中国のGDP成長率予想の下方修正相次ぐ~ADBは今年の予想を3.3%に
中国の国内総生産(GDP)成長率予想の下方修正が相次いでいる。アジア開発銀行(ADB)は9月21日、最新の報告書で中国の今年のGDP成長率予想を3.3%に設定。4月の予測(4%)から下方修正した。来年についても、4.5%として、4月の予想(4.8%)から引き下げている。
■ADB、不動産市場の回復の重要性を指摘
ADBは中国経済について、「徐々に回復しており、今年後半は回復ペースが加速する」と予想。しかし、政府が新型コロナウィルスを封じ込める「動態ゼロコロナ」政策を変える可能性が低く、これが景気の急ピッチな回復を抑える要因になるとしている。また、インフラ投資拡大による景気の下支えについては、「経済成長促進のための短期的な措置」であるとし、中長期的には、多くの経済活動と関係性がある不動産市場の回復に注力することがより現実的な施策であるとの見方を示した。
ADBはまた、中国やインド、東南アジアなど46カ国・地域を含むアジア新興市場のGDP成長率予想も下方修正。今年は4.3%、来年は4.9%にそれぞれ引き下げている。ADBは、アジア新興市場の景気を見通すうえでは、米国などの主要国の金融引き締め強化やロシア・ウクライナ情勢、中国の新型コロナウィルス防止策などのリスクが増大しているという。
■HSBCは今年のGDP成長率見通しを3.5%に
HSBCも中国の今年と来年のGDP成長率見通しを引き下げた。今年の成長率見通しを4.1%から3.5%に、来年については5.8%から5.2%にそれぞれ下方修正している。HSBCは中国の景気について、「今後数カ月は緩やかな回復が見込まれる」と指摘。ただし、中国政府は引き続き不動産市場の回復や、緩和的なマクロ政策を実施する包括的な一連の政策を打ち出す必要があると訴えた。また、財政政策については、「不動産業界がもたらすマイナスの影響を相殺するために、インフラプロジェクトの推進や企業に直接的な支援提供が実施される」との見方を示している。