Author: jizi

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中国経済の10の問題に言及~新華社

中国の今年1~3月期の国内総生産(GDP)をはじめとする経済指標が発表された翌4月19日、新華社は「中国経済の10大問題」と題する文章を掲載した。10の問題は(1)目下の経済情勢(2)防疫措置(3)雇用問題(4)内需(5)貿易、外資の動向(6)インフレ(7)産業・サプライチェーン(8)中小・零細企業(9)不動産市場(10)エネルギー、食糧問題――。このうち、以下では防疫措置、産業・サプライチェーン、中小・零細企業の課題、それに対する当局の方針を簡単に纏める。 ■防疫措置について 防疫措置ではまず、3月以降の新型コロナウィルス感染拡大の状況について「コロナ感染が30省・直轄市に波及し、その中には上海や深圳などGDP規模が大きい都市、吉林などの農業大省が含まれ、景気下押し圧力が徐々に拡大している」と指摘。感染拡大防止措置の強化は「短期的には経済に衝撃となる」と経済へのマイナス影響を認めている。但し、中国の人口14億人のうち60歳以上の人口が2億6,700万人を占めている点を挙げ、「厳格な予防措置を適時に行わなければ、集団感染リスクが高まる」と指摘。長期的な観点から「動態ゼロコロナ」政策を堅持する方針を示した。 ■サプライチェーンの混乱について サプライチェーンの一部混乱については、産業チェーンの安定にとって不確実性を増幅する要因になっていると認めながらも、これは「コロナがもたらしている短期的な衝撃という側面が強い」と指摘。「目下、重要なのは混乱を招いているポイントに焦点を当て、適宜その問題を解消し、短期的な困難が長期的な趨勢に発展するのを避けること」と、サプライチェーンの混乱の長期化を回避する必要性を強調した。同時に、「チェーン」上にある企業をしっかりと守ることが重要であるとしている。 ■中小企業問題について 中小・零細企業については、受注や売上の減少、未払い金の増加、原材料価格の高騰、人件費や輸送コストの上昇などの問題に直面していると指摘。生産が増えても売り上げが増えない、売り上げがあっても利益が出ないという矛盾が鮮明化し、企業の間の格差が拡大し続けているとしている。こうした中小・零細企業の救済においては、経営コスト引き下げのための減税や費用引き下げと同時に、キャッシュフローを増やすための金融支援が必要との認識を示している。

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中国の経済成長率予想をIMFが下方修正~中央当局は相次ぎ景気下支え措置

