【観察眼】北京五輪が中日両国に新たな「雪の縁」をもたらすことを願う

日本五輪委員会(JOC)は20日、日本人選手122人を北京冬季オリンピックに出場させると発表した。その中には、多くの中国人にもなじみがある著名な男子フィギュアスケートの羽生結弦選手も含まれている。羽生選手は今回の冬季五輪で、オリンピック三連覇に挑戦する。

北京冬季五輪の開幕式場中央に設置された雪の結晶のオブジェ。その中心にトーチが差し込まれると「聖火台」が完成。

 今回の冬季五輪に関連しては、多くの人を感動させた中日協力のよいエピソードがある。先ごろ開催されたスノーボードのワールドカップの男子ビッグエアで、蘇翊鳴選手の初優勝に貢献したのは、日本人コーチの佐藤康弘氏だった。佐藤氏は日本のトップ選手を何人も育ててきた。佐藤氏は、「中国人選手のコーチをすることで葛藤を感じたこともあったが、こういうことは国境を越えてよいのだと思うようになった」と語った。蘇選手は日本のナショナルチームのメンバーと共に練習してレベルを向上させ、北京冬季オリンピックではメダル獲得が期待されるようになった。佐藤氏の話は極めて実直であり、感動的だ。佐藤氏の話には、一人の日本人コーチ、一人の日本人が「さらに団結する」という、スポーツ精神への理解と実感がこもっている。

 私は1998年に冬季オリンピックが開催された長野県で2年間近く仕事をし、生活したことがある。その時期に、現地の人々が何度も、北京冬季オリンピック組織委員会のメンバーを心を込めてもてなし、冬季五輪の開催に関連した経験と教訓を詳細に説明するのを見た。五輪に出場する中国人選手が現地で緊張して練習する姿と、日本人コーチが献身的にすべて伝授する様子も見た。長野の人々が北京市での冬季オリンピック開催を、情熱を込めて応援していることも感じた。日本の友人の友好と情誼、中国人の感動と感謝は、今も忘れがたい。

 日本はウインタースポーツで、一定の強みがある。フィギュアスケート、スピードスケート、スキージャンプなどでは、相当な実力がある。そのことはかなりの程度、日本独特の冬の自然条件から得られた。北海道や長野など、世界でも雪質が一流のスキー場は、選手らによい練習条件を提供している。現地の子は幼いころから雪の上で腕試しをする機会がある。数多い優秀なスキー場やレベルの高い指導陣、完備された各種施設によって、ウインタースポーツの愛好者は取りつかれたように夢中になる。初心者もウインタースポーツが大好きになる。

 1980年代の日本では、連続テレビドラマ「私をスキーに連れてって」が一世を風靡した。純白のスキー場で繰り広げられるロマンティックな愛の物語に魅了され、当時の日本では無数の若者が、朝の4時か5時には車を運転してスキー場に向かった。ゲレンデを颯爽と滑る快感と、氷雪に覆われた自然世界と調和して一体となる愉悦感を得るためだった。

 北京冬季オリンピックの開催に伴って、当時の日本の全国民的なスキーブームが、中国で再現されている。中国人のウインタースポーツへの情熱が爆発した。関連統計によれば1月1日から3日までの元旦3連休期間中、スキー場周囲の宿泊施設の予約は連休前の2.4倍になり、スキー場入場予約は2.1倍になった。雪や氷を目玉にする観光スポットの入場予約は3.2倍になった。豊富で多彩な雪や氷に関連する活動はこの冬、中国で最も活気あるレジャーと観光のテーマになった。

 北京オリンピックが契機となり、さらに中国政府が「3億人を氷と雪の上へ」と提唱したことが実は、得難い発展のチャンスを日本にもたらした。白馬や野沢温泉などのスキー場の条件は、アジアだけでなく世界的に見ても独自の吸引力と魅力を備えている。それらの場所で見かけるのは従来、日本人以外にはほとんど欧米人やオーストラリア人だったが、ここ数年は中国人の姿がしばしば見られるようになった。少子化現象により、日本におけるスキー関連産業の国内市場はどんどん縮小している。欧米やオーストラリアからの客の数はすでにピークに達しており、これ以上の伸びは期待できない。一方で日本のスキー場は中国人客をますますひきつけている。中国の莫大な数のスキー客と日本の数多い天然良質のスキー場の相乗効果で、今回のオリンピックが中日両国に新たな「雪の縁」をもたらすことを願う。(CRI日本語部論説員)

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