中国の8月のNEV納車台数、哪吒と零跑が躍進~理想と小鵬は苦戦
中国の新興自動車メーカーによる8月の新エネルギー自動車(NEV)の納車実績が発表された。7月に続いて哪吒汽車(Neta)と零跑汽車(Leap Motor)の躍進が目立った。一方で、「蔚小理」と呼ばれる蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(Xpeng Motors)、理想汽車(Li Auto)の3社のうちNIOが納車台数で第3位。一方、小鵬汽車と理想汽車は前月比で減少し、中でも理想汽車は最大の落ち込みを示した。
■哪吒がトップ、2位は零跑
8月の納車台数トップは哪吒汽車で、前年同月比142.2%増の16,017台。前月比では14.1%増となっている。2位は零跑汽車で、前年同月比180%増の12,525台。前月比では4.0%増だった。3位のNIOは前年同月比81.6%増の10,677台。前月比では6.22%増だった。4位は華為(ファーウェイ)と商用車メーカーの小康工業が共同で立ち上げたスマートEVのAITOの門界で8月の納車台数は10,045台だった(前年実績なし)。
■小鵬5位、理想は7位
5位は小鵬汽車で、前年同月比33%増の9,578台。前月比では7月の1万1524台から16.8%減となっている。
理想汽車は前年同月比51.54%減の4,571台。前月比では56.14%減で、前月比の減少率は7月の19.97%減から大幅に拡大した。順位は7位で、6位の吉利汽車のNEVブランドである極氪(ZEEKR)の納車台数(7,166台)を下回った。
理想汽車は第3四半期(7~9月期)に2万7,000~2万9,000万台の納車を見込んでいるが、7~8月の納車台数は計1万4,993台にとどまる。目標達成には9月は、7~8月の2か月分の納車実績に匹敵する納車台数が必要になる計算で、厳しい情勢にある。
■哪吒汽車と零跑汽車の躍進の背景
ブランド力では、NIO、小鵬汽車、理想汽車には依然として及ばない哪吒汽車と零跑汽車だが、足元の躍進の背景には、そのコストパフォーマンスの高さにあり、NIO、小鵬汽車、理想汽車とは異なる低価格帯で攻勢を強めている。
例えば、哪吒の8月の納車台数の60%以上を占めたのが哪吒Vモデル(同モデルの電動 SUVの8月の納車台数は10,236台)の価格帯は7万9,900~12万3,800元。同様の車種で同じ価格帯の競合品は今のところない。
零跑汽車は、1~7月の納車台数(38,520台)のうち、「零跑T03」が約60%を占めた。「零跑T03」は小型NEVで、価格帯は7万9,500~9万6,500元。小型NEVでこの価格帯の車種は存在せず、独占場となっている。
零跑は、低価格帯のみに照準を絞っているわけではない。価格帯が17万9,800~23万9,800元の「零走C11」は今年5月以降、納車台数が4,000台超となっている。納車台数こそまだ少ないが、NIO、小鵬汽車、理想汽車の市場に食い込む姿勢を示している。
中国のNEV市場は依然として発展途上で成熟期に入っておらず、「納車台数」という実績は依然として消費者のブランドを見極める一つの指標となっている。販売台数を伸ばすための各社の価格設定をはじめとする戦略から目が離せない。