RCEP発効の中国経済にとっての意味、陳波華中科技大教授に聞く
RCEPによって中国と日本の間に初のFTAが結ばれ、中国の自由貿易ネットワークが一段と拡大した▽協定の発効は、中日の2大エコノミー間で初めてFTAができ、日本が中国の輸出産品の88%の関税をすぐにもゼロにすることを意味している
RCEPによって中国と日本の間に初のFTAが結ばれ、中国の自由貿易ネットワークが一段と拡大した▽協定の発効は、中日の2大エコノミー間で初めてFTAができ、日本が中国の輸出産品の88%の関税をすぐにもゼロにすることを意味している
北京冬季五輪マスコットの「ビンドゥンドゥン」が大人気だ。人気の背後にある「秘密」とは何なのだろうか。
北京と浙江省杭州市を結ぶ総延長2500キロの京杭大運河が完成したのは西暦610年だった。日本では聖徳太子が活躍していたとされる時代だ。京杭大運河は2014年、世界遺産リストに登録された。
北京冬季五輪の開会式では「24」という数字が演出意図を読み説くキーワードだった。この「24」とは、中国の伝統的な暦に使われる二十四節気によるものだ。ならば、二十四節気にはどのような考えが反映されているのだろう。
近代五輪大会は、紀元前に始まった古代オリンピックを参考に創設された。この古代オリンピックは信仰と強く結びつくなど、強い精神性を伴っていた。中国で古代に行われていた競技も強い精神性を伴っていた。
花は大自然が人類に与えた最も美しいものの一つであり、人類の生活と密接に関係し、独特の情感的機能を持って人類と共に発展してきた。花と五輪競技の組み合わせは、栄光の瞬間を見届けるだけでなく、平和へのあこがれも伝えている。
人類文明史の視点から見て、なぜオリンピックは平和遺伝子を伝承し続けているのだろうか。スポーツを媒介とする東西の対話は、文明交流にどのような示唆を与えているのだろうか。中華文化とオリンピック文化にはどんな共通言語があるのだろうか。
2020年1月18日、私用で訪れていた山東省済南市から日本に一時帰国した。スタートアップで立ち上げた会社の事業がようやく動き出すことになって、私は春節前の休暇を日本で過ごそうと考えていた。 日本に戻ってから日にちが経つごとに、新型コロナウイルス感染症のニュースを耳にする機会が増えていく。中国から一時帰国する前にも正体不明のウイルスがあるかもしれないという話を聞いていたが、まさかここまで大きな出来事になるとは、誰が想像しただろうか。 私は中国の大学に進学したことで、人生を大きく変革することができた。だからこそ、教育という手段で日本・中国に恩返しし、貢献したいと強く思い、学業では教育を専攻し、学外では日中民間交流を促進するため日本人留学生会の代表として、学内での日中交流会、北京日本大使館での日中友好成人式などのイベントを企画した。将来教育で事業を起こすため、いかに効率よく経験を積むかを熟考し、2015年に学部を終えた私は東京に戻り「北京語言大学東京校」の職員となった。日本全国の高校・日本語学校に足を運び、多くの学生、教職員たちに中国の魅力や中国語学習による将来のキャリア形成などを説いてきた。北京に留学する友人たちと企画した日中友好成人式 元々2年間働いてから中国政府奨学金を申請して大学院に戻ろうと決めていた私は、予定通り2017年から修士課程に進学し、よりレベルの高い研究とインターンシップという形で中国社会で実践を積んできた。そして2019年の修士修了間近のタイミングで中国人の友人と教育関係の会社を立ち上げることを決意し、新一線都市No.1の成都を訪れた。大学時代から6年以上の時間を過ごした北京から離れるかについて迷ったが、知り合いが誰もいない中で1から仕事を立ち上げる過程に挑戦したいという思いから決断をした。聞き取りづらい四川訛りの中国語、北京で食べるのとは比較にならない本場の四川料理の激辛、常に湿気が強い南国気候、慣れないことが多い中でも忙しく仕事をしたことを覚えている。 このように、自分で語るのもおこがましいが、学部時代に掲げた目標に向けて順調に歩んでくることができたと思っていた、その時までは…。 