日本発「今年の漢字」が各国に広まった理由とその背景は? 中国辞書学会会長が状況を解説 

日本で「今年の漢字」の発表が始まったのは1995年だった。現在では、その年の漢字を選出する動きは東アジアや東南アジアだけでなく欧米にも広まり始めた。中国辞書学会の会長などを務める李宇明氏はこのほど中国メディアの中国新聞社の取材に応じ、「今年の漢字」が広がる状況や各国における漢字文化や中国語の受け入れについて解説した。以下は、李会長の言葉に若干の説明内容を追加して再構成したものだ。

■日本発「今年の漢字」は欧米にも浸透中

日本漢字能力検定協会が初めて今年の漢字を発表したのは1995年で、同年は阪神・淡路大震災が発生したことがあり「震」が選ばれた。2021年に選ばれたのは「金」だった。この選出には、日本が東京五輪・パラリンピックで多くの金メダルを獲得したことなどが反映された。「金」の文字が選ばれたのは2000年、2012年、2016年に続き、4度目だった。

韓国では01年に学界人やジャーナリストが「今年の成語」を選び始めた。台湾では08年に、その年の漢字選びが始まった。中国大陸部やマレーシアやシンガポール、さらには米国やフランスでも、その年の状況を象徴する漢字選びが始まった。2021年の場合、中国大陸部では「疫」、台湾では「宅」、マレーシアでは「盼(待ち望む)」などと、いずれも新型コロナウイルス感染症の影響を示したり、苦しい状況からの脱却を願う心情が反映された

中国人あるいは中国系の文化伝統などを受け継ぐ人は華人とも呼ばれる。中国語には華語という呼称もある。つまり、華語は華人の母語だ。華語とは華人の文化を発展させる母乳のような存在だ。中国国外でその年の漢字を選ぶという動きは、現地の華人や華僑によって主体的に進められている場合も珍しくない。これは、中華文化と現地の生活を有機的に結び付けようとしている動きでもある。
春節を迎えるにあたって、玄関や部屋の壁に2枚セットで飾る「対聯」を毛筆で書く人々

■漢字や漢字文化は極めて強い浸透力を発揮しつづけた

漢字あるいは中国語は歴史上の早い時期に、中国の外にも浸透していった。漢代には中国語が交趾(こうち)と呼ばれた現在のベトナムに伝わった。ベトナムの歴代王朝は文章語として1000年以上も中国語を使った。チュノムという独自の文字が作られたが、それでも中国語は使い続けられた。また朝鮮半島では1895年まで、文章語として中国語が使われていた。

日本は最も早い時期には、朝鮮半島に存在した百済を通じて中国文化に接触した。中国は西暦439年から589年まで南北朝という分裂時代だったが、日本は南朝側王朝と深い交流を持った。やがて中国は隋によって統一され、次に唐が全国を支配することになった。日本は遣隋使や遣唐使を派遣して中国文化を吸収しつづけた。

聖徳太子が西暦604年に制定したとされる十七条憲法は、日本で言うところの漢文、つまり文章中国語で書かれている。つまり十七条憲法の制定は、日本が公文書用の言語として中国語を採用した象徴的な出来事でもあった。

また日本という国号は645年の大化の改新を期に正式に使われ始めた。これは、日本人が自らの国名に中国語を採用したとも理解できる。日本で最も古い歴史書である古事記や日本書紀も漢字で書かれていた。

■漢字文化はさらに世界に広がりつつある

中国人が海を渡って外の世界に出るようになると、漢字や漢字文化は琉球諸島やボルネオ、マレーシア、シンガポール、インドネシアなどに広がっていった。これらの地域では儒教などの経典を学ぶ動きも生まれた。そのような影響で、現地の言語には大量の中国語単語が入っていった。
中国人は漢字に強い愛情と愛着を持っている。日常生活の場でも手書きの文字を多く目にする

中国国外に出た華人の多くが中国語を使っているが、彼らの言葉が中国国内の中国語から変化していく現象も発生した。東南アジアの華人が使う現地中国語は、すでに伝統として確立されたと言ってよいが、最近では北米でも新たな中国語が形成されつつある。欧州でも同様の現象が発生するかもしれない。

世界各地で「今年の漢字」が選ばれている背景には、現地の華人の地位が向上していることが密接に関係している。また、中国語教育も盛んになった。2020年末の時点では、180カ国以上で中国語教育が行われている。うち70カ国では公式のカリキュラムの一部として中国語が採用された。

世界各地の華僑や華人は中華文化を維持しつつ、在住国での文化を促進する役割を担っている。つまり、華僑や華人は中国語や中華文化が世界に広まるための先遣隊と言える。(翻訳:Record China)

You may also like...

Leave a Reply

Your email address will not be published.