米国利上げも中国は緩和的な金融政策維持か
米連邦準備理事会(FRB)は3月16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利引き上げを決定した。米国が利上げ局面に入る一方で、中国は緩和的な金融政策を維持するとの見方が多い。
前回の米国の利上げ局面(2015年~2018年)でも、米中の金融政策は分化し、中国から一時、当期の経常収支黒字を上回る大規模な資本が流出し、外貨準備高は4兆米ドルから3兆億ドル前後に減少。人民元の対米ドル相場は1米ドル=7人民元に近づき、「資本流出、外貨準備減少、為替レート下落」という悪循環を形成した。こうした中で18年当時、中国人民銀行の易綱総裁は幾度となく公の場で、「中国は大規模な経済圏で、金融政策は国内経済を支えることが中心で、金融政策の決定も国内の経済情勢や物価動向を考慮して事前調整や微調整を行う」と述べ、国内情勢を優先的に目配りする必要性を強調していた。
折しもFRBの利上げ直前、中国の国務院金融安定発展委員会は16日、特別会議を開き「第1四半期の経済の活性化に向け金融政策で積極的に対応し、新規融資の適度な伸びを維持しなければならない」との方針を表明。緩和的な金融政策の継続で景気を支える姿勢を示唆した。
こうした動きを踏まえ、今後については「米国との金利差拡大で、中国からの資本流出圧力は一定程度強まる可能性はあるが、中国は、国内を主体にした独自の金融政策で対応していく」とみる向きが少なくない。