「中国経済悲観論」を乗り越え  対中政策の「自立性」を取り戻せ

中国経済の成長鈍化、米中対立の激化及び経済安保促進法の成立などの影響により、中国経済への「悲観論」は日本国内で広まっている。しかしながら、こうした論調を持った人の多くは、中国経済の実態があまり認識できていないと思われる。中国からの撤退や規模縮小を検討する外国企業は確かに増えてきたが、その中、投資規模が小さく、中国での事業展開がうまくいかない企業が多く、対中投資総額に占める割合は限られている。

中国経済の長期的な高成長は終わったものの、今後10年間少なくとも年3~4%の成長率を維持する可能性は十分ある。
中国経済の長期的な高成長は終わったものの、今後10年間少なくとも年3~4%の成長率を維持する可能性は十分ある。

一方、米中対立激化の中、両国間の貿易額は2022年に最高を更新し、EUと中国の貿易額も前年同期比5.6%増加し、5.6兆元を上回った。また、日系企業の対中投資に大きな変化が見られず、一部有名な在中日系企業は投資額が大幅に増えている。こうした状況から、日本国内の「中国経済悲観論」が明らかに事実と合わないことがわかる。

中国経済の長期的な高成長は終わったものの、今後10年間少なくとも年3~4%の成長率を維持する可能性は十分ある。1月30日、国際通貨基金(IMF)は2023年中国の経済成長率予想を4.4%から5.2%に引き上げた。中国経済の将来性を見据え、中国市場が最も魅力的であるという基本的な見方は、世界の一流企業が対中投資姿勢を変えようとしない主な理由の一つである。中国市場の魅力は、巨大な規模だけでなく、各地方政府が積極的に外資を誘致・支援する姿勢にもある。2022年のRCEP発効に伴い、日本と中国、ASEANの間に貿易と投資の自由化と利便性は大幅に向上し、域内既存の産業チェーンの分業と協力がより推進されている。また、中国はTPP(環太平洋パートナーシップ)への加盟条件を満たすため、国内の投資環境の改善にも取り組んでいる。これらは外国企業の対中投資のさらなる拡大に有利であろう。

日本の対米追随外交と異なり、EUはより自立的な対中政策を取っている。バイデン政権の対中政策は、民主主義VS権威主義というイデオロギー対立の構図に立脚し、中国を「最も主要なライバル」と見なしている。経済・貿易分野においても、バイデン政権はトランプ政権時代に引き上げた対中貿易関税の継続や半導体の輸出規制強化などを通して、事実上のデカップリングを実施している。一方、EUは中国を複数の角度から扱い、政治体制上のライバルや市場での競争者としながらも、気候変動や感染症など地球規模の課題に取り組む協力者とも見なしている。つまり、EUは政治・外交分野で中国と食い違いがある一方、経済・貿易分野では中国を重要なパートナーとみなしている。対中政策の足並みは米国と一致していないと見られる。2022年11月にドイツのシュルツ首相がドイツの有名大手企業12社を率いて訪中し、中国との経済貿易協力を強化したのは、その証拠であろう。

中国のゼロコロナ政策が調整されるとともに、外国主要企業の対中投資は再び拡大するだろう。日本は「中国経済悲観論」という誤った認識を正し、中国経済および世界の主要企業の対中投資動向に関する正確な情報をタイムリーに把握してこそ、中国市場、ひいてはグローバル市場で生き残っていくことができる。国家の長期的な利益を考えれば、日本は米国の対中政策に追随するだけではいけない。EUの自立的な対中政策から多く学ぶべきであろう。(作者:鶴見一郎)

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