中国では新型コロナウイルス感染拡大防止のための厳格な措置実施などを背景に景気の下押し圧力の強まりが懸念されている。こうした中、中国当局は景気下支えに向けた措置を相次いで打ち出している。 ■IMFは今年のGDP成長率を4.4%に 中国経済を巡っては、国際通貨基金(IMF)が4月19日に発表した最新の世界経済見通しで、2022年の中国のGDP成長率を4.4%と予想。今年1月の予想から0.4ポイント引き下げた。23年のGDP成長率は5.1%とし、今年1月の予想から0.1ポイント下方修正した。IMFは中国経済について、感染力が強いコロナの変異株が出現する中、政府の「ゼロコロナ戦略」による厳格な防疫措置は個人消費に影響を与えるなどと指摘している。IMFのほか、UBSなど民間の機関も足元で中国の22年のGDP成長率予想を下方修正する動きが広がっている。 ■人民銀行、コロナの影響が大きい業種を中心に金融支援 こうした中、中央の各当局は景気下支えの方針を打ち出している。中国人民銀行と外貨管理局は4月18日、『コロナ予防及び経済社会発展の金融サービス』に関する23条の措置を発表。その中で◆ホテル・飲食、卸売・小売、観光などコロナのマイナス影響が比較的大きい業種を金融機関が支えるよう促す、◆金融機関が運輸・物流企業やトラック運転手の資金需要に対応し、一時的に融資返済が難しい場合は返済期限の延期や借り換えの手配をするよう促す――などの方針を盛り込んだ。 ■国家発展改革委員会、消費促進や企業救済を強化 国家発展改革委員会は4月19日、景気下支えに向けて(1)消費促進・投資拡大、(2)企業の救済強化、(3)民生支援、(4)商品価格の安定——を軸に進める方針を表明。(1)については、重点分野の消費拡大として、新エネルギー自動車消費の支援を続ける方針を示した。また、新型消費としてオンラインとオフライン融合の消費を促すとしている。 (2)では、工業経済の安定成長を促進する政策や、飲食や小売、観光などコロナの影響が比較的大きいサービス業の回復に向けた政策を進める方針を示した。(3)については、◆大卒者の就職・創業の支援、◆農民工の出稼ぎ労働や現地での就業促進、◆帰郷者による創業奨励——などを挙げている。(4)では、足元の地政学リスクの高まりによる商品価格の上昇を受け、商品価格の動向を密接にフォローし、適時に対処する方針を示した。 ■国有資産監督管理委員会、中央企業の中小企業への支払延滞防止メカニズム構築 国有資産監督管理委員会は4月19日、◆中央企業による石炭、電気、石油・ガスなどの高品質な基礎サービスの提供を通じた中小企業の運営コスト引き下げを推進、◆中央企業によるハイエンド設備製造、新エネルギー、新素材などの戦略的新興産業の重点分野での投資拡大を促進、◆中央企業による中小企業への支払延滞防止の長期的なメカニズムを構築することで、中小企業、民営企業への未払金を最小化ーーなどに取り組むとしている。 ■工業情報化部、上海に人員派遣で生産再開を指導 工業情報化部は4月19日、工業の安定成長、中小・零細企業の支援に関する政策を検討していると表明。また、既に上海に作業部会を派遣し、地方当局による工業企業のコロナ対策ガイドラインの実施を指導。重点企業の操業再開・生産再開を秩序正しく推進し、企業の物流輸送問題の解決に協力するよう促している。

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中国、サプライチェーンの安定化へ~劉鶴副首相が重要取り組み事項を提示

