Author: jizi

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中国で新エネルギー車の値上げ相次ぐ~原材料高に伴う車載電池の値上げ受け

中国でこのところ、新エネルギー車の値上げが相次いでいる。背景には車載電池の値上げがある。 中国メディアによると、車載電池メーカーの寧徳時代(CATL)は昨年後半から2度の値上げを実施。同社は値上げについて、川上の原材料調達価格が上昇したためと説明している。車載電池メーカーの値上げを受け、足元で自動車メーカーが相次いで価格を引き上げている。 3月に入り、テスラが中国で一部の車種の値上げを発表。BYDは3月15日、吉利汽車の傘下の新エネ車メーカー・幾何汽車は同18日に複数の製品の値上げを発表した。値上げ幅は、BYDは3000~6000人民元、幾何汽車は3000~7000人民元となっている。小鵬汽車も18日、値上げを発表。原材料価格の大幅な上昇を受けての決定と説明している。 ■NIOは目先、価格引き上げ予定なし 一方、蔚来汽車(NIO)は、短期内に値上げを実施する予定はないと表明。価格安定こそが顧客の利益、市場の双方にプラスのためという。ただ、チップなどの国際的な原材料の需給状況が全体のサプライチェーンのコストの大きな変動要因になっており、客観的な環境に基づき機動的に価格調整の決定を行うとしている。 ■リチウム価格の上昇を政府も注視 リチウム価格の上昇に対しては、政府も注視している。国家工業情報化部はこのほど、関連部門とともに業界関係者を集めて会議を開催。足元のリチウム塩などの価格上昇による業界への影響などの意見を聴取した。そのうえで、リチウム塩の供給確保に力を入れることで、新エネルギー自動車などの戦略的産業の発展を支えるとの方針を表明。同時に、産業チェーンの川上から川下企業に対して、需要と供給のバランスをマッチさせ、協力して長期の安定した協力関係を築き、リチウム塩価格の適切な水準に誘導するよう求めた。

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米国利上げも中国は緩和的な金融政策維持か

米連邦準備理事会(FRB)は3月16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利引き上げを決定した。米国が利上げ局面に入る一方で、中国は緩和的な金融政策を維持するとの見方が多い。 前回の米国の利上げ局面(2015年~2018年)でも、米中の金融政策は分化し、中国から一時、当期の経常収支黒字を上回る大規模な資本が流出し、外貨準備高は4兆米ドルから3兆億ドル前後に減少。人民元の対米ドル相場は1米ドル=7人民元に近づき、「資本流出、外貨準備減少、為替レート下落」という悪循環を形成した。こうした中で18年当時、中国人民銀行の易綱総裁は幾度となく公の場で、「中国は大規模な経済圏で、金融政策は国内経済を支えることが中心で、金融政策の決定も国内の経済情勢や物価動向を考慮して事前調整や微調整を行う」と述べ、国内情勢を優先的に目配りする必要性を強調していた。 折しもFRBの利上げ直前、中国の国務院金融安定発展委員会は16日、特別会議を開き「第1四半期の経済の活性化に向け金融政策で積極的に対応し、新規融資の適度な伸びを維持しなければならない」との方針を表明。緩和的な金融政策の継続で景気を支える姿勢を示唆した。 こうした動きを踏まえ、今後については「米国との金利差拡大で、中国からの資本流出圧力は一定程度強まる可能性はあるが、中国は、国内を主体にした独自の金融政策で対応していく」とみる向きが少なくない。

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ロシアの中国への液化石油ガス輸出、3月に大幅に増加

ロシアの中国への液化石油ガス(LPG)の輸出が3月に入り大幅に増加している。ロシアから西側諸国への輸出が難しくなる中、中国に輸出を切り替えている可能性がある。外電が伝えた。 Refinitiv Eikonによると、ロシア企業による中国へのLPG供給量は、2月が2.4万トン。これに対して、3月は約7.2万トンの供給を計画している。これは、21年のロシアから中国への輸出量(6.26万トン)を上回る水準だ。ロシアのLPGの主な輸出先は欧州で、大半はバルト海ウストルガ港、アゾフ海タマン半島、テムリュクを経由して鉄路で欧州に輸送される。しかし、国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの大手銀行が排除されるなど西側のロシアに対する経済制裁が実施され、ロシアと西側の貿易に影響が及びつつある。ロシアから中国へのLPG輸送は中国との国境付近の極東のルートを通って行われ、年間輸送量は180万トンとなっている。

