中国、外資系高級車にも値下げの波

値下げ競争が続いている中国の自動車市場。足元で値下げは外資系高級車にも波及している。背景には中国市場で外資系企業が苦戦している状況がある。

 

■外資系高級車の値下げ相次ぐ
中国で外資系高級車として「BBA」と呼ばれるBMW、Benz、Audi。BBAをはじめとする外資系高級車の値下げが相次いでいる。中国メディアによると、ベンツ「EQE」は当初の販売価格47.8万元から足元では28.8万元に値下げしている店舗が存在。BMW「i3」は20万元を、Audi「Q5 E-tron」は希望小売価格35.39万元から足元では20万元を割り込む水準に値下げしている店舗があるという。

BBAの一部の車種の値下げ幅は10万~20万元。また、ポルシェも価格引き下げに乗り出しており、「マカン」は57.8万元から45万~50万元に値下げした。

■外資系苦戦
外資系高級車値下げの背景には、中国企業との競争激化を背景にした中国での販売低迷がある。ポルシェの2023年の中国での販売台数は前年比15%減の7万9,283台。2024年第1四半期は前年同期比24%減の1万6,340台に落ち込んだ。

またメルセデスベンツの2024年第1四半期のアジア地域での販売台数は前年同期比15%減の46.3万台。中国市場での販売台数は12%減の16.81万台に落ち込んだ。

メルセデスベンツの主力車種の価格帯は30万~60万元。この価格帯では、理想汽車、NIO、問界(AITO)など中国ブランドが多くの車種を投入し、競争が激化している。実際、理想汽車の6月3日~9日の販売台数は1万900台で、7週連続で自動車新興企業として販売台数がトップに。高級ブランドでの販売台数は3位だった。

全国乗用車市場信息聯席会(乗聯会)によると、5月の主力合弁ブランドの小売販売台数は49万台で、前年同月比で21%減少した。これに伴い、国別ブランドで外資系のシェアは低下。5月の小売市場でのシェアは、ドイツ系ブランドが18.6%(↓2ポイント)、日系ブランドが14.8%(↓3.2ポイント)、米系ブランドが6.7%(↓1.4ポイント)と、いずれも低下している。

個別では、フォルクスワーゲン(VW)ブランドのシェアは2018年の18%から2023年には14%に縮小。2024年1~5月のシェアは12%にまで低下している。

■中国企業と連携強化
こうした中、外資系ブランドは部品分野でも中国の自動車メーカーと連携を強化。6月27日、フォルクスワーゲン・グループと上海汽車は新製品開発における技術協力で合意した。両社は上海汽車とVWの合弁会社に技術支援を行い、プラグイン・ハイブリッド・モデル(PHEV)、純電気自動車(BEV)を開発。両社が技術協力した製品は2026年から2030年にかけて順次投入される予定という。

上海汽車は5月には、アウディと技術協力で合意。中国市場向けの「デジタルプラットフォーム」を共同開発し、ハイエンドのインテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)の開発に応用する予定となっている。

躍進する中国の新興EVメーカーに外資系メーカーが対抗できるのか。スピード感や柔軟性などの対応力が問われている。

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