中国政府が物流の円滑化やサプライチェーンの安定に向けた取り組み方針を相次いで打ち出している。直近では4月18日に、劉鶴・副首相がサプライチェーンの安定化に向けた重要取り組み事項を明示した。 中国では、上海など複数の都市で新型コロナウイルス感染拡大を受け厳格な防疫措置を実施。移動に際して必要な「通行証」や「健康コード」が各地で異なるなどし、物流の停滞を招いている。物流の停滞、さらにはサプライチェーンの寸断による経済全体への影響が懸念される状況を受け、中国の交通運輸部は4月14日、貨物輸送・物流の円滑化を保障するよう各地方政府に通達を出し、各地で統一した通行証制度の確立などを求めた。 また、新華社によると、同18日に開催された「全国物流円滑化促進、産業チェーン・サプライチェーン安定促進に関するオンライン会議」に劉鶴・副首相が出席。劉鶴・副首相は、全国統一の通行証の発行、全国で通用する48時間以内のPCR検査陰性証明書の発行などを含めた10の重要措置を打ち出し、運転手のPCR検査結果待ちなどによる物流の停滞を解消する必要性を訴えた。同時に、物流業従事者の就業・生活条件の改善に向け支援する方針を示している。 ■10の措置は以下の通り (1)住民の生活必需品の供給を優先的に保障すること。物資輸送の「ラストワンマイル」をスムーズにすることを最重要課題とし、住民の基本的な生活に影響がないようにする。 (2)物流の円滑化を維持する健全な作業体制を確立すること。当局と重点物流企業がそれぞれ相応の作業体制、専門グループを設立し、統一した指揮系統の下、役割分担をして責任を明確にする。 (3)輸送ルートの円滑化を保障すること。高速道路やサービスエリアに設置された防疫検査所の取締りを強化するとともに、道路運行のモニタリングを強化し、道路遮断や渋滞問題を速やかに解決する。 (4)トラックの通行管理政策を最適化すること。関連部門と共同でPCR検査結果を全国で相互認証できるよう共通化。48時間以内のPCR検査陰性証明書およびグリーン健康コードを保有し、体温検査が正常なトラック運転手に対しては、各地で直接通行を許可し、各地での健康コードの追加やPCR検査証明書の有効期間内の重複検査を回避する。 (5)各地で統相互認証できる統一した通行証の使用普及を加速すること。重点物資の通行証の発行状況や通行状況について見直し、オンライン手続きを推進し、受理したら直ちに手続きを行い、十分な通行証の発行を確保し、全国での相互認証を実現する。 (6)重点サービスの保障を強化すること。トラックの通行問題を適時、協力して解決し、運転手の基本生活を保障する。上海及び長江デルタ、珠江デルタ地域における生産・生活資材、国の経済・民生に関わる産業チェーン・サプライチェーンのサービス保障を重点に、各方面が協力して産業チェーン・サプライチェーンの安定を維持する。 (7)苦情処理を加速すること。苦情を受けたらすぐに処理し、「12328」ホットラインの役割を十分に発揮し、通報制度を確立し、問題の早期解決に取り組む。 (8)物流企業および人員の負担軽減に注力すること。各関連部門と共同で各地が中小企業の救済、産業チェーン・サプライチェーンの安定化政策を十分に利用するよう指導。同時に、トラック運転手の労働・生活条件を保障すべく、ローン保証やローン返済猶予などの金融支援を拡大するとともに、トラック運転手に無料のPCR検査、抗原検査の提供を奨励する。 (9)感染拡大のリスクを厳重に防ぐこと。関連部門と共同で感染状況が深刻な地域の物流園区、高速道路サービスエリアなどには「非接触式」の物資中継場を設置する。(10)モニタリング、緊急対応を強化すること。関連部門と共同で各地のモニタリング、事前警告システムを強化し、適時の報告および情報公開を強化し、社会の監督を受ける環境を整備する。

