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一帯一路の「債務の罠」理論が成り立たない理由(2)~中国国際経済交流センター張燕生氏

2023年は「一帯一路」構想が打ち出されて10年目の節目に当たる。過去10年、「一帯一路」構想は共同参画国・地域の発展に寄与した一方、中国がいわゆる「債務の罠」を作り出したとの見方もある。事実はどうなのか?これについて中国国際経済交流センターの張燕生主任研究員は中国新聞社のインタビューに応じ、長年にわたり、中国は世界の経済成長促進に重要な役割を果たしてきたと同時に、発展途上国の「貧困の罠」からの脱却を支援するパートナーだったと指摘している。

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東西問|雷小華: RCEP協力の下で中国は文化の「美美与共―多様性の尊重と調和」をいかに展開させるべきか

地理的に近い中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国は、ますます緊密になる交流と協力の下で、「あなたの中にわたしがある、わたしの中にあなたがある」というように双方の文化が融和している。たとえば、独特な風味をもつASEANの食品が中国広西チワン族自治区憑祥市の中越国境鉄道税関を通じて輸入され中国各地に広がり、袋入りの柳州螺螄(ルオス)麺(タニシ風味の麺)などの中国食品もまたASEAN諸国で好評を博している。 「東アジア地域包括的経済連携」(RCEP)の発効に伴い、中国ASEAN博覧会(略称「東博会」)ではRCEPエリアが増設されるなどサービス範囲がRCEP加盟国に拡大され、双方の文化交流がますます緊密になる。中国とRCEP加盟国との経済貿易協力の緊密化が高まる背景の下で、人文交流をいかに充実させ、文化間の「多様性の尊重と調和」を展開していくか。広西社会科学院東南アジア研究所副所長兼広西社会科学院東南アジア国別研究革新チームの主席専門家である雷小華氏が中新社の「東西問」の独占インタビューに応じ、このテーマについて解説してくれた。 インタビューの概要は以下のとおりである。 中新社記者:中国ASEAN自由貿易地域(CAFTA)の発足は、双方の文化交流にどのような影響を与えたのでしょうか。 雷小華:中国ASEAN自由貿易地域の発足以来10年間で、中国とASEANの間で90%以上の7000品目を超す商品の関税が撤廃されました。これにより、子ども向け玩具、放送映像器材、文化番組、テレビドラマ、映画、アニメーションなどのサービス貿易が活発化しました。 現在、中国の対ASEAN投資の方向性は、従来型のインフラ分野から観光地、観光サービスプラットフォーム、放送や映像などの文化インフラ分野のほか、さらに文化系の企画や作品制作への参加へと徐々に変化しつつあります。このことが、ASEAN諸国の文化インフラ整備のレベルを一定程度引き上げ、文化商品を多彩にしています。 同時に、中国とASEANは、互いに最も重要な観光地の一つになっています。特に新型コロナウイルスによるパンデミックが起こる前の2019年には、中国とASEANの双方向の人的交流がのべ6500万人を超え、中国と東南アジア間のフライトが週約4500便、ASEAN諸国への中国人観光客がのべ3907万人となり、過去最高を記録しました。 文化商品の貿易拡大、文化インフラ整備のレベルアップおよび双方向の人流の急速な増大に伴い、中国とASEANの文化の融和を支える世論の基盤はますます強固なものになってきています。 中新社記者:中国ASEAN自由貿易地域の発足は、中国人の食卓にどのような変化をもたらしたでしょうか。 雷小華:中国の経済発展と強大な国内需要は、特に国内の大市場を主軸とし、内循環(国内市場)と外循環(海外市場)を互いに活発化させるという新しい発展の枠組みの構築は、ASEAN諸国の輸出、特に農産物と旬の果物に関して、大きなチャンスをもたらしました。ベトナムは、9種類の果物の中国向け輸出がすでに可能となり、さらに7種類が交渉中です。今年の春節には、タイ産のドリアン、マンゴスチンやベトナム産のジャックフルーツ、ドラゴンフルーツそのほか大量の水産物が広西チワン族自治区を通じて中国市場に入ってきました。 ASEAN諸国の良質で安価な商品は、中国の消費者の食卓を豊かにしただけでなく、当初は高価だった果物も次第に手が届く価格になり、ドリアン、マンゴスチン、ジャックフルーツなどは中国の一般市民の食卓に上る珍しくない果物になっていったのです。 中新社記者:中国とASEANの文化的類似性、共通性は、自由貿易地域(FTA)の締結にどのような役割を果たしましたか。 雷小華:中国とASEANは地理的に近く、民俗的にも共通点が多いので、互いに親しみがあり、あまり気兼ねすることなく最適な方法でコミュニケーションができます。これが、双方の信頼性を高め、FTAの枠組みの下で全方位的でハイレベルの協力を推進するのに役立っています。 同時に、文化的な類似性や共通性があるため、双方のコミュニケーションに言葉の壁が少なく、意思疎通が容易でスムーズであり、双方の人的交流や経済貿易協力にプラスになっています。中国とASEANが互いに最大の観光地であるのもこのおかげです。 