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中国当局、景気安定化へ新型インフラ建設投資加速~外部環境不透明で内需拡大がカギ

中国当局が景気下支え策としてインフラ投資を拡大する方針を示している。中でもデジタル経済を支えるための新型インフラ建設投資を加速する方針だ。外部環境が不透明な中で中国当局が外需をコントロールするのが難しい中、内需拡大が景気安定化の重要な手段とされている。 ■国家発展改革委員会、新型インフラ投資への社会資本の参画を促進 新型インフラは、従来の鉄道や空港、港湾などの交通インフラ整備を主力とするインフラと異なり、デジタル経済を支えるためのインフラで、5G、超高圧(UHV)送電、都市間高速鉄道、ビッグデータセンター、人口知能(AI)などの分野を含む。新型インフラは、社会全体のデジタルフォーメーションへの転換を通じた経済・産業の高度化を促すと同時に、内需拡大を促進する側面もある。 景気の下押し圧力が強まる足元では、中国政府は景気下支え策の一環として、新型インフラ整備の加速を強調しており、今後、新型インフラ建設への投資誘導を強化する方針。国家発展改革委員会は9月26日の記者会見で、中長期融資や専項債(地方債の一種で収益性のあるプロジェクトの資金調達用)などの手段を有効に活用し、新型インフラ建設への資金支援を強化すると同時に、社会資本が積極的に投資参画できるよう誘導するとの方針を表明。特に、新型インフラ建設は、実体経済を牽引する役割が大きいだけに優先的に支援するとの見解を示した。 また、重大科学技術インフラ建設などの建設計画を着実に実行。同時に、中西部地域や中小都市のインフラ整備を加速するとともに、5Gや人工知能(AI)、ビッグデータなどの新技術が国民生活に密接に関連する民生インフラ施設に応用できるようサポートを強化する方針を明示している。 国家統計局によると、8月のインフラ投資は前年同月比14.2%増で、伸び率は7月を5.1ポイント上回った。1~8月の累計では前年同期比8.3%増。4カ月続けてのプラス成長となっている。 ■官制メディア、「内需拡大が優先事項」 国営メディアでも景気下支えのための内需拡大の必要性を強調している。新華社傘下の経済参考報は、地方経済の安定こそが、国の景気の下支えに重要であることを主旨とする文章を掲載。その中で、「多くの地域では景気が回復傾向にある」としながらも、「目下、国内外の経済情勢は複雑で厳しく、景気が持続的に回復、好転する基盤は引き続き強化しなければならない」と指摘。「中でも消費需要を喚起するとともに、有効な投資を拡大することが最優先事項である」と、内需の重要性を訴えている。 中でも投資の拡大は景気の安定においてカギを握るとし、河南省や江西省で重要なプロジェクトを展開し、景気安定化に投資の役割が拡大している点を強調している。 ■中長期も投資拡大へ~今5カ年計画期間のエネルギー投資は2割以上増加と当局見通し 中期的にも投資拡大は有効な経済運営手段の一つとされる。国家エネルギー局は同じく9月26日の記者会見で、第14次5カ年(2021~25年)計画期間中のエネルギー分野の重点投資について、第13次5カ年(16~20年)計画期間に比べて2割以上増加するとの予想を示した。国家エネルギー局計画司の宋雯副司長は、「発展改革委員会とエネルギー局は第14次5カ年計画の重要プロジェクトの完成・稼働を加速しており、効果的な投資の余地を積極的に開拓している」と指摘。「効果的な投資を拡大し、経済の安定的な運営を促進するために力強い原動力を提供する」との見解を示している。

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中国が打ち出した「新しいインフラ整備」―何が背景で何を狙っているのか