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折りたたみスマホ市場にvivo参入~参入相次ぐも成長途上の市場で課題も

中国のスマホメーカーのvivoはこのほど、vivo初の折りたたみスマートフォン「vivo X Fold」を発売した。これによりファーウェイ(華為)、栄耀(HONOR)、小米、OPPO、vivoの主要国産スマホメーカーはいずれも、折りたたみスマホ市場に参入したことになる。ただ、折りたたみスマホは市場規模が依然として小さいく、技術面や生産コストなどの面で課題も残されている。 ■足元は供給不足の傾向 各社の折りたたみスマホ市場の参入を振り返ると、2019年にサムスンとファーウェイが先陣を切った。当初は2社のみだったが、2021年になって3月に小米、12月にOPPOが参入。そして2022年1月に栄耀、4月にvivoが参入した。 参入が相次ぐが、昨年末以降、新たに発売された国産の折りたたみスマホは供給不足となっている。OPPOによると、同社の折りたたみスマホ「Find N」は発売後、2週間で5万台を販売し、ネット全体の予約数は100万台を突破した。しかし、長期にわたり品薄状態にある。このほど新たに発売されたvivoの折りたたみスマホも、発売後直ちに完売し、購入には予約が必要となっている。 こうした供給不足の背景には、市場が成熟しておらず、生産量が限定的なことが挙げられる。Counterpointによると、2021年の世界のスマホ出荷台数は14億台で、そのうち折りたたみスマホは900万台にとどまる。2020年の194万7,000台からは大きく増えたが、スマホ市場全体でみると依然としてシェアは小さい。末端の市場が一定の規模に達していないため、メーカー側も生産能力の拡大に慎重になっている格好だ。 ■折りたたみスマホ市場への参入はハイエンドブランドの「登竜門」 ただ、こうした中でも主要スマホメーカー各社が折りたたみスマホ市場に相次いで参入している背景には、参入がハイエンドブランドへの「登竜門」とみなされていることがある。 スマホは、ハイエンドチップ以外の技術はすでにコモディティー化し、差別化が難しくなっている。こうした中、折りたたみスマホのスクリーン技術を持つことは差別化の一つとされる。まだ生産規模が限定的で、高価格帯であることからも「ハイエンド」の代名詞といわれている。こうした「ハイエンド」の折りたたみスマホ市場に参入する狙いは、あくまでもユーザーの注目度やブランドイメージの向上にあり、規模の追求ではないといえる。 ■技術改良や需要喚起などの課題も 今後の折りたたみスマホ市場については、技術面では、耐久性や歩留まり率など依然として改善の余地が大きいと指摘される。また、価格が高いこともネックの一つだが、コア部品が成熟化するとともに、需要が拡大し生産が大規模となれば、コストが下がり、価格も引き下げられる。しかし、折りたたみスマホは現時点では「必需品」にはなっておらず、市場の需要を喚起する策が必要となる。様々な課題が残るなか、需要を喚起するにあたっては、既存メーカーの努力もさることながら、アップルが参入するか否かもカギの一つと指摘されている。

