折りたたみスマホ市場にvivo参入~参入相次ぐも成長途上の市場で課題も

中国のスマホメーカーのvivoはこのほど、vivo初の折りたたみスマートフォン「vivo X Fold」を発売した。これによりファーウェイ(華為)、栄耀(HONOR)、小米、OPPO、vivoの主要国産スマホメーカーはいずれも、折りたたみスマホ市場に参入したことになる。ただ、折りたたみスマホは市場規模が依然として小さいく、技術面や生産コストなどの面で課題も残されている。

VIVO NEX3発表会。CPHOTO

■足元は供給不足の傾向

各社の折りたたみスマホ市場の参入を振り返ると、2019年にサムスンとファーウェイが先陣を切った。当初は2社のみだったが、2021年になって3月に小米、12月にOPPOが参入。そして2022年1月に栄耀、4月にvivoが参入した。

参入が相次ぐが、昨年末以降、新たに発売された国産の折りたたみスマホは供給不足となっている。OPPOによると、同社の折りたたみスマホ「Find N」は発売後、2週間で5万台を販売し、ネット全体の予約数は100万台を突破した。しかし、長期にわたり品薄状態にある。このほど新たに発売されたvivoの折りたたみスマホも、発売後直ちに完売し、購入には予約が必要となっている。

こうした供給不足の背景には、市場が成熟しておらず、生産量が限定的なことが挙げられる。Counterpointによると、2021年の世界のスマホ出荷台数は14億台で、そのうち折りたたみスマホは900万台にとどまる。2020年の194万7,000台からは大きく増えたが、スマホ市場全体でみると依然としてシェアは小さい。末端の市場が一定の規模に達していないため、メーカー側も生産能力の拡大に慎重になっている格好だ。

■折りたたみスマホ市場への参入はハイエンドブランドの「登竜門」

ただ、こうした中でも主要スマホメーカー各社が折りたたみスマホ市場に相次いで参入している背景には、参入がハイエンドブランドへの「登竜門」とみなされていることがある。

スマホは、ハイエンドチップ以外の技術はすでにコモディティー化し、差別化が難しくなっている。こうした中、折りたたみスマホのスクリーン技術を持つことは差別化の一つとされる。まだ生産規模が限定的で、高価格帯であることからも「ハイエンド」の代名詞といわれている。こうした「ハイエンド」の折りたたみスマホ市場に参入する狙いは、あくまでもユーザーの注目度やブランドイメージの向上にあり、規模の追求ではないといえる。

■技術改良や需要喚起などの課題も

今後の折りたたみスマホ市場については、技術面では、耐久性や歩留まり率など依然として改善の余地が大きいと指摘される。また、価格が高いこともネックの一つだが、コア部品が成熟化するとともに、需要が拡大し生産が大規模となれば、コストが下がり、価格も引き下げられる。しかし、折りたたみスマホは現時点では「必需品」にはなっておらず、市場の需要を喚起する策が必要となる。様々な課題が残るなか、需要を喚起するにあたっては、既存メーカーの努力もさることながら、アップルが参入するか否かもカギの一つと指摘されている。

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