香港の新しい選挙制度に3組の「真」あり

北京2021年12月20日発中国新聞社電は、王振民清華大学香港マカオ研究センター主任執筆の「香港の新しい選挙制度に3組の『真』があるのはなぜか」と題する論文を配信した。内容次の通り。

 2021年12月19日、香港特別行政区第7期立法会の選挙が成功裏に行われた。これは今年上半期に国家と特区の二つのレベルから香港特別行政区の選挙制度を整備した後に香港全体で実施される初の大規模な選挙であり、新しい選挙制度に対する重大な実戦的検証である。多数の香港市民が清き一票を投じ、自身が心から敬慕する議員を選び出した。実践が証明しているように、新しい選挙制度は香港の実情にかなった良い制度であり、3組の「真」を用いて今回の選挙の特徴を詳しく説明することができる。

香港特別行政区行政長官林鄭月娥(CnsPhoto)

 第一に真の安全と真の寛容。新しい選挙制度は政治的安全を重んじるだけでなく、政治的寛容も重んじている。まず、新しい選挙制度は「愛国者による香港統治」の原則を断固実行に移し、香港の政権の安全を確保した。国の安全を守ることはすべての国家、すべての地域が選挙制度を設計するときに第一に考慮しなければならない要素である。今回の153人の候補者は審査にパスし、立候補資格を満たしており、いずれも愛国者だ。その中の誰が当選するのであれ、香港特区の管轄権は確実に愛国者の手に握られ、香港を長年悩ませてきた政権の安全問題が完全に解決されることになった。これは新しい選挙制度の最大の長所、注目点である。国を愛し香港を愛することは政治に携わる者に対する最も基本的な要求で、少しも高くなく、また、難しくもなく、ほとんどの香港市民にとって〈この要求を〉満たすのは非常に容易なことであり、最終的に除外されたのは絶対的なごく少数にすぎない。これは世界各国の選挙制度設計に対する要求に完全に合致している。いかなる国であれ自国の選挙制度を設計するときはいずれも安全第一であり、自国および地元の憲法制度秩序を根本的に受け入れず、外国の代理人となって自国に対する「カラー革命」を実施しようとする者が権力を握ることは許されない。

 「愛国者による香港統治」と選挙の安全を語るとき、それは「一つの色」ではなく、「一つのサントラ」でもなく、大いなる政治的寛容であり、多様性に富むものだ。まさに中国人民政治協商会議(政協)全国委副主席で国務院香港マカオ事務弁公室主任の夏宝竜先生が12月6日のスピーチの中で指摘されたように、新しい選挙制度は大きな政治的寛容性を備え、候補者はそれぞれ異なる政治団体、政治グループから来て、異なる政治的スペクトルを代表し、異なる政治的理念、抱負を持っている。異なる政治的見解、主張を持つ何人もの人が指名を獲得することに成功した。彼らは立法会選挙のすべての候補者と同じように、同じ土俵で競争し、新しい選挙制度の最大の開放度と寛容度を体現したのである。夏氏はさらに▽国を愛し香港を愛する限り、いかなる人も階層、分野、職業、民族の違いに関係なく、参加するチャンスがある、▽価値理念において、どのような思想観念、政治姿勢、宗教信仰、利益訴求を有しようとも、参加するチャンスがある、▽どのような制度を信じ、どのような生活様式を好もうとも、参加するチャンスがあるーと述べている。「国を愛し香港を愛する旗印の下で、寛容と多様性の半径を最大限伸ばし、『一国二制度』の実践が着実に永続し、香港が長期間繁栄・安定し、香港の同胞がより良い生活に向かって突き進むという香港の根本的利益に合致した最大の同心円を描いていく」

香港特別行政区第七回立法会選挙(CnsPhoto)

 第二に真の民主と真の競争。国家安全維持法の鋭い剣が高々と吊るされたため、外部勢力の関与が遮断され、反中国・香港騒乱の政治屋がその場を離れ、香港市民の民主的権利が真にはっきりと現れ、サイレント・マジョリティーが自らの権利を自由に行使できるようになり、もはや民意が奪われ、ごまかされ、ねじ曲げられることはなくなった。政治屋が退場し、人民が舞台に登場した。政治屋の声が小さくなり、人民の声が大きくなった。これまで香港の選挙では一部の政治屋が票をだまし取るため、虚勢を張り、騒ぎ立て、さまざまのでたらめな言論を延々と続け、身の程を知らない各種のパフォーマンスを演じる光景がしばしば見られた。真の民情、民心は逆に埋没し、問題にする人がいなくなり、騒々しい選挙の中で真の民意を反映させることができなくなった。新しい選挙制度は香港市民の民主的権利を政治屋の手から取り戻し、人民に返した。従って、これは香港市民が真の主人公となって自由に選択できる選挙であり、真の民主、真の選挙だ。香港の選挙はこの時から外部勢力の関与のない状況の下で行われる香港市民自身の民主生活となったのである。