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上海、昆山で台湾企業の操業停止相次ぐ~アップルのサプライチェーンへの影響に懸念

新型コロナウイルス感染拡大で事実上の都市封鎖が実施されている上海と江蘇省昆山市に生産拠点を置く台湾系メーカーが相次いで、当地での一時操業停止に追い込まれている。特に昆山は電子産業が集積し多くの台湾系企業が生産拠点を置き、中には米アップルのサプライヤーも含まれる。このため、アップル製品のサプライチェーンに影響が及ぶ可能性が指摘されている。 ■MacBookの組み立て請け負いの広達などが操業一時停止 4月14日付の香港経済日報によると、操業一時停止を発表した台湾上場企業は少なくとも161社にのぼる。このうち、世界最大手のノート型パソコンのEMS(電子機器の受託製造サービス)である広達(クアンタ)の上海子会社は13日から操業を停止。操業再開時期に向け当地政府に積極的に協力するとともに、同社の財務、業務への評価を進めるとしている。 iPhoneの二大組立受託企業の一つである和碩(ペガトロン)は、上海と昆山の工場の一時生産停止を発表。操業再開時期は未定としている。iPadの製造を請け負う仁宝電脳(コンパル・エレクトロニクス)は、昆山の子会社5社が政府の防疫措置の強化に協力するとしている。このほか、プリント基板(PCB)のサプライヤーである欣興(Unimicron)は、上海工場が4月2日から操業を停止しており、現時点では4月19日まで操業を停止するとしている。 アップルのサプライヤーが多いだけに、アップル製品の生産にどの程度影響が及ぶか懸念されているが、製品の中ではMac bookが最大の影響を受けると予想されている。iPhoneとiPadは、河南省鄭州と深圳に生産拠点を持つ富士康(フォックスコン)が、和碩と仁宝電脳の操業停止分を支えることができるが、Mac bookは広達が組み立てをほぼ独占して請け負っているためだ。 では、どの程度の影響を受けるのか。操業停止の期間次第だが、アップル製品は通常1~2か月分の在庫を持っているとされるため、「操業停止が1~2週間程度であれば、全体のサプライチェーンへの影響は大きくない」とみられている。ただ、操業停止が1カ月を超えれば供給に支障をきたす恐れがあると予想されている。 物流、輸送の遅延の影響も看過できない。調査会社のトレンド・フォースによると、人やモノの流れが制限される中、上海、昆山の工場は当面、既存の部品在庫で生産ニーズを満たすしかない状況。また、封鎖措置が解除されても、一気に動き出せば、税関の負荷高まりによる停滞が予想され、製品の納期に影響が及ぶ可能性があるという。

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米中の長期金利が逆転~当面続くも「過度の元安は制御可能」と政府系メディア