新型コロナウイルス感染症が蔓延し始め、中国への入国が出来なくなり、会社の状況も日に日に悪化、最終的には登記人だった中国の友人とも音信不通になり、事実上の倒産という最悪の状態。東京に戻ってきても何ができるか分からず、また外出自粛ムードで仕事もできない、そんな逆境の中でも私が信念を曲げずにやり続けてきたのは日中交流活動だった。 連日のように取り沙汰される新型コロナウイルスのニュースから、中国に対する国民感情が悪下していく姿は、2012年尖閣諸島国有化問題が起こった時のことを思い出させた。当時の私は北京で学生をしており、現地での時代の変革や中国人との対話を経験したことがきっかけとなり、日本と中国の友好に携わっていきたいと夢を描くようになった。それから9年の時が経ち、今新型コロナウイルスという未曾有の問題が立ちはだかる中、自分なら何ができるのかはもちろん、一番大変な時だからこそ、どうしたら中国との「草の根交流」を絶やさずに継続できるかを考えた私は、2020年4月11日に東京都日中友好協会青年委員会で初めて中国現地とのオンライン交流会を企画、そこから毎月1回以上のペースで言語や文化、旅行など多分野に渡るイベントを企画し、また日本各地で日中民間交流に寄与する多くの人材や中国駐日本国大使館や北京市人民対外友好協会などと交流を重ねることができた。 その結果、2021年4月から東京都日中友好協会青年委員会の委員長に就任することになり、日中草の根交流の最前線で活動することになった。 今でこそ当たり前になったオンラインイベントだが、当時は使い方が分からない人への対応、ネット速度、交流方法など、さまざまな問題を工夫しながらひとつひとつ解決していった。その中で特に工夫したのは交流方法だ。 イベントに参加し、交流するという点では大きな違いはないが、顔は見えていても同じ空間にいないので、相手の表情や動作がわかりづらく、円滑に交流するのが難しくてその場限りになりやすい。そんな中で、どうしたら交流の内容を深め、イベントの価値を高め、その場限りで終わらず次回の交流に繋げることが出来るかを熟考し、ワークショップ形式のイベントを企画することにした。約1カ月間、見ず知らずの日中青少年12名がグループを組み、オンライン上で日々発表の準備に取り組むことにより、直接会わずとも親交を深め、12名の日中青少年同士で友好を深めることができた。 このように、オンラインになって以降、試行錯誤の中でも問題意識や実現したい明確な目標を持って動くことにより、新しい発見や気づきを得ることができた。同じように、コロナ禍だから諦めるのではなく、今しかできないことを明確にしていくことが大事だと考える。例えば私は今まで中国に滞在していた時間が長かったが、この1年半は1度も中国に戻れていない。こんなことは初めての経験だが、だからこそ日本で多くの人と交流を持つことができたのだ。 まさしく人生は、環境の変化との戦いである。東京に戻ってから活動してきたこの経験が、将来中国に帰った際にどれだけ活かせるのか、自分が日本と中国の青少年交流促進にどれだけ寄与できるのか、常に自問自答しながら、これからも日々挑戦していこうと思う。 ※本記事は、『和華』第31号「日中100人 生の声」から転載したものです。また掲載内容は発刊当時のものとなります。 ■筆者プロフィール:井上正順(いのうえまさゆき) 東京都日中友好協会・青年委員会委員長、日中友好青年大使。1992年生まれ。北京語言大学漢語国際教育専攻学士・修士号取得。留学中は北京語言大学日本人留学生会代表、日本希望工程国際交流協会顧問等を歴任。2019年に中国でスタートアップを経験。2020年9月に学友と日本で起業。
春節はなぜ、華人の文化的記憶と堅く結びついているのか。その状態は未来永劫(えいごう)に続くのか。
