中国NEV新興企業の5月の納車台数、明暗が鮮明に
中国の新エネルギー車(NEV)新興企業による5月の納車実績が発表された。値下げ合戦など競争が激化する中国のNEV業界。企業ごとの明暗が分かれている。好調なのは理想汽車(Li Auto)、哪吒汽車(Neta)、零跑科技(Leap Motor)。一方、当初新興勢力の御三家と言われた蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(Xpeng Motors)は低迷している。
■理想、3か月連続の2万台超え
新興企業で5月の納車台数トップは理想汽車。納車台数は2万8,277台で、前年同月比146%増、前月比10%増。3か月連続の2万台超えで、単月の納車実績としては過去最高を更新した。今年1~5月の累計ベース10万6,542台に達している。理想汽車の販売好調の要因としては、デザイン性などよりも機能性や実用性を重視する消費者が増えており、こうした消費者のニーズを満たしているためとみられている。
■Neta、月ごとに販売増加
次いで哪吒汽車(Neta)。納車台数は1万3,029台で、前年同月比で18%増、前月比で17.5%増。
Netaは今年に入り、月を追うごとに納車台数を伸ばしている。1月こそ春節の影響(昨年は2月が春節)で6,016台にとどまったが、2月は1万73台、3月が1万87台、4月が1万1080台だった。
Netaは成長スピードが速く、2022年1月に販売台数が10万台を突破。その後、新興勢力の中で初めて、販売1年目で販売台数が15万台に達した企業となった。
Netaは今後、価格を抑えて販売を後押しする予定。5月に投入した「哪吒S 520 Lite」と「哪吒S 520」シリーズは価格を20万元以下に抑えている。
■Leap、EREVに注力
Netaに続いて好調だったのは零跑科技(Leap Motor)。納車台数は1万2,058台。前年同月比で19.75%増、前月比で38.1%増だった。同社は、プラグインハイブリッド(PHEV)中でもレンジエクステンダーを搭載した電気自動車は「EREV」(Extended-Range Electric Vehicle)に注力。全国乗用車市場情報連合会(乗連会)によると、今年第1四半期、NEV販売台数に占めるPHEVの割合は30%を超過。こうした中、5月のLeapの納車台数のうち、約7,100台がEREVの「C11」だった。販売価格帯は15万~20万元となっている。
価格競争が激化する中、Leapは製品構造を見直して収益性も改善している。1台当たりの平均販売価格は2022年の13万6000元から現在は16万8000元に引き上げられ、収益性が改善。2023年第1四半期の純損失は11億3,300万元で、前四半期の純損失(13億2500万元)に比べて縮小している。
■小鵬とNIOは低迷
一方、販売が低迷しているのは小鵬汽車(Xpeng Motors)と蔚来汽車(NIO)。小鵬汽車の5月の納車台数は7.506台で、前月比では6.0%増だったが、前年同月比では25.8%減と大幅な落ち込みとなった。同社は昨年9月以降、販売が低迷。月次の販売台数は、昨年12月以外は1万台を割り込んだ推移が続いている。
NIOの5月の納車台数は6,155台。前年同月比12.3%減、前月比7.5%減と落ち込みが目立つ。今年2月以降、NIOの納車台数は月を追うごとに減少。2月が1万2,157台、3月が1万378台、4月が6,658台、5月が6,155台という状況で、年間販売目標(25万台)に対する進捗率は17.5%にとどまっている。
NIOは納入実績の落ち込みについて、第2世代技術プラットフォームであるNT2.0プラットフォームへの切り替えを推進しているため、多くの製品がモデルチェンジ期にあり、納入できる製品が「ET5」と「ES7」のみのためと説明している。このため、同社は製品のモデルチェンジを加速。SUVモデル「新型ES6」が5月24日に発売された。ただ、販売価格は36万8,000元~55万4,000万元で、「高すぎる」との声も上がっている。
■AITOは販売回復
他方、依然として納車台数は少ないが納車台数の増加がみられるのはAITO。AITOの今年に入ってからの納車台数は1月が4,475台、2月が3,505台、3月が3,679台、4月が4,595台、5月5,629台。5月は前年同月比11.84%増、前月比22.7%増だった。
AITOは5月下旬、生産台数が10万台を突破。新興NEVメーカーにとって10万台は一つの節目とされ、その節目を突破。今後は成長に一段と弾みが付くかに注目が集まっている。
AITOは華為(ファーウェイ)のソフトである「鴻蒙(ハーモニー)OS」を搭載。ファーウェイのスマホアプリから操作が 可能で、自動車と携帯電話の一体化において強みを持っている。