米国の長期金利が中国の同金利を上回る金利逆転が起こった。米中の金利逆転は、両国の金融政策の相違から当面続く可能性があるが、中国の政府系メディアは「金利逆転による過度の人民元安リスクは制御可能で、海外への大規模な資金流出は起こらない」との見方を伝えている。 ■逆方向の米中金融政策 金利差逆転の背景には米中の経済サイクルのズレによる金融政策の相違がある。米国ではインフレ率が約40年ぶりの高水準に達し、金融政策は「インフレ抑制」に重点が置かれている。一方、中国は景気下振れ懸念がくすぶる中、「安定成長」に軸足を置いた金融政策となっている。こうした金融政策の相違から4月11日、米国の10年物国債金利は2.76%を付け、同日の中国の10年物国債金利2.75%を上回った。米国の10年物国債金利が中国のそれを上回るのは2010年以来のこととなる。 ■過度の元安は制御可能 米中の金利逆転は元安要因にもなり得る。ただ、中国政府系メディアは「大幅な元安リスクは制御できる」との見方を伝えている。その要因の一つとして、金利差よりも国際収支のほうが人民元相場に与える影響が大きいことを挙げている。目下、経常収支、資本収支の黒字規模が依然として大きいことを鑑みると、急速に元安に進む可能性は低いとみられている。また、◇インフレ要因を加味した米中の実質金利の差が依然として大きいこと、◇外貨、資本規制が依然として存在すること――なども一方的な元安進行を抑える要因として挙げられている。 ■金利逆転現象は当面続くも長期化には懐疑的な見方も 前述のように米中金利逆転は、目先は続くとみられているが、長期的に続くかには懐疑的な見方もある。 まず短期の見通しをみると、米国はインフレ抑制を目的にした利上げ観測の継続が金利の押し上げ要因となる。一方、中国に関しては、足元の新型コロナウイルス感染者拡大を背景に第2四半期の景気の下振れリスクが強まる中、景気下支えのための預金準備率や金利の引き下げの可能性がくすぶっている。米金融引き締め、中国金融緩和という逆方向の金融政策が、金利逆転が続く目先の要因となる。 しかし、その先をみると、米国は量的引き締め(QT)が始まり、景気減速懸念が強まった場合、10年物国債金利は第2四半期末ごろから低下すると予想する向きがある。一方、中国はコロナの状況が改善し、景気下支え策が奏功して景気好転予想が強まれば、10年物国債金利は上昇する可能性がある。つまり、長期的には、米国は景気減速懸念→金利低下、中国は景気改善期待→金利上昇というシナリオとなれば、足元の金利逆転が解消されることになる。 米中の経済サイクルのズレが強まる中、両国の金融政策の舵取りが注目される。

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中国の自動車業界、コロナやウクライナ情勢などの影響懸念~支援策求める声も

中国の自動車業界では上海市など複数のエリアでのロックダウンや地政学リスクの高まりなどが及ぼすマイナス影響が懸念されている。今後の動向に不透明感が強まる中、自動車消費促進策などの政府支援を求める声も出ている。 ■3月の生産、販売台数は対前年同月比減少 中国汽車工業協会によると、今年1~3月の自動車生産台数は前年同期比2.0%増の648万4,000台、販売台数は同0.2%増の650万9,000台と、小幅ながら増加。しかし月次ベースでみると、3月の生産台数は前年同月比9.1%減の224万1,000台、販売台数は同11.7%減の223万4,000台と、ともに減少となっている。3月以降、国内の新型コロナウイルス感染者拡大に伴う各種規制強化やロシア・ウクライナ情勢による地政学リスクの高まりが生産活動に影響。加えて、エンジン電池の原料価格上昇などを背景にした値上げが販売にマイナス影響を及ぼした格好だ。 ■「中国の自動車生産への損失は約2割」と業界予測 今後の動向も不透明感が強まる。複数の中国メディアによると、4月の生産、販売動向について全国乗用車市場信息聯席会(乗聯会)秘書長の崔東樹氏は4月11日、コロナ規制の自動車生産にもたらす損失について「20%前後になる」との見方を表明。ロックダウンが実施されている上海市と吉林省には上海汽車、第一汽車がそれぞれ本社を構えているが、国家統計局によると、上海市と吉林省は全国の自動車生産の約11%を占めている状況。崔東樹氏は、「一般的にコア部品は本社エリアの付近に分布されるため、上海市や長春市でコア部品の供給が停滞すれば、全国の自動車産業全体に影響が波及していく」と懸念を示した。 ■NIOは一時生産停止 こうした中、新エネルギー自動車(NEV)の蔚来(NIO)は4月9日、完成車の生産を一時停止すると発表。3月以降、上海市や江蘇省などにある同社のサプライチェーンの取引先が次々と生産を停止しているためで、今後は購入者への納入が遅れるとしている。 物流や販売にも影響が出ている。物流では各エリアで直近48時間以内のPCR検査陰性証明などの提出が義務付けられるなどして停滞。また、ロックダウンで消費者の購買意欲にもマイナスの影響が及んでいる。 ■業界は産業支援策を要請 厳しい環境が続く中、中国汽車工業協会常務副会長兼秘書長の付炳鋒氏は、「中国の自動車業界は需要の縮小、供給サプライチェーンの打撃、消費者心理の悪化という3つの圧力に直面している」と指摘。当面、安定成長が難しいと予想されることを踏まえ、政府に購入税半減政策を含む自動車消費促進策を打ち出すよう求めている。

