香港の国際イノベーション科学技術センター構築にあたり必要な支援は?

なぜ「香港にとって今が、イノベーション科学技術の発展において最高のタイミング」なのか。香港理工大学学長で、粤港澳大湾区院士連盟理事会副主席の騰錦光氏は、中国新聞社「東西問」のインタビューに応じ、香港の科学技術イノベーション発展の優位性や不足点、国際科学技術イノベーションセンターの構築、国の科学技術発展への融合に向けた考えを示した。

中国新聞社:香港の中国返還25周年にあたる今年7月1日、 習近平・国家主席は香港で重要講話を発表し、香港サイエンスパークを視察した。現在、香港のイノベーション科学技術の発展にはどのようなチャンス、優位性があると思うか?

騰錦光:習主席は香港の科学技術イノベーションの発展を非常に重要視しており、中央政府を代表して香港の科学技術イノベーションの発展に期待を示した。これは、香港の今後の科学技術イノベーション推進のうえでの重要な原動力といえる。

香港の科学技術イノベーションの発展における主な優位性は、基礎科学研究人材の確保にある。香港の大学は基礎科学研究の面で強い。香港は東西の文化が交じり合う場所で、構造的に海外と接点が多く、英語が多く使われ、他国との交流がしやすいため、海外から人材を呼び込みやすい。

将来、香港の最大の科学技術イノベーション発展のチャンスは北部メトロポリスにある。その計画から見ると、土地の供給から人材政策、大湾区との融合まで、北部メトロポリス構想は香港の科学技術イノベーションの発展に多くのチャンスを提供することが伺える。

中国新聞社:第14次5カ年計画では、香港での国際イノベーション科学技術センターの構築を明確に支持している。イノベーション科学技術の発展において、香港はどういった方面に力を入れるべきか?

騰錦光:香港は国際金融センターとしての優位性を備えているものの、過去数十年、イノベーション科学技術産業の発展は後れを取ってきた。その理由の一つは、イノベーションの産業チェーンが基礎研究から実用化研究、製品化に至るまで長いことにある。その中でも、実用化研究と製品化の2つが非常に重要だが、香港はこの部分で場所などの問題があって実施が難しい。スマートシティや高齢化サービスなどの分野ではイノベーション科学技術産業を発展させる市場や能力はあるものの、マイクロエレクトロニクスや人工知能(AI)などの産業基盤や産業チェーン、土地供給、人的リソースに関わる分野の発展は制約を受けている。

香港がイノベーション科学技術産業を発展させるには、まず土地と人材の政策を最適化し、より多くの土地を供給しなければならない。土地があって初めて産業用地が確保され、人材誘致においても、住宅問題を解決しなければならない。いずれも土地問題に関連している。

また、香港自体は市場が大きくないため、大湾区や他の本土都市との連携を強化する必要がある。香港の科学技術研究開発の成果は、大湾区や他の本土の市場と連携する必要があり、製造業においても大湾区をはじめとする本土の産業チェーンと融合する必要がある。例えば、理工大学が育成したユニコーン企業で、倉庫貯蔵ロボットを手がける海柔創新科技有限公司は、香港では倉庫数が多くなく、市場も決して大きくないが、深圳で成功している。

大湾区をはじめとする本土側の都市は、香港の産業チェーンや市場の不足部分を補うことができる。産業チェーンや市場がなければ、研究開発技術、応用の成功は難しい。

中国新聞社:イノベーション科学技術の関係者の多くは、現在の香港のイノベーション科学技術の将来性を「黄金期」と形容している。これについてどう考えるか?

騰錦光:香港の経済成長の段階は確かに今、新たな段階に差し掛かっている。社会全体が認識しているのは、金融、不動産などの従来の経済活動を基盤に、新しい経済活動を発展させる必要があり、かつ、科学産業の発展に向けて切り開く必要があるということだ。同時に、国も科学技術の水準やイノベーション能力の向上に力を入れる必要がある。このような環境下、国は粤港澳大湾区発展戦略を打ち出し、香港は国際科学技術イノベーションセンターとして位置づけられ、第14次5カ年計画ではこの点を明確に言及している。

香港は基礎研究人材、国際的な環境、金融システムなどの優位性を備えている。過去数年、香港政府は科学技術イノベーションの発展に1500億香港ドル以上の資金を投入してきた。また前政権は「イノベーション香港研究開発プラットフォーム」を構築し、地元の大学や世界の有名な大学・科学研究機関を支援。香港サイエンスパークに共同実験室を設立し、研究開発を支援する体制を築いた。

こうした点を踏まえると、香港は今、イノベーション科学技術産業を発展させる好機であるといえる。

中国新聞社:確かに香港政府はここ数年、イノベーション科学技術に多くの資源を投入してきたが、十分だと思うか?今後、香港政府にどのような支援を期待しているのか?

