中国共産党政治局会議で住宅在庫消化の必要性を強調

中国共産党が4月30日に開催した中央委員会政治局会議では、不動産市場について、不動産在庫の消化を進める必要性が強調された。これを受け、杭州といった大都市でも住宅購入を全面的に撤廃する動きが出ている。ただ、住宅在庫の解消には課題が残っている。

 

■不動産市場の規制緩和促す
政治局会議では、「不動産市場における需給関係の新たな変化を結合させる必要がある」、「不動産在庫の消化と新規住宅の増加量を最適化させるための研究を進める」などとし、不動産市場における制限的政策のさらなる緩和を促す内容が示された。

これを受け、杭州市は5月9日、住宅購入資格の審査を撤廃するなどし、住宅購入規制を全面的に撤廃した。これにより、購入規制が残っているのは上海、北京、広州、深圳、海南、天津のみとなった。

そもそも住宅購入の制限が設けられたのは、価格の上昇を見込んだ投機筋による取引を抑制するためのものだった。しかし、ここ数年で市場環境は大きく変化。需要が減退し、不動産価格は下落。負の資産効果が消費の足かせになるなど、不動産市況の悪化が景気全般にマイナスの影響を及ぼしている。実際、文化観光部によると、今年のゴールデンウィークの一人当たり消費額は113元。新型コロナ流行前2019年の151元を下回った。それだけに、不動産市場の安定は内需安定の鍵となり、優先課題となっている。

無論、地方での住宅購入規制緩和の動きは従前から出ており、足元ではその効果は徐々に現れつつある。国家統計局による70都市を対象にした住宅市場動向によると、3月はすべての都市の住宅販売価格の前月比下落幅がやや縮小した。さらに経済規模が大きく、かつて不動産価格高騰が鮮明だった杭州市の動きが、購入規制が残っている他の大都市に波及するかに注目が集まっている。

 

■住宅在庫解消に課題も
地方が住宅購入規制緩和を進めているとはいえ、住宅在庫はなお残っており、政治局会議でも指摘した通り、住宅在庫の解消は引き続き必要な状況。だが、政治局会議では「隠れた」在庫の解消が必要である旨も明示し、在庫解消には課題が残っているのが実情だ。住宅在庫が多く残っているのは、財政が逼迫している地方が多い点も住宅在庫の解消を阻害する要因なだけに、土地収入への依存といった地方の構造的な体質を根本的に改善する対策が必要となっている。

また、中央のメディアが指摘しているように、都市別の不動産市場の「分化」も深刻な状況。各都市の状況に即した政策の必要性が重要になっており、地方の力量が問われる状況にある。

価格の先高観から需要が喚起され、旺盛な需要がさらに価格を押し上げる、というかつての状況が逆回転している中国の不動産市場。在庫を消化するには需要の喚起が必須となる中、市場への信頼を取り戻し、需要を喚起さっせ、不動産市場の安定につなげることができるのか手腕が問われるところだ。

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