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ガソリン車生産停止のBYD~NEV特化でハイエンド・ブランドのイメージ確立なるか

BYDは4月3日、ガソリン車の生産を3月から停止し、新エネルギー自動車(NEV)に属する電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)に注力すると発表した。NEVへの特化は、BYDのハイエンド路線へのシフトに拍車を掛けることができるのか、注目されている。 ■電池メーカーから自動車事業に参入 電池メーカーだったBYDは、2003年に秦川汽車の買収を通じて自動車事業に参入した。その後、電池の技術を活かし国内でNEVの開発を先行。2006年にリチウム電池を搭載した初のEV「F3e」を開発した。しかし、当時はNEVに対する市場の認知度が低かったほか、サプライチェーンの問題などもあり最終的に発売に至らなかった。 BYDは当時、ガソリン車が中心だった自動車市場でNEVを普及させるには、ガソリンから純電気への移行を支える技術が必要と判断。そこで開発されたのが2008年に発売した同社初のPHVである「F3DM」だ。価格は14万9800元だった。 その後BYDは、PHVとEVの2大分野で数々の車種を投入。近年はPHVとEVを含むNEVの販売比率が高まっていた。実際、2021年6月の販売実績をみると、販売台数5万1,051台のうちNEVが4万1,366台。全体の8割強を占め、ガソリン車は2割弱にとどまっていた。 また、2021年11月に開催された第26回国連気候変動枠組条約締約国会合(COP26)では、主要市場で2035年まで、世界で40年までにすべての新車販売で二酸化炭素(CO2)を排出しないゼロエミッション車(ZEV)に転換するとの宣言に、自動車メーカー6社が署名したが、中国メーカーではBYDが唯一署名。他の5社は米GMやフォード、独ダイムラーなど欧米企業だった。 こうした中、従来からガソリン車を生産している他の中国の自動車メーカーに先駆けてガソリン車の停止を発表した。無論、ガソリン車の生産停止後でも、既存の顧客に対してはアフターサービスや各部品の提供は続けるとしている。 ■ローエンドからの脱却に向け「漢」投入も、高級路線シフトは道半ば ガソリン車からNEVに完全シフトしたBYD。今後の課題はローエンド・ブランドのイメージ払拭だ。 前述した通り、2008年以降、BYDはNEVを相次いで投入してきたが、価格帯が低いローエンドの車種が中心だった。ローエンド・ブランドからの脱却に向けてBYDは2020年、「漢」シリーズを投入。「漢」はBYDの他の車種と異なり、価格は30万元近くで、業界内では、「漢」がBYDのハイエンド市場を切り開く「切り札」になるとみる向きもあった。 「漢」投入後、販売は好調だった。BYDの21年の販売台数は前年比75.4%増の73万0093台で、うち、NEVは前年比231.6%増の59万3,745台(内訳はEVが32万0,810台、PHVが27万2,935台)。中国のNEV販売台数でトップに立った。 しかし、「漢」の品質などに対する消費者からの苦情は少なくなかった。また、他のNEVの新興企業に比べると収益性が低いことも浮き彫りとなっている。 一般的に完成車の粗利益率は自動車メーカーの「命脈」とされているが、BYDの2021年の粗利益率は前年比7.81ポイント低下して17.39%。2008年以来の低い水準に落ち込んだ。一方、テスラ、蔚来(NIO)、理想汽車といったNEVメーカーは、販売台数ではBYDを下回るが、完成車の粗利益率は20%以上を維持している。 BYDは完成車事業の粗利益率の低下について、サプライチェーンの寸断や原材料価格の上昇などを挙げている。ただ、これらの問題は自動車業界全般のことだ。となると、テスラやNIOに比べて粗利益率が低いのは、販売価格の低さが影響しているといえる。実際、調査会社のデータによると、BYDの21年の平均価格は15万1,800元。一方、NIOの平均価格は43万2,900元と大きな開きがある。 収益性を高めるためにも、NEVの更なるハイエンド化は必須といえる。こうした中、「BYDが新たなハイエンド・ブランドの投入を計画している」と報じられている。価格帯は50万~100万元に設定されるという。 自社ブランドだけでなく、独ダイムラーとの合弁会社である深圳騰勢新能源汽車(騰勢汽車)が展開するNEVブランド「騰勢(DENZA)」についても、ハイエンド化を模索している。 騰勢汽車は2010年にBYDとダイムラーが折半出資して設立。「騰勢300」、「騰勢400」、「騰勢500」などを投入してきた。価格帯は30万~40万元とハイエンドに属するが、走行距離の短さや消費者のブランド認知度の低さなどで販売は低迷。「騰勢」の21年の年間販売台数は4,783台。NIOや理想汽車の1カ月の販売台数を下回る水準だ。 こうした中、BYDは「騰勢」のテコ入れに動き出した。21年12月、BYDとダイムラーの出資比率について、各50%から、BYD90%、ダイムラー10%へと変更すると発表。ダイムラーからBYDの株式譲渡は22年内に完了する予定となっている。BYDは支配権を強めることで、高級ブランドの構築で主導権を握る狙いがある。実際、「騰勢」が新たに発売する車種にはBYDの新技術を採用し、販売価格は30万~50万元に設定する計画という。 また、今年2月には「騰勢」の販売会社となる騰勢汽車銷售服務を設立。販売会社はBYDの子会社・BYD汽車工業が全額出資している。販売会社の設立についてBYDは、「ハイエンド(ブランド)のサービスや体験を再構築する」としている。 ■自動運転分野でも巻き返し 課題はハイエンド・ブランドの構築だけではない。BYDは車内のスマート化や自動運転の技術面でも他社に比べて劣勢と指摘されている。この課題を解決すべく、このところ、自動運転技術を持つ企業との連携を加速している。まず今年2月、百度(Baidu)を自動運転分野のサプライヤーに選出したと報じられた。百度のシステムを搭載したBYD車が近く、量産化される見通しという。また、同3月にはNVIDIA(エヌビディア)と提携し、2023年上半期から一部の車種にエヌビディアのシステムを搭載すると発表した。BYDとしては、自動運転の関連技術を保有する企業と連携して自動運転の研究開発を加速し、自動運転分野でも攻勢を強めるとみられている。 民族ブランドの自動車メーカーである吉利汽車、長城汽車もNEVのハイエンド車種を投入するなどNEVのハイエンド市場では競争が激化している。こうした状況の下、NEVに完全シフトしたBYD。NEV市場でローエンド・ブランドのイメージを払拭し、ハイエンド・ブランドとしての認知度を広げることができるのか、同社の力が試されるところといえよう。

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ファーウェイが採用する「軍団」制とは~新たに10の「軍団」を設立 

