香港政府、企業誘致に注力~ファーウェイやレノボなど20社が重点パートナーシップ企業に

香港政府は海外からの企業誘致に注力している。2022年に就任した李家超(ジョン・リー)行政長官は同年の施政方針演説で、「重点企業誘致弁公室」の設置を発表。同弁公室が10月4日に開催したセレモニーでは、政府の重点パートナーシップ企業になることで20社と合意した。20社は華為(ファーウェイ)やレノボなどテクノロジー系の企業が大半で、政府としてはこれら企業らとともに香港のイノベーション科学技術分野でのエコシステム構築につなげたい考えだ。

 

■専門部署設置で企業誘致
2019年の政治的・社会的な混乱、その後のコロナ流行で海外企業の撤退リスクへの懸念が強まった香港。2022年7月に就任した李行政長官は、就任後初の施政方針演説で企業誘致に注力するため「重点企業誘致弁公室」の設置を表明した。弁公室は同年末に開設し、これまでに200社以上の企業代表らと面談。面談企業は今年末までには300社近くに達するという。

 

■30社が香港で今後300億HKD以上の投資を計画
うち30社は既に香港への進出または香港事業の拡大を決定。これら30社は今後香港で300億香港ドル以上を投資する計画。同時に、1万以上の雇用を創出する見込みで、雇用の多くは科学研究やマネジメントなどのポストになるという。

また冒頭で振れた通り、10月4日には政府の重点パートナーシップ企業として20社と合意。20社は下表の通りで、ファーウェイやレノボのほか、ヘルステックやデータサイエンス、フィンテックなどの業種が中心となっている。これら企業の多くは既に香港に拠点を設置。多くが研究開発センターまたは地域統括拠点で、香港での業務拡大を進めている。20社のうち8割が中国本土企業となったが、これについて陳茂波・財政長官は「いずれの企業の業務も国際的なもので、登録地で企業を区分すべきではない」と指摘。20社は「一国二制度」という資本規制のなさなど香港の独自の優位性の下での発展余地を踏まえて決定した点を強調した。

政府は重点パートナーシップ企業に対して「北部都会区」に用地を提供し、「北部都会区」への進出をサポートする方針を示しているが、セレモニーでは現時点で「北部都会区」への進出を求めている企業はないと明らかにした。また、これら企業に特別な優遇条件を付与することはないという。
香港政府としては、これら企業にワンストップのサービスを提供するとともに、企業とともに香港が相対的に後れを取るイノベーション・テクノロジー分野の発展の基盤となるエコシステム構築につなげたい考え。

 

■レノボは広東語の生成AI開発へ
これら企業のうちレノボは、香港で主流の言語が広東語である点を踏まえ、広東語の生成AI製品を開発する計画。香港に専門のイノベーション科学センターを設置し、研究開発を進め、香港のサービスを粤港澳大湾区(グレーター・ベイエリア)や東南アジアの顧客向けに提供したい考え。また、香港のスタートアップ企業への投資も視野に入れているという。

 

■重点パートナーシップ企業20社

アストラゼネカ 英バイオ医薬企業
招商局先進技術研究院 中国国務院直属の中央企業である招商局集団の傘下企業
壁仞科技 中国AIチップメーカー
多点(Dmall) 中国オンライン小売プラットフォーマー
元化智能科技 中国医療機器
泰格医薬 中国医薬品開発業務受託機関(CRO)
君聖泰医薬 中国バイオ医薬品
華為 中国通信設備機器メーカー
恒雲科技 中国フィンティック企業
京東 中国オンラインプラットフォーマー
レノボ 中国電子機器メーカー
美団 中国オンラインプラットフォーマー
能链 中国エネルギー効率化IoT
諾輝健康 中国癌検査
奇安信 中国ネットセキュリティ
観合医薬 中国臨床研究実験室サービス
先声薬業(Simcere) 中国医薬品
サーナオミクス 中国と米国を拠点とするRNA療法バイオ医薬
RNAimmune サーナオミクスの子会社
EDIRNA サーナオミクスの子会社

(出所:信報)

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