騰錦光:これまでの資源の投入力は適切で、今後もこの傾向が続くことは間違いない。香港は基礎研究力が高く、人材もいるが、基礎研究の経費は依然として足りない。香港の大学教育助成委員会が助成している8つの大学のうち、政府の経費で直接助成している博士課程の学生の定員は5000余りにとどまる。もちろん学校も他の経費を利用して博士課程の学生を招いているが、政府が資金援助する博士課程の学生枠をさらに増やし、より多くのイノベーション科学技術人材を育成する必要がある。

特区研究助成局が資金を拠出した地元大学の学者が基礎科学研究に従事するプロジェクト(GRFプロジェクト)の1プロジェクトあたりの経費は、この20年余り、ほとんど変わっていない。このため、多くの学者が改善を訴えている。また、政府も応用、研究成果の転化に関する研究への投資を拡大することで、研究成果をよりよく生産力に転化させる必要がある。

中国新聞社:これまで香港の科学技術イノベーションの発展はどのような成果を収めたか?

騰錦光:過去20年余り、非常に大きな成果があった。例えば、域内の大学を世界レベルの大学にしたことがある。2020年、香港はある研究・評価を行い、香港の8つの大学の約70%の科学研究が世界トップ、または国際的に卓越した水準に達したとの結果を示した。20年以上前との差は大きい。

また、香港サイエンスパークとサイバーポートが完成し、運用が開始されるなど、香港の科学技術開発の各方面で新たな発展が見られた。また、深センと協力して落馬洲河套地区に位置する香港・深センイノベーション科学技術園を建設する準備を進めている。政府の創新科学技術署が管轄する「イノベーション・科学技術基金」も多くのプロジェクトに資金を提供し、応用研究開発センターが相次いで設立された。これらはいずれも香港の科学技術イノベーションの発展の基盤を築いたといえる。

中国新聞社:香港には祖国を後背地にし、世界につながるという独自の優位性がある。海外に留学し、香港で教鞭を執り、国際的な学術背景を持っている自身の経験を踏まえ、中国と西洋のイノベーション科学の学術、産業の雰囲気の上でどのような違いがあるとみるか。香港はどのように優位性を発揮し、国際イノベーション科学技術センターを構築すべきか?

騰錦光:学術研究と産業技術発展の雰囲気について言えば、中国と西洋の違いは漠然としている。全体的にいえば、いわゆる西洋、米国、英国、カナダ、オーストラリアなどの先進国の文化は中国の文化と異なり、現代科学技術もこうした先進国から発展してきた。中国は過去数十年で大きく進歩したが、一部の分野では西側と依然として差があり、発展、学習が必要である。我々にも多くの優位性があり、例えば力を集中して大きなプロジェクトが可能な国家制度がある。中国の高速鉄道のその良い事例といえる。

香港は国のイノベーション体制にさらに融合し、自らの強みで国が必要とするところに貢献すべきだ。国が必要とすれば、香港も貢献でき、これは香港にとって発展のチャンスといえる。例えば理工大学が(中国の月探査機である)「嫦娥5号」の任務に参加し、国が初めて月面からサンプルを採取し、地球に持ち帰ることに貢献した。これは、我々の強みを発揮したことになる。

中国新聞社:香港はここ数年、より多くの国家レベルの科学研究プロジェクトに参加し始めている。香港の科学研究の優位性はどのように国家のイノベーション科学の発展を押し上げるか?