ファーウェイ(HUAWEI)は3月末、新たな10の「軍団」の設立式典を開催した。「軍団」とは、ファーウェイが昨年から導入している組織部門の名称。「軍団」制を採用することで、組織の簡素化、効率化につなげる狙いがある。以下では、ファーウェイが「軍団」制を採用した背景やメリットを纏める。 ■21年から計15の「軍団」を設立 ファーウェイが「軍団」を初めて設立したのは2021年4月で、「石炭軍団」の設立が嚆矢だ。その後10月に「データセンター・エネルギー軍団」、「スマート光発電軍団」、「税関・港湾軍団」、「スマート道路軍団」の4つを設立。そしてこのほど、新たに「電力デジタル化軍団」、「行政オンライン軍団」、「空港・鉄道軍団」、「インタラクティブ・メディア軍団」、「スポーツ・ヘルス軍団」、「ディスプレイ・ニューコア軍団」、「園区(パーク)軍団」、「広域ネットワーク軍団」、「データセンター基盤軍団」、「デジタル・サイト軍団」を設立した。昨年設立された5つの「軍団」と併せて計15の「軍団」が設立されたことになる。 ■分野ごとに各機能の専門家を集結させた組織 そもそも「軍団」とはどのような組織なのか。創業者の任正非氏はかつて中国メディアに対し「軍団」の設立について、「グーグルに習った」と述べている。「軍団」は、基礎研究、技術、製品、プロジェクト、販売、納品、サービスなど各職位・機能の専門家を一つの部門に集結させた組織。研究、技術、製品といった各機能・職位を軸にした縦割りでなく、「電力デジタル化」などの「分野」を軸に各機能・職位の専門家を配置した横断的な組織といえる。また「軍団」は、ファーウェイに従来からある「業務集団(Business Group、BG)」と同格で、大きな独立性を有している。 「軍団」制導入のメリットについて任正非氏はかつて、「組織の壁を乗り越え、資源をスムーズに集約させ、互いに協力して効率を高め、一つの分野を深く追及できる」と述べている。また、先の決算発表で当時の董事長・郭平氏の発言からも「軍団」のメリットが語られている。郭平氏は「ファーウェイの業務、技術は極めて広範で煩雑だが、軍団に運営、管理を任せることで、顧客に対してよりシンプルに製品・サービスを提供できる」という。 今回新たに10の「軍団」を創設したことについては任正非氏は設立式典で、「国際情勢が変化し、ファーウェイがますます厳しい圧力に直面する中、陣営を安定させる必要がある」と説明。「積極的に布陣を調整し、顧客に確固たる価値を提供しなければならず、そのために、機動的な戦略・戦術をとる必要がある」と語っている。 米国からの制裁に直面するファーウェイ。2021年の業績は資産売却などで増益を達成したが、売上高は減少した。「軍団」制の導入という組織構造の見直しがどのような効果を表すのか注目される。

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中国デジタル人民元の実証実験エリアに11都市追加

中国人民銀行の公式ウェブサイトによると、人民銀行は3月31日にデジタル人民元実証実験の研究開発に関する会議を開催し、実証実験エリアとして新たに11都市を追加する方針を示した。 既にデジタル人民元の実証実験を行っているエリアは、上海市、海南、湖南省・長沙、陝西省・西安、山東省・青島、遼寧省・大連、広東省・深圳、江蘇省・蘇州、河北省・雄安新區、四川省・成都の10エリアと北京冬季五輪会場。さらに同会議では、北京冬季五輪会場での実証実験終了後、北京市と河北省・張家口が実証実験都市になったと明らかにした。 会議ではこれらエリアに、天津、重慶、広東省・広州、福建省・福州、同アモイの5都市と22年アジア競技大会開催地の浙江省6都市(杭州、寧波、温州、湖州、紹興、金華)の計11都市を追加する方針を示した。 現在、デジタル人民元の使用は卸売・小売、飲食、観光、政府などの支払いで可能。北京冬季五輪・パラリンピックでの試験プロジェクトも成功し、実証実験への参加者は増加。取引規模も徐々に拡大しているという。 デジタル人民元のウォレットを開設できる指定運営機関は、工商銀行、農業銀行、中国銀行、建設銀行、交通銀行、郵政貯蓄銀行、招商銀行、テンセント傘下の微衆銀行、アントグループ傘下の網商銀行が選定されている。 2021年末時点のデジタル人民元の応用シーンは808万5,100カ所、個人ウォレット開設数は累計で2億6,100万、取引金額は875億6,500万人民元となっている。