中国の不動産市場、回復道半ばで来年も支援継続へ~需要サイドの政策に注目

中国の不動産市場に持ち直しの兆しがわずかながらみられる。これは、中国当局が今年打ち出した不動産市場の回復に向けた措置の効果が出てきた証左と受け止められている。ただ、完全な回復には至っておらず、2023年の経済政策運営の重点を決定する中央経済工作会議でも、「不動産市場の安定した発展を確保する必要がある」と指摘。こうした中、来年も市場回復に向けた政策は続くとみられている。特に、需要サイドを支援する政策に注目が集まっている。


■11月は新築住宅価格が前月比で上昇した都市数が増加


国家統計局が12月15日に発表した統計によると、全国70都市のうち、11月の新築分譲住宅の販売価格が前月比で上昇したのは16都市。前月に比べて6都市増加して、5カ月連続の減少から増加に転じた。前月比で下落したのは51都市で、前月より7都市の減少。中古住宅販売価格が前月比で下落した都市は62都市で、前月と同じだった。


「一線都市」、「二線都市」の区分でみると、一線都市の11月の新築分譲住宅と中古住宅の価格はそれぞれ0.2%、0.4%下落。下落率は前月から0.1%ポイント拡大した。一方、二線都市は、新築分譲住宅と中古住宅の販売価格がそれぞれ0.2%、0.4%下落したが、下落率は前月からいずれも0.1%ポイント縮小している。
新築住宅価格が前月比で上昇した都市数の増加や、二線都市での住宅価格の前月比下落率の縮小については、「不動産市場の安定化を促進する一連の政策効果が徐々に現れてきたためと」の見方が少なくない。ただ、市場心理が完全に回復している状況でないため、来年以降も政策改善の余地は少なくない。


■不動産政策、今年は供給サイドに重点も今後は需要サイドの改善が課題


不動産市場の安定化に向けた政策は、対象が供給サイドと需要サイドに大きく分けられる。中国当局は今年、不動産デベロッパーを中心とする供給サイドに対する支援策を相次いで打ち出した。特に、不動産デベロッパーの資金繰り改善に向けた資金調達支援に軸足を置いた。資金繰りの悪化は、デベロッパーによる不動産引き渡し停滞→不動産が引き渡されることを前提に住宅ローンを借りた人のローン返済拒否ー-といった動きにつながったためだ。


もっとも、不動産デベロッパーの資金繰り改善策は購入サイドの心理改善を促す効果は限定的。需要サイドを直接刺激する政策のほうが、購入意欲を高める効果は大きい。それだけに市場では、今後の需要サイドの支援策に注目が集まっている。


中央財経委員会弁公室がこのほど、2023年の経済政策運営の重点を決定する中央経済工作会議および目下の経済課題に関する説明を行った際にも、足元の不動産政策について、「住宅消費需要の喚起を制限する政策が依然として残っている」と説明している。そのうえで、来年の不動産政策について、需要サイドと供給サイドのどちらに重点を置くのかとの質問に対して、同弁公室は「市場心理の改善に力を入れる必要がある」と強調。有効需要を拡大させるとともに、実需や買い替え需要を支える政策を打ち出すとの方針を示した。また、高齢者や若年層などの住宅問題の解決や実需と買い替え需要に対する金融支援の強化の必要性も強調している。


需要サイドを喚起する政策としては、購入規制の緩和があるが、中国メディアによると、今年は既に50近い都市で購入規制を緩和する政策が打ち出されている。足元では広東省仏山市が12月に不動産購入規制を全面的に緩和。今後も住宅購入規制を緩和する都市が増えていくと予想されている。


もちろん、供給サイドを支援する政策も引き続き行う方針。中央財経委員会弁公室は、◆各地方政府による不動産引き渡し確保のための政策、◆不動産デベロッパーのファイナンス需要を満たすための十分な資金提供、◆合併・再編の推進――などを継続するとしている。また来年は、不動産デベロッパーの負債問題の解決に重点を置いた新たな政策を打ち出すとしている。


中国の不動産業界は経済寄与が大きい。国内総生産(GDP)に占める割合は約7%で、建築業界を加えると約14%に達する。また、土地売却収入や不動産関連税収は、地方財政の半分近くを占め、地方政府にとっても重要な収入源となっている。不動産市場の動向は中国経済全体への影響が大きいだけに、来年は市場の安定を図るための政策動向が注視されている。

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