中国の自動車業界、コロナやウクライナ情勢などの影響懸念~支援策求める声も

中国の自動車業界では上海市など複数のエリアでのロックダウンや地政学リスクの高まりなどが及ぼすマイナス影響が懸念されている。今後の動向に不透明感が強まる中、自動車消費促進策などの政府支援を求める声も出ている。

山東省青州にある自動車工場。CnsPhoto

■3月の生産、販売台数は対前年同月比減少

中国汽車工業協会によると、今年1~3月の自動車生産台数は前年同期比2.0%増の648万4,000台、販売台数は同0.2%増の650万9,000台と、小幅ながら増加。しかし月次ベースでみると、3月の生産台数は前年同月比9.1%減の224万1,000台、販売台数は同11.7%減の223万4,000台と、ともに減少となっている。3月以降、国内の新型コロナウイルス感染者拡大に伴う各種規制強化やロシア・ウクライナ情勢による地政学リスクの高まりが生産活動に影響。加えて、エンジン電池の原料価格上昇などを背景にした値上げが販売にマイナス影響を及ぼした格好だ。

■「中国の自動車生産への損失は約2割」と業界予測

今後の動向も不透明感が強まる。複数の中国メディアによると、4月の生産、販売動向について全国乗用車市場信息聯席会(乗聯会)秘書長の崔東樹氏は4月11日、コロナ規制の自動車生産にもたらす損失について「20%前後になる」との見方を表明。ロックダウンが実施されている上海市と吉林省には上海汽車、第一汽車がそれぞれ本社を構えているが、国家統計局によると、上海市と吉林省は全国の自動車生産の約11%を占めている状況。崔東樹氏は、「一般的にコア部品は本社エリアの付近に分布されるため、上海市や長春市でコア部品の供給が停滞すれば、全国の自動車産業全体に影響が波及していく」と懸念を示した。

■NIOは一時生産停止

こうした中、新エネルギー自動車(NEV)の蔚来(NIO)は4月9日、完成車の生産を一時停止すると発表。3月以降、上海市や江蘇省などにある同社のサプライチェーンの取引先が次々と生産を停止しているためで、今後は購入者への納入が遅れるとしている。

物流や販売にも影響が出ている。物流では各エリアで直近48時間以内のPCR検査陰性証明などの提出が義務付けられるなどして停滞。また、ロックダウンで消費者の購買意欲にもマイナスの影響が及んでいる。

■業界は産業支援策を要請

厳しい環境が続く中、中国汽車工業協会常務副会長兼秘書長の付炳鋒氏は、「中国の自動車業界は需要の縮小、供給サプライチェーンの打撃、消費者心理の悪化という3つの圧力に直面している」と指摘。当面、安定成長が難しいと予想されることを踏まえ、政府に購入税半減政策を含む自動車消費促進策を打ち出すよう求めている。

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