党大会後の中国外交、新たな意義は?~中国人民平和獲得・軍縮協会副会長、中央連絡部元副部長の于洪君氏

中国共産党第20回全国代表大会(党大会)閉幕後1カ月余りの間、中国は外交面で積極的に海外から要人を迎え入れると同時に、要人を海外に訪問させた。習近平・国家主席は先ごろ東南アジア、中東を歴訪した。同時に、中国はベトナム、パキスタン、タンザニア、ドイツ、キューバ、モンゴル、ラオスなどの首脳を相次いで迎え入れたほか、欧州理事会のミシェル議長が就任後、初めて訪中した。党大会以降の中国の外交の新たな意義はどこに示現されているのか。中国人民平和獲得・軍縮協会副会長で中央連絡部元副部長の于洪君氏にインタビューを行った。

中国外交の新たなスタートと国際社会の受け止め

中国新聞社:党大会後、中国の積極的な外交活動に対し、国際社会は高い関心を寄せている。現在の中国の外交の新たな意義はどこに示現されているのか?

于洪君:党大会後、習主席が東南アジア、中東を歴訪し、数々のイベントに出席した。いずれも、示唆に富み、影響力が大きい歴訪だった。複雑に絡み合う国際情勢に直面する中、一連の外交は、中国が世界の発展を促進し、グローバルガバナンスをリードするとのメッセージを発信するとともに、責任ある大国としての役割を明確に示した。これは、党大会後、新たな中国式現代化を開始した中国共産党と中華民族が国際社会に発した最初の強いシグナルといえる。

党大会閉幕直後に、海外の要人が相次いで訪中したことに象徴される中国独自の大国の「本拠地外交」も、世界の注目を集めている。中国の首脳外交と一連の外交活動、輸入博などの重要なイベントを通じて国際社会が受け取ったもう一つの重要なシグナルは、「平和の赤字」、「発展の赤字」、「安全保障の赤字」、「ガバナンスの赤字」が増える一方で、世界が再びどこへ向かうかの選択に直面している状況下、中国は世界平和を守り、共同発展を促進するという外交政策の主旨を堅持し、人類運命共同体の構築の推進に力を注ぐということである。

海外の要人の訪中後に生じた国際的な影響や世論の反応を見ると、国際社会は党大会前後の中国の独自の大国外交の新局面についてもう一つ重要な受け止めがあった。それは、独立・自主の平和外交政策を堅持し、平和的発展・協力・ウィンウィンの外交理念を厳守すると同時に、中国は依然として理非曲直に基づいて国際・地域間問題に対する政策、立場を決定するということだ。

「中国孤立論」は自滅

中国新聞社:中国の相次ぐ首脳外交で、所謂「中国孤立論」は破綻しているが、これについてどうみているか?

于洪君:ここ数年、米中関係は両国の国交正常化以来、最も複雑で厳しい局面に直面しており、中国とEUの関係もこの影響を受けている。一部の西側政治家やメディアは、この機会を利用していわゆる「中国孤立論」を煽り、強権政治の真相を隠蔽し、覇権主義者の衝突、戦火の拡大に国際世論の目を引くようにしている。

事実、改革開放、特に中国共産党第18回全国代表大会以降、「中国は世界を必要とし、世界は中国を必要とする」ことが国際社会の普遍的な共通認識になり、これに伴い、「中国は世界に向かい、世界は中国に入る」という双方向の相互作用が日増しに強まった。「一帯一路」構想は多くの国が受け入れる公共財となり、数々の国際組織・機関の正式文書に盛り込まれている。中国は大規模な国際会議やフォーラムを開催し、世界の要人や各界の代表者らに多くの交流、対話の場を提供している。無理やり「孤立」の帽子を中国の頭にかぶせる者は、「中国脅威論」を唱え、「中国衰退論」を唱える者と同じである。

中国の発展の成果、統治モデルの影響力、模範効果は、周辺地域だけでなく世界全体に波及している。中華民族の包容・協力の良好なイメージが明確に示され、人類社会の平和的発展と進歩・繁栄に対する中国の独自の役割と貢献も示現している。今日の世界において、複雑に絡み合う共通の試練に対応するには中国の存在が欠かせない。

だからこそ、上海協力機構への加盟を申請する国が増え、BRICS協力メカニズムへの加盟を希望する新興経済体が増え、貿易、経済、航空、民生用原子力などの分野で中国側と協力を深めている。

グローバルガバナンスの優先事項

中国新聞社:今日の複雑な国際情勢の下、グローバルガバナンスの必要性が高まる中、G20は当初の危機対応という役割から長期的なグローバルガバナンスに転換する過程で多くの課題に直面している。中国はその中でどのように位置づけ、より大きな役割を果たすべきか。