中国共産党の中央財経委員会は4月26日、インフラ整備の強化の方針を正式決定した。インフラ整備の強化を「内需拡大」に結びつけることが強調されたことが大きな特徴だ。それ以外に、インフラ整備を経済の「国内国外のダブル循環」と「質の高い発展」に結びつけることも強調された。 ■中長期的国内外の情勢を念頭に、強い目的意識をもって判断 中国では、コロナウイルス感染症が増加したために3月末から上海市で人の移動の極めて厳しく制限するなど、各地で厳しい対応が続いている。感染症対策は経済にとって逆風になる。そのためか、中国国外ではインフラ整備の強化はコロナ対策の一環と理解された場合が多い。 しかし、「インフラ整備」の主たる目的がコロナ対策と理解することは不自然だ。その理由とは、中国当局によるかねてからの「内需拡大」の位置づけだ。 経済成長を実現させる三本柱は「輸出」、「投資」、」内需」とされる。そして中国政府は2010年代から、「内需の拡大」を特に強調してきた。また、米国のトランプ前政権とバイデン現政権による「中国締め出し」で、中国が経済を成長させるために輸出に過度に頼ったのではリスクが大きいことが、改めて鮮明に示された。 つまり、中国にとって内需拡大の重視は、長期的視野に基づく成長モデルの転換の一環であり続けてきた。新型コロナウィルス感染症が発生しているからには「さまざまな手を先に先に打つ」ことは当然考えられるだろうが、インフラ整備が単純なコロナ対策として位置付けられているとは考えにくい。 ■方向性を見定めた上でインフラ整備に注力 インフラ整備の強化について言及があった「国内国外のダブル循環」とは、20年5月に公式に表明された経済政策の大方針だ。まずは、「中国は市場規模が極めて大きく、今後も内需拡大の余地は大きい」と認識する。その内需がけん引する国内の経済循環を活性化し、その上で国内での経済循環を国際的な循環を接合させる方策だ。 つまり「国内国外のダブル循環」も内需拡大に直接関係している。これらのさまざまな施策を通じて実現を目指す、より健全な経済成長や社会の改善を一言で表現すれば「質の高い発展」ということになる。 インフラ整備に注力する上で、つねに問題になるのは財源だ。中央財経委員会はインフラ整備の強化について「大盤振る舞いはしない」と明言した。つまり効果がはっきりと期待できる分野や方向性に絞って、投資を進めるとの考えだ。 中国の最近の政策としては、貧困撲滅運動の際に「精準(ジンジュン、=極めて精確に)」という言葉が繰り返し使われた。すなわち資力や人力最も効率よく「ピンポイント」に近い方法で投入するということだ。インフラ建設についても同様に、「効果」を重視して長期に渡りきめ細かい取り組みを進めていくことになるはずだ。 ■共産党中央が示したインフラ整備の具体的分野とは 中央財経委員会は、インフラ整備で力を入れる分野について交通、エネルギー、水利などのネットワーク型インフラ建設を強化により、効率を高める努力をすべきと表明した。エネルギーについては分散型スマートグリッドの開発やグリーン・低炭素エネルギー拠点の構築、石油・ガスパイプラインネットワークの整備を加速させる。 人口1人当たりの降水量が少ない中国では、水資源利用の効率化が極めて重要だ。一方で、大陸国である関係で、河川の上流部分が増水あるいは氾濫すれば、影響は下流の極めて広い範囲に及ぶ。そのため、そのため、重要な水源、灌漑地域、洪水防止のための貯水地域の建設と近代化が促進されることになった。 もちろん、情報・技術・物流などの産業高度化のためのインフラ建設も強化される。さらに具体的には新世代のスーパーコンピューティング、クラウドコンピューティング、人工知能プラットフォーム、ブロードバンドインフラネットワークなどを配置や構築だ。 それ以外にも、都市インフラの建設を強化して、快適で安全な生活を確保する。スマート道路、スマート電源、スマート公共交通などのインテリジェント・インフラの建設も強化される。農村部の水利や交通も整備され、都市と農村のコールドチェーン物流施設の建設も加速する国家安全保障基盤の構築を強化し、極限状況への対応力強化も強化される。 中国では長年にわたりインフラ整備が進められており、大きな成果が達成されてきた。しかし、国土が広く人口も大きいだけに、いまだに「満足してよい状態」とまでは言えないのが現実だ。特に農村部でのインフラ整備では、まだやらねばならないことが多いとされる。また、最近になって重視されるようになった「デジタル化の推進」などについては、従来はなかった種類のインフラが多く必要となる。 インフラ整備には多くの企業が参画することになる。企業にとってはビジネスチャンスだ。中国でインフラ整備が加速されれば、日系企業にも恩恵がもたらされる可能性が出て来る。 中国各地では、地域の実情に沿う方向でインフラ整備が推進されることになる。中国でビジネスを展開するならば、それぞれの地方で求められている商品やサービスをいち早く察知して提供することが、極めて重要だ。 ■中国経済が、日本にも大きな影響 ここで、日本の「足元の状況」を見ると、中国での新型コロナ流行の影響を受けていることは事実だ。帝国データバンクが5月17日付で発表した日本企業に対するアンケート調査の結果によると、中国におけるロックダウンによって企業活動に「すでにマイナスの影響がある」あるいは「今後、マイナスの影響が出る見込み」と回答した企業が計48.8%だった。 日本で特に注目されているのは、上海でのロックダウンだが、それ以外の都市でもロックダウンが実施されている。例えば中国に製造拠点を置く日本の企業の場合、自社に直接関係する工場の所在地がロックダウンの対象にならなくても、中国各地で実施されるロックダウンの影響でサプライチェーンが寸断され、通常の操業が出来なくなる場合もある。 日本にとって、中国経済が順調に推移することは、極めて重要だ。コロナの影響であれ、それ以外の要因によるものであれ、中国経済が混乱すれば日本経済は大きな“打撃”を被ることになる。であるからには、中国が経済分野の困難をいかに乗り越えるかは、日本経済にとって、さらには世界経済にとって決して「対岸の出来事」ではない。(構成 / 如月隼人) 筆者プロフィール:如月隼人。東京都生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒。1987年から91年にかけて北京に留学。帰国後は編集記者として活動。扱う内容は主に中国や中華圏の政治経済や社会情勢、科学技術など。歴史や文化、伝統芸術についても多く執筆してきた。