 真の民主、真の選挙の重要な表れは真の競争である。競争なくして選挙はない。香港のかつての選挙は建制派〈Pro-establishment camp〉と反対派の競争であり、互いににらみ合い、敵対していた。現在では反中国・香港騒乱分子が一掃され、いずれも愛国者が立候補するようになり、このため、香港の選挙は競争がなくなったと考える人もいる。これは香港の新しい選挙制度に対する最大の誤解である。新しい選挙制度が解決したのは安全の問題であり、競争が消滅した訳ではない。異なるのは、かつては建制派と反対派の競争だったが、現在では政治的スペクトルが多様な愛国者間の競争であると言うことだ。今回の選挙での争いをみると、その激しさは以前に劣るものではない。すべての界別、地域に競争があり、すべての候補者が同じ土俵で公平に政治綱領、理念、経験、能力を競い合い、愛国・愛香港を比べ、さらには経済や暮らしに焦点を合わせており、もはやかつての選挙のように誰の言動が突拍子もなく過激であるかを比べるものではなくなった。こうした競争こそ真の競争であり、政治的パフォーマンスではない。現在、香港の民主はかつての激しい対立、悪性の競争から公平、公正、良性、理性の競争へと転換しつつある。香港市民は長年来初めて安定した和やかな雰囲気の中でリラックスし、落ち着いた気持ちで投票権を行使したのであり、「両派」の激しい対立により追い詰められ、騙されてびくびくしながら競争することはもはやなくなった。この転換により、今回の選挙は以前よりもずっとクリーン、ピュアで平和的なものとなり、訴えられることが大幅に減少した。今回の選挙は落ち着いた和やかな雰囲気の下で行われ、選挙本来の様相、民主の真髄がはっきりと現れた。これこそ真の競争、真の選挙、真の民主である。

香港特別行政区第七回立法会選挙中の油麻地街挙坊会学校投票ステーション(CnsPhoto)

 第三に真の幅広さと真の均衡。新しい選挙制度は幅広い代表性と均衡のとれた参加性を備えている。まさにこれらの変化により、新しい選挙制度はより多くの新しい顔ぶれを呼び込んだ。以前は小賢しい小悪党や政治屋と同じ土俵で競争することを潔しとしなかった志と力のある人が香港のために役立ちたいと立ち上がった。政界、商業界、学界、専業界のエリート、傑出者もいれば、末端の労働者、職員、中小企業経営者もおり、香港で生まれ育った香港市民もいれば、大陸や台湾で生まれ、香港で暮らす標準語を話す本土出身者および中国籍を取得した元外国人もおり、また、経験豊かなキャリアを積んだ人もいれば、アタック精神にあふれる若者もいた。候補者と当選者の多様な背景は未曽有のものだ。特に公営住宅やバラック住宅の住人、バスの車掌長、登録電気工が立法会選挙の候補者となったのは香港の歴史上初めてのことだ。

 幅広い代表性を確保すると同時に、香港の新しい選挙制度はまた参加の均衡性を一段と確実にした。資本主義社会としては商工金融界の十分な参加がなければならず、資本主義経済の発展に資すると同時に、社会の各階層、各界の利益を共に考慮し、香港全体の利益、界別の利益、地域の利益をよりよく均衡させ、香港の深層部の矛盾や問題の解決に足場を置くものとする。

 要するに、世界の多くの国や地域が外部勢力の関与によって「民主」と「選挙」が混乱に陥り、言葉にできないほど苦しんでいる時、われわれは一つの新しい流れが香港から生み出されるのを目にしたのであり、新しい形態の民主、本来の純粋な選挙が世界の人々の耳目を一新させ、香港に新たな希望をもたらし、また、民主に新たな希望をもたらしたのである。(中国通信=東京)                 

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