中国主要NEV企業の10月販売実績~BYDは30万台突破、小鵬と理想は前年比で約4倍
中国の主要新エネルギー車(NEV)メーカーが相次いで10月の販売実績を発表した。各社軒並み前年同月比、前月比ともにプラス成長を記録。個別ではBYDが30万台を突破し相変わらずトップを走っている。また、理想汽車(Li Auto)小鵬汽車(Xpeng Motors)は前年同月比で約300%増を記録した。
中国の主要新エネルギー車(NEV)メーカーが相次いで10月の販売実績を発表した。各社軒並み前年同月比、前月比ともにプラス成長を記録。個別ではBYDが30万台を突破し相変わらずトップを走っている。また、理想汽車(Li Auto)小鵬汽車(Xpeng Motors)は前年同月比で約300%増を記録した。
中国のEV(電気自動車)メーカーである蔚来汽車(NIO)はこのほど、自社ブランドのスマホ「NIO Phone」の発売を始めた。EVメーカーであるNIOのスマホ事業への参入は、EVとスマホの一体化を進展させる動きとして注目されている。
蔚来汽車(NIO)、理想汽車(Li Auto)、小鵬汽車(Xpeng Motors)など中国の新興自動車メーカーが11月の新エネルギー車(NEV)納車実績を発表した。トップは引き続き哪吒汽車(Neta)で、5カ月連続の首位。また、理想とNIOは大幅に販売を増やし、理想は過去最多を更新し、トップ陣営に返り咲いた。
中国の新興自動車メーカーである蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(Xpeng Motors)、理想汽車(Li Auto)の3社の2022年上半期の決算が出揃った。3社いずれも赤字が継続する中、新たな課題も出現。費用投入段階から利益を上げられる体質になるための対応が求められている。 ■3社いずれも4~6月の赤字膨らむ 第2四半期(4~6月期)の3社の実績をみると、納車台数は上海での新型コロナウィルス感染防止策の影響でいずれも減少した。売上高は、NIOが初めて100億元を突破。価格の高い高級車種「ET7」の引き渡しが始まったことが売り上げ増に寄与した。一方、小鵬と理想の売上高は、それぞれ74億3,600万元、84億3,000万元で、前四半期比で小幅ながら減少している。1~6月の累計売上高は、NIOが202億元、小鵬が148億9,000万元、理想が182億9,500万元だった。 4~6月期の最終損益は、3社とも赤字額が膨らみ、赤字額は、NIOが27億5,700万元、小鵬が27億100万元、理想が6億4100万元。1~6月期の累計赤字は、NIOが45億4,000万元、小鵬が44億200万元、理想が6億5,200万元だった。3社いずれも、電池材料の価格上昇で、完成車事業の粗利益率が低下している。 ■3社それぞれの課題 赤字が続いている3社。2年前、3社が直面していた危機は資金面の問題が中心だったが、2年が経過した現在、3社は異なる発展戦略を歩み出し、異なる課題が生まれている。 ~小鵬、規模の戦略に限界も 小鵬汽車の1~6月の累計納車台数は6万9,000台。3社のうちトップとなっている。小鵬は、今年の納車台数について、「25万台を計画し、さらに30万台も視野に入れている」と、強気な目標を示していたが、足元の販売減に鑑みると、この目標の達成にはかなり難しい状況だ。 販売台数を押し上げるべく、小鵬は率先して「価格競争」を開始。小鵬の実店舗では7月以降、割引キャンペーンを実施した。しかし、値下げはあまり効果がなかった。7月と8月の小鵬の販売台数はそれぞれ1万1,524台、9,578台。NEV全体の販売台数が増加する中にあって、小鵬汽車の販売台数は月を追うごとに減少している。 車種の販売価格が他社に比べて低く、利益を上げる余地が限られているため、小鵬の粗利益水準は、NIO、理想を下回っている。より速く、より多く販売することが小鵬の業績を支える手段となっているが、市場は低価格・大量販売の手法に懐疑的な見方を示しているようだ。実際、納車実績では、NIO、理想を上回るが、株価は今年1月の高値(51.5米ドル)から足元では16米ドルにまで下落している。 小鵬が販売台数を押し上げるには新車が必要となっている。同社は新モデル「G9」に大きな期待を寄せているが、「G9」が位置する中大型 SUV市場は競争が激しいレッドオーシャン市場。レッドオーシャンの市場でパイを奪えるだけの製品を打ち出すことができるのか、試されているといえる。 ~理想、トラブル出現 理想汽車は最近、トラブルが生じている。「理想ONE」が突然2万元値下げしたことで、従来の顧客の不満が高まった。さらにその後、李想・董事長が「理想ONE」の生産を中止し、新モデル「L8」を発売すると表明したことで、不満がさらに高まる、権利保護を主張する集団が表れた。 このような状況になったのは、理想が打ち出したフラッグシップSUVモデル「L9」が関係している。 「理想ONE」は当初、走行距離の不安を軽減するエクステンデッド・レンジ電気自動車(EREV)として市場を切り開き、月次販売台数が1万台を突破した。この市場に照準を合わせ、理想は今年6月に「L9」を発表した。「L9」の価格は45万9,800元で、「理想ONE」に比べて11万元高い設定となった。 理想は「L9」を発表するにあたり、「L9」が「理想ONE」の販売台数に影響を及ぼす懸念はないとしていた。しかし、「L9」と「理想ONE」の購買層は重なり、パイを奪い合う形になった。結果として、理想の全体の販売増につながらなかった。むしろ、「理想ONE」の販売台数が減少し、「理想ONE」の生産停止に追い込まれた格好だ。 ~NIO、高級ブランド車としての地位確立も今後はマルチブランドに転換か NIOの最大の強みは、高級ブランドのイメージがすでに確立されていること。30万元以上の純電気市場で高いシェアを占めている。しかし、ユーザー体験のための技術開発や電池交換インフラ建設に大量の資金を投じ、コストは高止まり、赤字額は3社の中で最大となっている。 NIOの課題は、販売拡大によってコストを吸収することで損失額を減らすこと。そのためには、NIOが新たに発表した「ET5」は非常に重要になるといえる。同社の秦力洪・総裁によると、「ET5」の販売目標は月間1万台を突破することという。 さらに、NIOが販売を押し上げるには、より多くの新ブランドが必要といえる。NIOは昨年、2つ目のブランドについて、価格帯20万元の市場に焦点を当てると表明。さらに今年に入ってからは、10~20万元の市場を開拓し、3つ目のブランドを立ち上げる意向を示している。つまり、NIOは、「ベンツ」や「BMW」のような高級ブランドに特化から「VW」のようなマルチブランド企業に転換しようとしていると見て取れる。中国のNEV市場では競争が激化している。NIO、小鵬、理想の3社のほか、販売台数トップの比亜迪(BYD)、テスラ。また、広州汽車などの従来の自動車メーカーが設立したNEVブランドも売れ始めている。これらの企業はいずれもNIO、小鵬、理想の3社に競争圧力をもたらしている。競争が激化する中で、3社は目先の課題に如何に対応して競争力を強化し生き残りを図れるか、それぞれの対応が注目される。
中国のEVメーカー、蔚来汽車(NIO)がこのほど発表した2021年12月期決算によると、21年は売上高が大幅な伸びを示した。また、足下で原材料価格上昇による新エネルギー車の値上げが相次ぐが、同社は当面値上げする意向はないとの方針を示した。 ■新車納入の急増が売り上げ押し上げ 21年は新車納車台数の増加を背景に、売上高は前年比122.3%増の361億4000万人民元に拡大。新車納入台数は9万1400台で、前年の4万3700台から109.1%増となっている。 四半期ベースでは、21年第4四半期の新車納車台数は前年同期比44%増の2万5000台。22年第1四半期について会社側は、新車納入台数が2万5000~2万6000台(前年同期比24~29%増)、売上高が96億3100万~99億8700万人民元(同20~25%増)との予想を示している。 ■リチウム価格上昇も「需要と供給に大きな乖離なし」 リチウムなどの原材料価格の高騰を背景に、中国ではテスラや三鵬汽車、小鵬汽車、理想汽車など10社以上が新エネルギー車の価格引き上げを発表しているが、NIOは当面、値上げはしない考え。同社創業者でCEOの李斌氏は、足下の炭酸リチウムの価格上昇について、「投機的な要素が強く、需要と供給に大きな乖離はない」と指摘。今後は「市場価格や原材料価格の推移を見極めつつ、価格戦略を判断していきたい」という。 ■研究開発費、22年は倍増へ 21年の研究開発費は前年同期比84.6%増の45億9100万人民元に拡大した。22年の研究開発費も大幅に増やす計画で、21年の約2倍の92億人民元を見込んでいる。また、研究開発チームは22年末までに9000人に拡充するとの見通しを示した。今後数年は重要技術に投資を拡大する意向で、特に自動運転技術、エンジン電池関連の重要分野への投資を拡大していく予定。李斌氏は、「コア技術への研究開発投資は、当社の技術と製品の持続的な競争力を強化するだけでなく、長期的にみて、収益性を高めることができる」と、研究開発投資への有効性を強調している。 ■欧州事業拡大へ NIOは海外でも事業拡大を加速する方針を示している。21年にノルウェーで事業を開始したが、李斌氏によると、22年にはドイツ、オランダ、スウェーデン、デンマークでも製品が正式に投入される予定。準備作業は順調に進んでいるという。
中国でこのところ、新エネルギー車の値上げが相次いでいる。背景には車載電池の値上げがある。 中国メディアによると、車載電池メーカーの寧徳時代(CATL)は昨年後半から2度の値上げを実施。同社は値上げについて、川上の原材料調達価格が上昇したためと説明している。車載電池メーカーの値上げを受け、足元で自動車メーカーが相次いで価格を引き上げている。 3月に入り、テスラが中国で一部の車種の値上げを発表。BYDは3月15日、吉利汽車の傘下の新エネ車メーカー・幾何汽車は同18日に複数の製品の値上げを発表した。値上げ幅は、BYDは3000~6000人民元、幾何汽車は3000~7000人民元となっている。小鵬汽車も18日、値上げを発表。原材料価格の大幅な上昇を受けての決定と説明している。 ■NIOは目先、価格引き上げ予定なし 一方、蔚来汽車(NIO)は、短期内に値上げを実施する予定はないと表明。価格安定こそが顧客の利益、市場の双方にプラスのためという。ただ、チップなどの国際的な原材料の需給状況が全体のサプライチェーンのコストの大きな変動要因になっており、客観的な環境に基づき機動的に価格調整の決定を行うとしている。 ■リチウム価格の上昇を政府も注視 リチウム価格の上昇に対しては、政府も注視している。国家工業情報化部はこのほど、関連部門とともに業界関係者を集めて会議を開催。足元のリチウム塩などの価格上昇による業界への影響などの意見を聴取した。そのうえで、リチウム塩の供給確保に力を入れることで、新エネルギー自動車などの戦略的産業の発展を支えるとの方針を表明。同時に、産業チェーンの川上から川下企業に対して、需要と供給のバランスをマッチさせ、協力して長期の安定した協力関係を築き、リチウム塩価格の適切な水準に誘導するよう求めた。
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