中国、地方政府が相次ぎ景気対策~消費券配布や海外で受注活動
12月に入り、中国の地方政府が相次い景気の安定化に向けた対策を打ち出している。今年は新型コロナウイルス感染防止策の強化で景気減速を余儀なくされてきたが、コロナ規制の緩和に伴い景気回復への対策が急務となっている。こうした中、消費促進や対外貿易の安定化に向けて地方政府が動き出した。
■消費促進へ
地方政府が講じている景気対策の一つは消費喚起策。年末の消費シーズン向けて12月以降、40以上の地方政府が消費券の配布を実施している。
例えば、海南省海口市は、免税品や飲食・小売店で使用できる消費券を配布した。また南京市では、自動車購入や環境にやさしい”グリーン消費”などに使える消費券を配布。このほか、成都市では、当局が同程旅行などの旅行予約サイトと連携して観光に使える消費券を配布し、消費活性化を狙っている。
補助金形式で支給する地方政府もある。深圳市は、家電・電気商品購入の補助金支給策を12月9日から実施。条件を満たした商品を購入した際に、小売価格の最高で15%を補助する。
こうした消費券配布や補助金支給は、防疫措置の打撃を受けた飲食などサービス業の回復を後押しするとみられている。
■対外貿易の安定化へ
消費活性化による内需拡大のほか、対外貿易の促進に向けた対応も出ている。浙江省、四川省、広東省、江蘇省、福建省、安徽省、湖南省、河南省などは対外貿易企業を中心とした代表団が海外に赴き、投資誘致や受注の獲得に動いている。
浙江省は全省の政府と企業が協力して、海外に出て受注を獲得する活動を展開。浙江省の対外貿易に携わる約1,000団体、1万社が活動に参加する見通しという。うち紹興市は、対外貿易企業が12月15日、「2022年中国・アラブ首長国連邦貿易博覧会」に参加するため、ビジネスチャーター便で出発する予定。これまでコロナ規制で海外渡航が制限され、対面交流が難しかったが、ビジネスでは対面交流が極めて重要。このため、今回の渡航を決定した。市当局としては、コロナで打撃を受けた貿易活動の正常化につなげたい考えだ。また、嘉興市は来年末までの海外展示会や誘致する団体のリストを制定。今月だけで5団体が海外に赴く予定という。
貿易額が全国最多の広東省では仏山市経済貿易代表団が先陣を切って海外に行き、欧州で5億元以上を受注した。
今年はコロナの打撃を受けた中国経済。経済の回復が急務になる中、上述のような各地方政府による景気下支え策は、景気の回復、さらには雇用の安定につながると期待されている。こうした中、来年の中国経済については回復が見込まれている。コロナの影響が減退するとともに、財政政策の強化により、来年の国内総生産(GDP)成長率については、5%前後に回復するとの予想が示されている。