北京が「特別な歴史と文化の街」とされるのはなぜなのか―中国メディアが解説 

　北京は中国だけでなく世界にとっても特殊な都市と言える。現存する都市としての古さはギリシャのいくつかの都市やローマなどに匹敵する。そして、長年にわたり中国という巨大国家の首都であり続けて現在に至る。幾何学的に東西対称に構築された巨大都市として世界に比類がない。中国メディアの中国新聞社はこのほど、歴史や文化を中心に北京を紹介し、今後の進路についても言及する文章を発表した。以下は同文章の記述に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。

　■悠久の歴史を通じて発展した北京、新たに目指す都市としての地位とは

　北京には今から70万年前の人類の遺跡がある。都市建設の歴史は3000年以上で、「国都」としての機能が追加されてから860年以上の都建設史がある。北京は古くから多くの民族が交流し融合した場所であり、歴史の悠久さと重厚さ、文化の多元性では、現在の世界のさまざまな首都の中で、かなり際立っている。

　現在の北京の地は、周代から燕と呼ばれた国の首都だった。唐代などに北方や東方を押さえるために設置された幽州の中心部も現在の北京市街地の南東部の一角だった。北京は一貫して中国の中央部と北方や東方の交通の要衝（ようしょう）だった。

　中国の北部を支配した金朝は1153年に現在の北京に遷都して「中都」と名づけた。金朝は中国全国を統一したわけではないが、より広域を支配する国の首都としての機能が追加された。「中都」の規模は現在の北京より小さく、その位置は現在の北京市市街地の南西部だった。そして元朝のフビライ帝は「中都」の北東に隣接する土地に改めて大規模な都市を建設して「大都」と命名した。北京の地は名実ともに中国全国の首都になった。

　中華人民共和国が成立した後、政治の中心や文化の中心としての北京の地位はいっそう際立つようになった。中国政府は2014年、「四大センター」としての北京の位置づけを明確にした。すなわち、全国政治センター、文化センター、国際交流センター、科学技術革新センターだ。

　北京市の最新の都市全体計画では、歴史の長い古都文化、豊かで重厚な紅色文化（革命文化）、特色のある京味文化（都としての食文化）、勢いよく勃興するイノベーション文化の伝承や発展に力を入れることが提唱された。北京は2035年までに、自らの文化に自信を持ち多元的包容力を示す世界における文化の名都市になり、2050年までには中華文化をさらに発揚し、時代の流れをリードする世界的な文脈からしてもシンボル的な都市になる計画だ。

　■世界主要国の首都と比べても際立つ北京の特徴とは

　世界に目を向ければ、特定のキーワードと共に語られる首都は多い。「ファッションの都」のパリ、「アニメの都」の東京、「クリエイティブの都」のロンドンなどだ。多くの首都都市は独自の文脈を持ち続けてきた。これらの都市は他をリードする文化資源や文化施設、文化ブランドを有している。伝承してきた独自の歴史文化絶えず革新して、文化のソフトパワーや発展のハードパワーを構築している。

　これらの著名都市と比べても、北京は独特の競争力を持っている。例えば、北京は完璧に近いほど東西対称に作られている。これは、パリにも東京にもロンドンにもない大きな特徴だ。北京市の南北を通る中軸は、北京城の「背筋」であり「魂」でもある。北京ではここ数年、この中軸線上の100項目以上の文化財修復プロジェクトが次々に開始された。

　北京はまた大運河、長城、さらに盧溝橋が架かる西山永定河の3本の文化遺産を伴っている。北京は自然にも恵まれて、その上に都市発展の記憶をとどめており、中華文明の精華と言える地だ。北京の「首都の風格、古都の風格、時代の風貌」という都市の特色は明確だ。

　北京市でもかつては古い街並みの取り壊しなどが行われたが、現在では「旧市街をこれ以上取り壊すことはできない」という大原則が確立された。近年は、裏通りや路地を整備して質を向上させている。歴史的な街並みは落ち着きを取り戻した。市民の昔の記憶を生かし環境を改善し、文化の伝承の中で市民生活が営まれる街になりつつある。

　北京ではここ数年来、「大型ドラマで北京を見る」、「映画やテレビで北京を見る」、「良書で北京を見る」という、文化創作活動と連動して北京を世界に知らせる努力が行われている。公共文化施設のネットワークシステムを整備し、「夏冬五輪大会の都市」、「書物の香り漂う都」、「博物館の都市」などのイメージを形成する努力もされている。

　■「中国を物語る」ための重要な文化情報の発信プラットフォームを目指す

　北京ではすでに中国全国及び世界に対する影響力がある各種プラットフォーラムが形成された。中国国際サービス貿易交易会、中関村フォーラム、金融街フォーラムなどの仕組みだ。

　7月25日から26日にかけて開催された北京文化フォーラムでは、北京市に改めて文化プラットフォーム群を出現させることが提唱された。文化建設の成果の展示や交流のプラットフォーム、文化発展の協力プラットフォームなどの建設で、北京をこれまで以上に、「中国を物語る」ための重要な情報発信プラットフォームにしていくことを目指す。

　歴史遺産や古く奥深い文化は、都市の生命の一部だ。北京は優れた伝統文化をしっかりと伝承し、同時に開放的な気持ちで異なる文明と交流し、互いに参考にせねばならない。正統性を守ると同時に革新を進めることで、中国全国の文化センターとしての建設を推進し、文化のソフトパワーと国際的影響力を高めねばならない。さらには、素晴らしい文化を保持していることが、市民の素晴らしい生活につながる都市にならねばならない。

（構成 / 如月隼人）