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中国当局が相次いで資本市場の安定支援を表明~マーケットの懸念払拭狙いか

中国国務院金融安定発展委員会は3月16日に開催した会議で、経済、資本市場の安定に努める方針を示した。複数の中国メディアによると、これを受け、人民銀行、外貨管理局、中国銀行保険監督管理員会、中国証券監督管理員会などが相次いで特別会議を開き、迅速に対応する姿勢を表明。こうした動きは、中国本土や香港のマーケットで広がっていた景気減速懸念や緩和的な政策維持への不透明感などを払拭させる狙いがあるとみられている。 ■国務院金融安定発展委員会:市場にプラスの政策は積極的に、域外上場は支援 国務院副首相で金融安定発展委員会主任の劉鶴氏は、同委員会の会議で「第1四半期の経済を確実に活性化させるには、金融政策で主体的に対応し、新規融資は適度な伸びを維持しなければならない」と指摘。「市場にプラスの政策を積極的に打ち出す一方で、緊縮的な政策は慎重に出さなければならない」と述べた。 また、中国企業の米国市場への上場廃止リスクが懸念される中、会議では「中国と米国の双方の監督当局は良好なコミュニケーションを維持している」と指摘。「中国政府は各種企業の域外上場を引き続き支援する」と表明した。 ■人民銀行:新規融資の適度な伸び維持で中小・零細企業を支援 国務院金融安定発展委員会の会議を受け、人民銀行総裁の易綱氏は会議を開催し、「金融政策で主体的に対応し、新規融資は適度な伸びを維持し、中小・零細企業を強力にサポートする必要がある」と指摘。そのうえで「実体経済の発展を支え、合理的な範囲内に景気の変動を維持する」と明言した。 ■外貨管理局:外為市場の安定運営を維持 外貨管理局は、外為市場の安定な運営を維持し、外部からの衝撃のリスクを積極的に防ぐと強調。同時に、不動産市場について「安定の中で前進を求める」との方針を堅持し、リスクを防ぐ必要があるとしている。また、プラットフォーム企業に関しては、企業の整理・改善を早期に完成させ、プラットフォーム経済の健全で安定した発展を促進し、国際競争力を高める方針を示している。 さらに、部門間の政策協調の必要性も強調。部門間で連携して市場が注目している問題に速やかに対応することで、市場予想を安定させるとともに、市場への信認を高める必要性を指摘している。 ■中国銀行保険監督管理委員会:システミックリスクを防止 中国銀行保険監督管理委員会主席の郭樹清氏も特別会議を開き、監督・管理の方向性、有効性を高めると指摘。同時に、「システミックな金融リスクが発生しないというボトムラインを守る」と強調した。 ■中国証券監督管理員会:香港の金融当局との連携で香港の資本市場支援 中国証券監督管理委員会は、香港の金融監督部門との協力を強化する点に言及。香港の資本市場との協力を強化し、共同で香港の資本市場の安定した発展を維持すると強調した。 ■市場心理の本格好転には様子見必要か 市場では3月の中期貸出ファシリティー(Medium-term Lending Facility、MLF)金利の引き下げが予想されていたが、今週は実施されず、緩和的な金融政策に不透明感が広がった。また、国内の新型コロナウイルス感染拡大による大都市での外出規制やロシア・ウクライナ情勢などもあり、中国本土、香港の株式市場は下落していた。 ただ、16日は前述のような中国金融当局の要人発言を受け、「当局が資本市場の安定を支える」との観測が広がり、中国本土、香港の株式市場はともに急反発した。ただ、投資家心理が完全に改善したかは「当面様子を見る必要がある」との見方が少なくない。

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中国、1~2月の不動産関連指標は低迷

中国の1~2月の経済指標のうち、不動産関連の指標については低迷が続いている。国家統計局によると、1~2月の不動産開発投資は前年同期比3.7%増。伸び率は2020年7月以来の低い水準だった。 不動産新規着工面積は同12.2%減。さらに、見逃せないのは不動産開発投資状況の先行指標とされる不動産企業の土地購入面積が前年同期比42.3%減の838万平方メートルに落ち込んだことだ。また、不動産投資との相関性が高いとされる鉄鋼、セメントの生産量はそれぞれ前年同期比10%減の1億5800万トン、17.8%減の1億9900万トンに落ち込んでいる。 足元の不動産企業の土地購入意欲が非常に弱い要因に関しては、不動産の販売が改善されず、資金繰りが悪化していることに影響しているとみられている。こうした状況を踏まえ今後については、不動産市場の安定した回復には一定の期間を要するとの見方が少なくない。