于洪君:G20は現在、先進国と発展途上国の指導者が平等に対話する世界唯一の枠組みで、グローバルガバナンスと地域経済協力を推進する重要なプラットフォームだ。G20は1999年12月から始まり、過去を継承し、未来を切り開く象徴的な意味合いを強く持っている。過去20年余り、先進国の指導者と新興市場国の指導者が、世界経済、グローバルガバナンスの課題をともに協議することができたことは、それ自体が国際社会が共同に発展、共同に進歩していることを体現している。

2022年11月にインドネシアバリ島で開催されたG20は、これまで経験のない大きな変局に焦点を当てた。特に新型コロナウイルス感染という疫病が猛威を振るい、ウクライナ危機が長引いている背景の下、世界経済の現状と動向が焦点となり、ともにこの難局を克服しなければならない緊急性を示した。サミット宣言には中国側の国際経済協力分野における重要な理念・主張が盛り込まれ、制定されたG20実務協力プロジェクトリストにも中国側が提出した15の協力プロジェクトとイニシアチブが含まれた。

中国は、広範な国・地域が参画する経済のグローバル化と、共同で構築するグローバルガバナンスを主張している。責任ある発展途上の大国として、グローバルガバナンスの積極的な参加者、牽引役として、国際秩序、国際関係ルールの擁護者として、中国は引き続きG20とAPECの枠組みの下、各種の対話、交流、協力を支持し、参加すべきである。これは中華民族が全面的に復興し、世界の舞台の中心に近づくという歴史的使命によって決定されたことでもある。

中国新聞社:今年のG20、APECを含む国際会議の場ではウクライナ問題に言及されず、テーマの中心は世界の発展にあった。これは、グローバルガバナンスの優先事項であることを示しているのか?

于洪君:G20もAPECも国際的な経済協力を推進し、世界経済の発展を振興することが目的だ。いずれの会議後の宣言も、G20とAPECは安全保障問題を解決するフォーラムではないことを示しているが、安全保障問題は世界経済に大きな影響をもたらすものだ。全体的に見ると、ウクライナの地政学問題に対する関心は会議の既定のテーマに影響を与えず、世界経済、グローバル経済ガバナンスが中心となった。

これは、世界経済あるいは人類社会の発展が依然としてG20とAPECの圧倒的多数のメンバーが注目する最重要事項であり、依然としてグローバルガバナンスの最重要課題であることを物語っている。世界経済のバランスのとれた、健全な、持続可能な発展を推進し、世界経済の秩序と国際貿易環境を改善し、広範な発展途上国を積極的に支援し、気候変動、エネルギー安全、食糧安全などに共同で対応することは、依然としてグローバル対話、グローバルガバナンス、グローバル協力の優先事項である。

米中関係の現状と行方

中国新聞社:米中関係は現在、世界で最も重要な大国と二国間関係の一つであり、中国外交の重点方向の一つでもある。中米首脳のバリ会談は米中関係の発展にどのような影響をもたらすか?

于洪君:今回の米中首脳会談は国際社会の高い関心を集めた。近年、米中関係が両国の国交正常化以来、かつてなかった緊張状態にあるからだ。米国は世界最大の経済大国、唯一の超大国。中国は世界第2位の経済大国で、世界最大の貿易国、外貨準備国である。中国の製造業が世界経済の成長を牽引する役割も世界最大である。

さらに重要なのは、中国の開発途上国へのアピール力、国際関係への影響力、特に国際秩序の形成に対する力が急速に高まっていることだ。この背景の下、米国の中国の戦略に対する懐疑心は強くなり、中国の平和的発展を阻止、抑制する動きが大きくなっている。国際社会は、米中関係が引き続き悪化することを懸念し、両国関係が「制御不能な事態」に陥ることを懸念している。

今回の米中首脳会談では米中関係および世界の平和に関わる重大な問題について率直かつ踏み込んだ意思疎通が行われた。台湾問題は中華民族の核心的利益にかかわる問題で、米中関係の難題であり、焦点でもある。会談では米側も「二つの中国」や「一つの中国、一つの台湾」を支持しないと表明した。双方は会談で、首脳会談で得られた成果を実行に移すため、両国の関連部門が引き続き交渉していくことにも合意した。このような共通認識を前提に、このほど米中の国防相会談が開催され、米国務長官の訪中が日程に上がったのである。

国際社会は今回の会談の効果、意義を概ねポジティブに評価した。これは両国が関係の衝突回避のために取った大きな行動で、米中関係の行方と国際構造に大きな影響を与えるものだ。もちろん、米国の内外政策は従来から複雑で変化に富んでいる。バイデン政権が実際の行動で約束を果たすことができるのか、米中関係がすでに始まった緊張感緩和の流れを維持できるのか、冷静に見極めなければならない。米国側が引き続き両国関係を損ない、首脳会談の成果を損ねる可能性に対し、中国は十分な準備と事前策を持たなければならない。(翻訳:香港ポスト)

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