2022年は中国が「一帯一路」の構想を明らかにして9年目の年だ。中国が主張する「参加各国がウィンウィン」の状況はいかに構築されるのか、ユーラシアにいかにして利益がもたらされるのか。新疆社会科学院経済研究所の王宏麗副院長はこのほど、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、ユーラシアの広い範囲における「一帯一路」にまつわるさまざまな状況を紹介した。以下は王副院長の言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。 ■まずは各地の産物を円滑に動かす「物流ルートの建設」が決め手 広大なユーラシア大陸では地域により条件が大きく異なるために、土地によって強みを持つ産物もさまざまだ。カザフスタンの小麦や食用油、パキスタンのグワダル港で水揚げされる海産物、グルジアのワイン、ウズベキスタンのチョコレートやキャンデー類、ビスケット、アゼルバイジャンのジュース、マレーシアのコーヒーなど、食品類だけでもきりがないほどだ。物流のレベルを向上させれば、さまざまな品が各国の人々の家庭にスムーズに入っていくことになる。 中国では、西部にある新疆と国内中部や西部を結ぶ、北・中・南の三大ルートが形成された。さらに新疆ではインフラ建設も進んでおり、通関に必要な時間も短い。これらは、新たな物流のシルクロードを円滑に機能させるための重要な支えだ。 ■中国国内の建設だけでは完結しない、国際協力が不可欠だ もちろん、物流ルートの建設が中国国内だけで完結するわけではない。中国は現在、パキスタン、モンゴル、ウズベキスタン、キルギスと国際鉄道路線の建設を加速することについての交渉をしている。また新疆はカザフスタン、キルギス、タジキスタン、パキスタン、モンゴルの5カ国それぞれと、交際道路運輸についての双方向協力を行っている。新疆と周辺国家の間で開通した国際道路運輸ルートは107本に達した。 「一帯一路」によって、中国と世界が連動して発展する状況が加速する。例えば、中国の「一帯一路」の提唱とカザフスタンの開発計画は融和点が多い。そこで中国のバス製造会社である宇通公司とカザフスタンの技術企業が合弁で、電動自動車と欧州のユーロ5の排気ガス基準を満たす環境保全型のバスを生産する工場を建設した。カザフスタンの首都であるヌルスルタンの市民は、電動バスを利用することになった。 キルギスは「一帯一路」を最も早く支持し、積極的に参加した国の一つだ。両国の協力は長年に渡り、多くの成果をあげてきた。例えば中国の専門家の協力を得て、キルギスの首都であるビシュケクから標高が約2000メートルの同国中部のナルンを経由して、中国との国境の街であるトルガルトに達する道が建設されたことなどだ。文化や教育の分野でも、両国の協力は双方に強大な力を注入している。現在はキルギスの学生4000人が中国の大学で学んでおり、キルギスの若い世代は中国に対する関心を高めつつある。 ■中国国内経済と国際経済の接合地点の新疆に大きなチャンス 中国は現在、国内の経済循環を主体にして、国内の経済循環と国際的な経済循環を接合させる開発パターンを進めている。経済における開放をさらに高い水準にして、次に国内の経済大循環の建設に注力し、国内外の経済循環の接合を進める順番だ。 そのために「新時代に西部大開発を推進し新たな枠組みを形成することに関する指導意見」など、長期展望による政策方針が定められた。そして「高利便性、経済的で高効率、環境配慮を集約、スマートで先進的、安全で高信頼性」といった特徴を持つ、質の高い立体的な国家総合交通網の建設が進められることになった。 中国は交通運輸の分野でも、レベルの高い海外開放を進めることで、総合的な運輸の大きなルートを建設し、総合的な交通の枢軸を発展させている。そのことにより、交通や観光などの産業が融合して発展していくことになる。 このような状況により、地理的な位置からして新疆の重要性はますます高まっている。今後は道路、鉄道、航空、パイプライン、さらには電力、電信、郵政、税関、品質検査などの分野で、各地域や国が個別に構築を進めるのではなく、技術標準などに整合性を持たせていく動きが、改めて急速に進むだろう。交通インフラ網に支えられた運輸サービス、情報ネットワーク、エネルギーネットワーク、産業の配置などで複数の地域が協調して発展する未来は、シルクロード経済ベルトの中核地域である新疆に、より多くの発展のチャンスをもたらすことになる。(構成 / RecorChina 如月隼人)
多元ニュース