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中国、1~2月の経済指標は市場予想を上回るも3月の見通しは慎重

中国の1~2月の経済指標は市場予想を上回る結果が示された。特に、工業生産、投資の伸びが高く、内需牽引の経済成長が確認された。ただ、3月以降は国内で新型コロナウイルスの感染が拡大しているほか、地政学リスクの高まりなどで3月の経済指標は成長率が鈍化するとみられている。 国家統計局が3月15日に発表した1~2月の経済指標をみると、一定規模以上の工業生産高(付加価値ベース)は前年同期比7.5%増、固定資産投資は同12.2%増で、伸び率はともに市場予想(工業生産高4.0%増、固定資産投資5.0%増)を上回り、昨年6月以来の高い伸びを記録した。社会消費財小売総額は同6.7%増。こちらも市場予想(3.0%増)を大きく上回り、昨年7月以来の伸びを示した。 税関総署が先に発表した1~2月の米ドル建て換算の輸出は同16.3%増と、市場予想を上回っている。 統計局報道官は、足元の動向について「安定成長を目指す政策の下、工業生産、投資、消費の伸びが加速し、雇用、物価も総じて安定している」と指摘。「経済運営は合理的な範囲内で、今年1~3月期の堅調な出だしの基礎を固める格好となった」との見解を示した。 ただ、足元のコロナ感染拡大については、「消費を抑えるなど当地の経済回復に一定のマイナス影響をもたらす」と指摘。地政学リスクに関連しては、国内の輸入型インフレの圧力になると同時に企業コストの上昇につながり、特に零細企業の経営環境は比較的厳しいとの見方を示した。 今後については、各地のコロナ感染の状況が不透明で、経済への影響を見極める必要があると指摘。今年の国内総生産(GDP)5.5%前後の成長との目標達成には努力する必要があるとの見解を示している。

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深圳市ロックダウンで企業活動に影響、テンセントは在宅、台湾系工場は一時生産停止

新型コロナウイルスの感染拡大により、3月14日から20日までのロックダウン(都市封鎖)している中国深圳市で企業活動に影響が及んでいる。 深圳市はテンセントや華為(ファーウェイ)などの大手企業が本拠地を構えている。このうち、テンセントは市の政策に対応し、深圳内のビジネス往訪を暫定的に禁止するとともに、深圳エリアの従業員全員に在宅勤務を要求。華為やドローンのDJIなども在宅勤務としている。 ハードウェアの生産拠点である深圳市は台湾系メーカーの集積地でもある。このうち台湾の鴻海集団は、アップルのiPhoneを受託生産している深圳の富士康の工場の生産を一時停止したと発表。生産中断の影響を抑えるため、一時停止している生産分を他の生産拠点に移すという。 台湾の中央通信社によると、14日午後5時時点で鴻海のほか60社以上の台湾メーカーが深圳の工場や子会社の一時運営停止を発表。組み立て加工やプリント基板など広範な範囲に影響が及んでおり、世界的なサプライチェーンへの影響が懸念されている。

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中国でコロナ感染拡大、今年のGDP目標達成に注目

中国で新型コロナウィルスの感染が拡大している。加えて、ロシアのウクライナ侵攻で世界的にエネルギー価格が上昇する中、中国が今年の国内総生産(GDP)5.5%前後の成長という目標を達成できるのかに注目が集まっている。 国家衛生健康委員会によると、中国のコロナ感染は27省・市に広がっており、3月1日から13日までの間に1万件以上の域内感染が報告された。うち深圳市は3月14日から20日までロックダウン(都市封鎖)を発表。また、上海市では学校がオンライン授業に移行するなどしている。こうした中、足元では消費だけでなく、インフラや不動産の建設にもマイナスの影響が及んでいる。 景気の下振れリスクが懸念されるが、中国は今秋5年に1度の共産党大会が開催される。それだけに安定成長が重要になっている。こうした中、安定成長に向け政府が景気の下支え措置を打ち出す可能性が指摘されている。こうした景気下支え策などで、今年のGDPについては「第1四半期は低成長にとどまる可能性があるが、その後は回復し22年通年では5%以上の経済成長率が達成可能」との見方も出ている。