騰錦光:香港には16の国家重点実験室、6つの国家工程技術研究センターの香港サブセンターがあり、これらは国家イノベーション科学技術体制の構成要素の一部である。域内の大学も深セン研究院を通じて、国や本土の都市の政府や企業の科学研究プロジェクトに参画できる。

将来的に香港政府は中央政府とより緊密な科学研究協力計画を立て、より多くの香港の科学者が国家計画の重点研究開発プロジェクトに参加できるようにするとともに、経費については双方が支援できるようにすべきだと考えている。これは香港の科学研究力を国家科学技術発展計画に組み込む重要なルートでもある。

理工大学については、コロナ後、大湾区をはじめ本土の都市でのより多くの教師の交流を奨励する予定だ。もし我々の科学研究能力を都市が必要とし、認めてくれれば、技術成果転化型の技術研究院の設立を検討することも可能である。理工大学が研究開発のスペースと資金を提供し、技術や専門指導を提供することで、理工大学の基礎研究成果を各地に応用できるだろう。これは、我々にとっても科学研究推進のインセンティブになり、国家科学技術産業の発展に貢献をすることができるだろう。

中国新聞社:粤港澳大湾区院士連盟が昨年設立された。連盟理事会の副主席、共同発起人の一人として、連盟は香港のイノベーション科学技術の発展においてどのような役割を担い、発揮すると考えているか。

騰錦光:粤港澳大湾区院士連盟の会員は、主に中国科学院と中国工程院の大湾区で働く院士で構成されている。中国科学院と中国工程院はいずれも国の科学技術コンサルティング機関で、国の科学技術発展政策に提言を行っている。香港の科学技術イノベーションの発展、国の科学技術発展の枠組みにどのように融合するかについても、両院の院士らは政策的な提言を行い、香港政府および中央政府に提出している。こうした活動は、香港の科学技術の発展が国の科学技術の発展により融合し、貢献するのに役立つであろう。

騰錦光;香港理工大学学長、粤港澳大湾区院士連盟副主席及び発起人の一人。理工大学学長前は深センの南方科技大学副学長兼大学院院長を務めていた。構造エンジニアの学者として、専門書や数々の論文を執筆し、その著作は世界各地の研究者に広く引用され、科学研究成果は中国、米国、欧州、英国、オーストラリアの設計基準、ガイドラインに採用されている。2017年に中国科学技術界最高の学術的栄誉である中国科学院院士を受賞する受賞歴も多数。

ここ数年、イノベーションの発展推進は香港政府の施政の最重要課題となっている。中国の第14次5カ年(2021~25年)計画では、香港が国際イノベーション科学技術センターを構築することを明確に支持している。香港の中国返還25周年で習近平・国家主席が香港を視察した際、香港科学園(香港サイエンスパーク)を視察した。

なぜ「香港にとって今が、イノベーション科学技術の発展において最高のタイミング」なのか。香港理工大学学長で、粤港澳大湾区院士連盟理事会副主席の騰錦光氏は、中国新聞社「東西問」のインタビューに応じ、香港の科学技術イノベーション発展の優位性や不足点、国際科学技術イノベーションセンターの構築、国の科学技術発展への融合に向けた考えを示した。

中国新聞社:香港の中国返還25周年にあたる今年7月1日、 習近平・国家主席は香港で重要講話を発表し、香港サイエンスパークを視察した。現在、香港のイノベーション科学技術の発展にはどのようなチャンス、優位性があると思うか?

騰錦光:習主席は香港の科学技術イノベーションの発展を非常に重要視しており、中央政府を代表して香港の科学技術イノベーションの発展に期待を示した。これは、香港の今後の科学技術イノベーション推進のうえでの重要な原動力といえる。

香港の科学技術イノベーションの発展における主な優位性は、基礎科学研究人材の確保にある。香港の大学は基礎科学研究の面で強い。香港は東西の文化が交じり合う場所で、構造的に海外と接点が多く、英語が多く使われ、他国との交流がしやすいため、海外から人材を呼び込みやすい。

将来、香港の最大の科学技術イノベーション発展のチャンスは北部メトロポリスにある。その計画から見ると、土地の供給から人材政策、大湾区との融合まで、北部メトロポリス構想は香港の科学技術イノベーションの発展に多くのチャンスを提供することが伺える。

中国新聞社:第14次5カ年計画では、香港での国際イノベーション科学技術センターの構築を明確に支持している。イノベーション科学技術の発展において、香港はどういった方面に力を入れるべきか?

