新疆のバザール文化と伝統工芸品の魅力

中国最北西の都市である新疆ウイグル自治区。この広大な土地には豊かで多彩な文化の宝が育まれている。そのなかでも、バザール文化は新疆の独特な市場文化として伝統的な商業と社交の重要な役割を担っている。バザールとはウイグル語で市場を意味し、都市や村の中心エリアでよく見られ、商品の取引や交流の重要な場となっている。文／孟瑩　写真／CTPphoto、孟瑩

バザールのなかでもウルムチ市の新疆国際大バザールは最も有名な代表的バザールの１つ。

６つの建物からなるこの壮麗なバザールは、ギリシャ、古代ローマ、西アジア、中央アジアの建築要素が融合し、ウルムチのランドマーク的な建築となっている。ここでは西域の古代文化の魅力を感じることができ、多様な食べ物を味わい、様々な民族の手工芸品を鑑賞することができる。新疆観光業における重要な観光地として誉れ高い場所だ。

　バザールは新疆の本場料理が楽しめる名勝の地であるだけでなく、地元の特産品を探索するのに最適の地でもある。ここでは「手抓飯」や黄金色に焼いた「炒包子」、よい匂いが漂うナンなど、様々な美味しい料理を味わうことができる。「手抓飯」は新疆の伝統的な主食で、米と肉（普通は羊肉や鶏肉）とにんじん、玉ねぎ、レーズンなどの具材を混ぜて蒸し煮にしたものだ。手で食べるとより味わいが増す。また、「炒包子」は中央アジア独特の焼き餃子で、サクサクした皮と美味しい具材が絶品だ。そして新疆のナンは地元で重要なパン食の１つであり、焼きナン、大きなナン、炒めナンなど様々な調理方法がある。これらはどれも濃厚な新疆の味と飲食文化を持っている。

　そのなかでも注目すべき飲み物が、新疆サフランコーヒーだ。このユニークなコーヒーは新疆の特色と伝統をうまく組み合わせている。高品質のコーヒー豆と貴重なサフランを主原料としてコーヒーの濃厚さとサフランのかぐわしさを融合させている。サフランは希少で貴重なスパイスであり、独特の花の香りとわずかな苦みがある。新疆では、サフランは広く料理や飲み物に使用され、独特の香りと色彩を添えている。他にも甘くて美味しい揚げパンやアーモンド菓子などの伝統菓子や、新疆特産のレーズンやくるみ、アンズなどドライフルーツも豊富だ。

バザールの工房では、精巧な刺繍や陶磁器、織物など新疆の多様な伝統文化と民族的特色を見ることができる。

　工芸品は現地の職人たちが丹精込めて、熟練した技術で作り上げたもので、新疆の伝統芸術の独特な魅力を表している。なかでも陶芸は必見だ。新疆の陶芸村は伝統的な陶芸の制作技術と独特な陶芸製品で知られている。陶芸製品は現地の土を使い、すべて手作業で作られる。素朴な風合いを持ち、しばしば花やブドウのつる、伝統的な幾何学模様がモチーフとされる。陶芸の工房では花瓶や壺、お椀、皿など整然と並べられた陶芸製品に目を奪われる。

　他にも小刀制作は新疆ウイグル自治区の伝統工芸の１つである。新疆の小刀村は、その熟練した刀具制作技術で有名だ。カシュガル地区にあるこの村は、狩猟用ナイフ、サーベルナイフ、果物ナイフなど様々な種類の刀具製作で名高い。住民は主にウイグル族で、代々刀具製作の技術を受け継いでいる。彼らは高品質の鋼鉄で刀身を作り、入念な鍛冶と研磨、彫刻で独特の民族スタイルを表現する。刀の柄は骨や角、木、あるいは水牛の角などの天然素材を使用し、細やかな彫刻や装飾によって現地の民族文化の要素や伝統的な模様を表現する。また、刀鞘は一般的に革や木材で作られ、精巧な彫刻や刺繍が施されているが、これらはただ装飾だけでなく刀具を保護する役割も担う。刃は繊細な研磨と熱処理を施し、切れ味と耐久性を確保するため、狩猟用ナイフ、サバイバルナイフ、アウトドア用の多機能ナイフなど用途や要求に応じて形状が調整される。

　さらに新疆は豊かな民族音楽で知られており、楽器製作工芸はこの音楽の伝統を伝える上で重要な環を成している。疏附県の民族楽器村は、新疆の伝統的な民族楽器を専門に製作する村で、１５０年余りの歴史を誇る。楽器の種類は多岐にわたり、弾布爾、都塔爾、熱瓦甫、薩塔爾、艾捷克、木笛などがある。村全体で２７０世帯４８７人が民族楽器の製作に携わっており、27の大きなカテゴリーと50種余りの伝統楽器を網羅している。これらの精巧に作られた楽器は、カシュガル及び周辺地域だけでなく、国内外でも広く親しまれ販売されている。

　中国最北西の都市である新疆は、その豊かな歴史と文化遺産で世界的に知られている。この土地はシルクロードの栄光を背負い、多くの少数民族の伝統文化を融合し、独特な新疆の風情を形成している。バザール文化と工芸品は新疆の多様で独特な美しさを表し、人々に新疆の素晴らしさを伝えているのだ。