならないと主張。そのうえで、中国側の立場は多くの国の願いと一致し、「中国の主張が歴史の正しい側に立っていることは、時間によって証明されるだろう」との見解を示した。


■対話、交渉の重要性を強調、「制裁は必ずしも問題解決ならず」
3月20日にはアルジェリア外相との会談後、欧米の対ロシア制裁などの問題に言及。3月2日の国連総会でのロシア非難決議について、中国とアルジェリアのほか多くの国が棄権したことに触れ、「棄権は、戦争と制裁による紛争解決に賛成しない責任ある態度」との見解を示した。また、ロシア・ウクライナ問題は長年蓄積してきた矛盾の爆発で、NATOの無制限の東への拡大を牽制している。


さらに、ロシアへの制裁のみで問題が解決できるわけではない点を指摘。「対話と交渉こそが解決の道であり、制裁によって世界の回復の勢いが損なわれるべきではない」と牽制した。特に、エスカレートし続ける一方的な制裁は、食料やエネルギーなどの世界的なサプライチェーンの寸断をもたらす恐れがあり、世界経済回復の勢いを削ぎかねない点を懸念している。
また、各国は自主的に対外政策を決定する権利を持ち、一方のみの立場に付くことを強要されてはならないと指摘。複雑な問題の処理にあたっては、戦争か制裁かという2つの選択肢しかないわけではなく、「敵でなければ味方、黒でなければ白」という単純化した方法は危険を伴うと警鐘を鳴らした。


■新華社、米中首脳会談について「対話ニーズが高まった表れ」
新華社は3月20日、今回の米中首脳のオンライン会議について、3つの重要なシグナルを発していると伝えた。
3つのシグナルのうち、1つ目は米国による中国との対話ニーズが高まったこと。米国をはじめ西側諸国はロシアに対する一連の制裁を実施しているが、これは問題を解決していないばかりか、むしろ矛盾を激化させ、食料やエネルギーなど世界的なサプライチェーンのリスクを高めている中、米国はオンライン会談を提案し、中国側は提案に同意。現在の国際情勢の下、米中の対話、協力の強化は、国際社会の期待に合致していると分析している。


2つ目は意見の相違を適切にコントロールすることが米中の歩み寄りの鍵であること。バイデン大統領は、新たな冷戦を起こさないこと、中国に体制変更を求めないこと、衝突を起こす意図がないことを改めて強調。習近平・国家主席はこのバイデン大統領の態度表明を非常に重視しており、米中双方が相互に尊重していることを示唆したものという。


3つ目は中国が一貫して平和のために尽力していること。習近平・国家主席は、国の関係は武力衝突では解決せず、対話、交渉、平和的な話し合いの重要性を強調。中国の平和解決の姿勢が示されているとしている。

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