騰錦光:香港は国際金融センターとしての優位性を備えているものの、過去数十年、イノベーション科学技術産業の発展は後れを取ってきた。その理由の一つは、イノベーションの産業チェーンが基礎研究から実用化研究、製品化に至るまで長いことにある。その中でも、実用化研究と製品化の2つが非常に重要だが、香港はこの部分で場所などの問題があって実施が難しい。スマートシティや高齢化サービスなどの分野ではイノベーション科学技術産業を発展させる市場や能力はあるものの、マイクロエレクトロニクスや人工知能(AI)などの産業基盤や産業チェーン、土地供給、人的リソースに関わる分野の発展は制約を受けている。

香港がイノベーション科学技術産業を発展させるには、まず土地と人材の政策を最適化し、より多くの土地を供給しなければならない。土地があって初めて産業用地が確保され、人材誘致においても、住宅問題を解決しなければならない。いずれも土地問題に関連している。

また、香港自体は市場が大きくないため、大湾区や他の本土都市との連携を強化する必要がある。香港の科学技術研究開発の成果は、大湾区や他の本土の市場と連携する必要があり、製造業においても大湾区をはじめとする本土の産業チェーンと融合する必要がある。例えば、理工大学が育成したユニコーン企業で、倉庫貯蔵ロボットを手がける海柔創新科技有限公司は、香港では倉庫数が多くなく、市場も決して大きくないが、深圳で成功している。

大湾区をはじめとする本土側の都市は、香港の産業チェーンや市場の不足部分を補うことができる。産業チェーンや市場がなければ、研究開発技術、応用の成功は難しい。

中国新聞社:イノベーション科学技術の関係者の多くは、現在の香港のイノベーション科学技術の将来性を「黄金期」と形容している。これについてどう考えるか?

騰錦光:香港の経済成長の段階は確かに今、新たな段階に差し掛かっている。社会全体が認識しているのは、金融、不動産などの従来の経済活動を基盤に、新しい経済活動を発展させる必要があり、かつ、科学産業の発展に向けて切り開く必要があるということだ。同時に、国も科学技術の水準やイノベーション能力の向上に力を入れる必要がある。このような環境下、国は粤港澳大湾区発展戦略を打ち出し、香港は国際科学技術イノベーションセンターとして位置づけられ、第14次5カ年計画ではこの点を明確に言及している。

香港は基礎研究人材、国際的な環境、金融システムなどの優位性を備えている。過去数年、香港政府は科学技術イノベーションの発展に1500億香港ドル以上の資金を投入してきた。また前政権は「イノベーション香港研究開発プラットフォーム」を構築し、地元の大学や世界の有名な大学・科学研究機関を支援。香港サイエンスパークに共同実験室を設立し、研究開発を支援する体制を築いた。

こうした点を踏まえると、香港は今、イノベーション科学技術産業を発展させる好機であるといえる。

中国新聞社:確かに香港政府はここ数年、イノベーション科学技術に多くの資源を投入してきたが、十分だと思うか?今後、香港政府にどのような支援を期待しているのか?

騰錦光:これまでの資源の投入力は適切で、今後もこの傾向が続くことは間違いない。香港は基礎研究力が高く、人材もいるが、基礎研究の経費は依然として足りない。香港の大学教育助成委員会が助成している8つの大学のうち、政府の経費で直接助成している博士課程の学生の定員は5000余りにとどまる。もちろん学校も他の経費を利用して博士課程の学生を招いているが、政府が資金援助する博士課程の学生枠をさらに増やし、より多くのイノベーション科学技術人材を育成する必要がある。

特区研究助成局が資金を拠出した地元大学の学者が基礎科学研究に従事するプロジェクト(GRFプロジェクト)の1プロジェクトあたりの経費は、この20年余り、ほとんど変わっていない。このため、多くの学者が改善を訴えている。また、政府も応用、研究成果の転化に関する研究への投資を拡大することで、研究成果をよりよく生産力に転化させる必要がある。

中国新聞社:これまで香港の科学技術イノベーションの発展はどのような成果を収めたか?

