ファーウェイが採用する「軍団」制とは~新たに10の「軍団」を設立
ファーウェイ(HUAWEI)は3月末、新たな10の「軍団」の設立式典を開催した。「軍団」とは、ファーウェイが昨年から導入している組織部門の名称。「軍団」制を採用することで、組織の簡素化、効率化につなげる狙いがある。以下では、ファーウェイが「軍団」制を採用した背景やメリットを纏める。
■21年から計15の「軍団」を設立
ファーウェイが「軍団」を初めて設立したのは2021年4月で、「石炭軍団」の設立が嚆矢だ。その後10月に「データセンター・エネルギー軍団」、「スマート光発電軍団」、「税関・港湾軍団」、「スマート道路軍団」の4つを設立。そしてこのほど、新たに「電力デジタル化軍団」、「行政オンライン軍団」、「空港・鉄道軍団」、「インタラクティブ・メディア軍団」、「スポーツ・ヘルス軍団」、「ディスプレイ・ニューコア軍団」、「園区(パーク)軍団」、「広域ネットワーク軍団」、「データセンター基盤軍団」、「デジタル・サイト軍団」を設立した。昨年設立された5つの「軍団」と併せて計15の「軍団」が設立されたことになる。
■分野ごとに各機能の専門家を集結させた組織
そもそも「軍団」とはどのような組織なのか。創業者の任正非氏はかつて中国メディアに対し「軍団」の設立について、「グーグルに習った」と述べている。「軍団」は、基礎研究、技術、製品、プロジェクト、販売、納品、サービスなど各職位・機能の専門家を一つの部門に集結させた組織。研究、技術、製品といった各機能・職位を軸にした縦割りでなく、「電力デジタル化」などの「分野」を軸に各機能・職位の専門家を配置した横断的な組織といえる。また「軍団」は、ファーウェイに従来からある「業務集団(Business Group、BG)」と同格で、大きな独立性を有している。
「軍団」制導入のメリットについて任正非氏はかつて、「組織の壁を乗り越え、資源をスムーズに集約させ、互いに協力して効率を高め、一つの分野を深く追及できる」と述べている。また、先の決算発表で当時の董事長・郭平氏の発言からも「軍団」のメリットが語られている。郭平氏は「ファーウェイの業務、技術は極めて広範で煩雑だが、軍団に運営、管理を任せることで、顧客に対してよりシンプルに製品・サービスを提供できる」という。
今回新たに10の「軍団」を創設したことについては任正非氏は設立式典で、「国際情勢が変化し、ファーウェイがますます厳しい圧力に直面する中、陣営を安定させる必要がある」と説明。「積極的に布陣を調整し、顧客に確固たる価値を提供しなければならず、そのために、機動的な戦略・戦術をとる必要がある」と語っている。
米国からの制裁に直面するファーウェイ。2021年の業績は資産売却などで増益を達成したが、売上高は減少した。「軍団」制の導入という組織構造の見直しがどのような効果を表すのか注目される。