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脱炭素社会実現に向けた商用EV普及に関する業務協定締結のお知らせ

比亜迪股份有限公司(以下、BYD)の日本法人ビーワイディージャパン株式会社(以下、BYDジャパン)と、みずほリース株式会社(以下、みずほリース)はこの度、脱炭素社会構築に向けた商用EV普及への取り組みを進めるべく、業務協定契約を締結いたしましたのでお知らせいたします。  BYDは、バッテリーメーカーとして創業して以来培った技術力を強みとして、70超の国と地域で電気自動車を展開しており、なかでも、電気バスの世界累計販売台数は約7万台に上ります。BYDの日本法人であるBYDジャパンは、2015年に中国自動車メーカーとして初めて日本に電気バスを納入して以降、現在では国内電気バスシェアの約7割(※1)にあたる累計64台の電気バスを納入し、公共交通の電動化を推進してまいりました。 みずほリースは、2019年度から推進する当社の第6次中期経営計画において、社会構造の変化を捉えた注力分野やお客様のビジネスモデルの高度化に対応した新ビジネス戦略に取り組むとともに、さまざまな業種のアライアンスパートナーと協業を活かした柔軟なサービス提供を通じて、社会課題解決に努めてきました。  昨今、日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けて、さまざまな車の電動化が全国で加速度的に進むことが予測される中、電気バスは、ディーゼルバス比で最大4割程度のCO2排出削減効果が見込まれ、(※2)脱炭素社会構築に寄与するものとして注目が高まっています。また、電気バスは、災害時に非常用電源としても活用できるほか、被災地に移動して冷暖房完備の避難所としても活用できるため、事業者や自治体におけるBCP対策としても検討・導入が進められています。  BYDジャパンは、ブランドミッション「Technological innovations for a better life(技術革新によって、より良い暮らしを実現する)」のもと、環境負荷を低減する電気バスの販売を通じて、脱炭素社会の実現に寄与することを目指しております。 一方、みずほリースは、2021年5月にサスティナビリティへの取り組み方針を定め、環境・社会課題の解決に対する取り組みを事業戦略と一体化して推進し、お客様と「価値共創・協働」を実現する事業金融パートナーとなることを目指しております。  そこで、両社は脱炭素社会構築に向けた商用EV普及の取り組みを進めるべく、業務協定を締結いたしました。本協定に基づき、BYDジャパンが培った電気バスに関する知見と、みずほリースがさまざまな分野で培ったファイナンスのノウハウを活用し、両社は環境に優しい商用EVの普及を図り、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。 ※1 2022年4月11日時点、BYDジャパン調べ※2 国土交通省「電動バス導入ガイドライン概要」https://www.mlit.go.jp/common/001265917.pdf BYDジャパンが販売する電気バス —————————–【報道関係お問い合わせ】■ビーワイディージャパン株式会社 広報担当 長井Email:japanpr@byd.com ■みずほリース株式会社コーポレートコミュニケーション部TEL:03-5253-6540 —————————–記載されている会社名・製品名は、各社の商標、もしくは登録商標です。