騰錦光:過去20年余り、非常に大きな成果があった。例えば、域内の大学を世界レベルの大学にしたことがある。2020年、香港はある研究・評価を行い、香港の8つの大学の約70%の科学研究が世界トップ、または国際的に卓越した水準に達したとの結果を示した。20年以上前との差は大きい。

また、香港サイエンスパークとサイバーポートが完成し、運用が開始されるなど、香港の科学技術開発の各方面で新たな発展が見られた。また、深センと協力して落馬洲河套地区に位置する香港・深センイノベーション科学技術園を建設する準備を進めている。政府の創新科学技術署が管轄する「イノベーション・科学技術基金」も多くのプロジェクトに資金を提供し、応用研究開発センターが相次いで設立された。これらはいずれも香港の科学技術イノベーションの発展の基盤を築いたといえる。

中国新聞社:香港には祖国を後背地にし、世界につながるという独自の優位性がある。海外に留学し、香港で教鞭を執り、国際的な学術背景を持っている自身の経験を踏まえ、中国と西洋のイノベーション科学の学術、産業の雰囲気の上でどのような違いがあるとみるか。香港はどのように優位性を発揮し、国際イノベーション科学技術センターを構築すべきか?

騰錦光:学術研究と産業技術発展の雰囲気について言えば、中国と西洋の違いは漠然としている。全体的にいえば、いわゆる西洋、米国、英国、カナダ、オーストラリアなどの先進国の文化は中国の文化と異なり、現代科学技術もこうした先進国から発展してきた。中国は過去数十年で大きく進歩したが、一部の分野では西側と依然として差があり、発展、学習が必要である。我々にも多くの優位性があり、例えば力を集中して大きなプロジェクトが可能な国家制度がある。中国の高速鉄道のその良い事例といえる。

香港は国のイノベーション体制にさらに融合し、自らの強みで国が必要とするところに貢献すべきだ。国が必要とすれば、香港も貢献でき、これは香港にとって発展のチャンスといえる。例えば理工大学が(中国の月探査機である)「嫦娥5号」の任務に参加し、国が初めて月面からサンプルを採取し、地球に持ち帰ることに貢献した。これは、我々の強みを発揮したことになる。

中国新聞社:香港はここ数年、より多くの国家レベルの科学研究プロジェクトに参加し始めている。香港の科学研究の優位性はどのように国家のイノベーション科学の発展を押し上げるか?

騰錦光:香港には16の国家重点実験室、6つの国家工程技術研究センターの香港サブセンターがあり、これらは国家イノベーション科学技術体制の構成要素の一部である。域内の大学も深セン研究院を通じて、国や本土の都市の政府や企業の科学研究プロジェクトに参画できる。

将来的に香港政府は中央政府とより緊密な科学研究協力計画を立て、より多くの香港の科学者が国家計画の重点研究開発プロジェクトに参加できるようにするとともに、経費については双方が支援できるようにすべきだと考えている。これは香港の科学研究力を国家科学技術発展計画に組み込む重要なルートでもある。

理工大学については、コロナ後、大湾区をはじめ本土の都市でのより多くの教師の交流を奨励する予定だ。もし我々の科学研究能力を都市が必要とし、認めてくれれば、技術成果転化型の技術研究院の設立を検討することも可能である。理工大学が研究開発のスペースと資金を提供し、技術や専門指導を提供することで、理工大学の基礎研究成果を各地に応用できるだろう。これは、我々にとっても科学研究推進のインセンティブになり、国家科学技術産業の発展に貢献をすることができるだろう。

中国新聞社:粤港澳大湾区院士連盟が昨年設立された。連盟理事会の副主席、共同発起人の一人として、連盟は香港のイノベーション科学技術の発展においてどのような役割を担い、発揮すると考えているか。

騰錦光:粤港澳大湾区院士連盟の会員は、主に中国科学院と中国工程院の大湾区で働く院士で構成されている。中国科学院と中国工程院はいずれも国の科学技術コンサルティング機関で、国の科学技術発展政策に提言を行っている。香港の科学技術イノベーションの発展、国の科学技術発展の枠組みにどのように融合するかについても、両院の院士らは政策的な提言を行い、香港政府および中央政府に提出している。こうした活動は、香港の科学技術の発展が国の科学技術の発展により融合し、貢献するのに役立つであろう。

騰錦光;香港理工大学学長、粤港澳大湾区院士連盟副主席及び発起人の一人。理工大学学長前は深センの南方科技大学副学長兼大学院院長を務めていた。構造エンジニアの学者として、専門書や数々の論文を執筆し、その著作は世界各地の研究者に広く引用され、科学研究成果は中国、米国、欧州、英国、オーストラリアの設計基準、ガイドラインに採用されている。2017年に中国科学技術界最高の学術的栄誉である中国科学院院士を受賞する受賞歴も多数。

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