さらに、文化的な類似性、共通性により、双方が互いの風俗や習慣に精通することができます。それによって、企業が現地での市場調査を行い、各国の消費者のニーズにあった市場性のある製品の生産やプロモーションができるので、互いの市場を開拓して製品の市場シェアを拡大するのに有益です。 中新社記者:中国とASEANには長い人文交流の歴史がありますが、人文交流を通じて進めてきた経済貿易協力の経験は、RCEPの設立にどのような示唆を与えましたか。 雷小華:第一に、相互尊重と相互学習です。中国は、近隣各国と良好な関係を築き、パートナーとして、互いに信頼し尊重し合う誠実な友人、戦略的なパートナーであることを提唱しています。中国とASEANの間に「和して同ぜず」「小異を残して大同につく」という状況が生まれたのは、相互尊重があるからです。中国とASEANの歴史や文化は多様で包容力があり、特色があります。人々の交流の長い歴史は衰えることなく、社会の各界からの幅広い参加が交流チャンネルを持続的に拡大させています。それにより、各分野の交流は緊密で活発になり、人々の交流もますます頻繁になり、交流によって特色あるブランドが絶えず現れています。「親戚も友人も頻繁な交流により親近感が生まれ、相互理解が深まる」という道理は、RCEP参加国との協力関係にもあてはまります。 第二に、華僑華人による橋渡し役、つなぎ役としての役割が十分発揮されるようになったことです。ASEAN諸国には多くの華僑華人がおり、現地の経済発展を促進させるだけでなく、人々の中国文化に対する認識や理解も促し、中国文化の影響力を高めています。 第三に、持続的に人と人の交流という基盤を固めていくことです。中国とASEAN は、教育、観光等の人文交流の規模が大きく、これらは相互関係を深化、強化するための基盤となっています。 中新社記者:中国とRCEP加盟国の経済貿易や文化の面での相違や補完関係についてはいかがでしょうか。中国文化はどのようにすればRCEP加盟国に向けてよりよい働きかけができるのでしょうか。文化間の「多様性の尊重と調和」はどのように展開されているのでしょうか。 雷小華:中国とRCEP加盟国とは政治体制、宗教、イデオロギーなどの面で大きく異なっています。中国文化と文化間の「多様性の尊重と調和」を広めるには関係者がいっしょに努力する必要があります。 第一に、より緊密な戦略的パートーナーシップを構築することです。地域情勢がますます複雑になり、加盟国の関係を域外の国が干渉してくる中で、中国はRCEP諸国との対話と協力という大局的な方向性を堅持し、誠実なコミュニケーションを通じて理解と信頼を促し、違いは違いとして尊重しながら共通点を探って不一致と論争を適切に処理することです。ハイレベルの交流、接触、政策的意思疎通を強化し、各レベルでの相互訪問を拡大し、ガバナンス経験の共有を促進し、東アジア協力の持続的発展を確保することです。 第二に、互いの文化の違いを寛大な心で受け止めることです。文化の違いを正しく扱い尊重し、寛大に、互いの文化の卓越性を認め合うのです。それぞれの国の中国文化の受け手について、各国の政治体制、文化背景、風俗習慣、宗教信仰などに応じて複数に分け、「一国一政策」を展開し、文化産業における協力を強化し、文化産業の包括的発展を奨励します。 第三に、市場調査を強化し、消費者のニーズにあった文化商品を開発することです。違いがあるからこそ、市場調査をして各国の国民性や消費習慣を十分に理解したうえで各国のニーズに合わせた商品づくりをする必要があります。たとえば、より多くの現地のプロモーションプラットフォームやイメージキャラクターを活用して、文化商品のプロモーションを行うなどです。 中国広西チワン族自治区南寧市で2021年に開催された第18回中国ASEAN博覧会の会場。=中新社提供 彭寰撮影 中新社記者:広西チワン族自治区南寧市で開催される「東博会」は、中国とASEANとの間の文化交流および文化貿易の「南寧チャンネル」となっています。RCEP発効後、「東博会」のサービス範囲がRCEP加盟国へと拡大されると、将来的に南寧が中国とRCEP加盟国との文化的融和の中心になるでしょうか。 雷小華:将来的に、南寧は中国とRCEP加盟国との文化的融和において重要な役割を果たすことができるでしょう。  第一に、中国ASEAN博覧会のプラットフォーム機能を上手に利用することです。プラットフォームを中国ASEAN「10+1」向けのサービスからRCEP加盟国向けのサービスへと拡大し、サービス貿易の特別展示エリアを開設し、文化貿易の規模をさらに拡大させ、文化インフラへの投資レベルを引き上げることです。 第二に、ハイレベルな対話プラットフォームとしての機能を強化します。中国とRCEP加盟国の国交樹立記念周年行事を開催し、RCEP加盟国との「友人の輪」を強固なものにし、「中国ASEAN文化フォーラム」、「中国ASEAN博覧会文化展」、「中国ASEAN博覧会アニメーションゲーム展」など多角的なイベントを開催し、かつRCEP加盟国にも拡大します。これらは中国とRCEP加盟国との人文交流の促進に重要な役割を果たすでしょう。 第三に、人文交流をさらに深めることです。「ASEAN文化週間」、「美しい中国」などの文化交流のブランド化したイベントを継続的に開催します。従来型の人文交流の基盤を強化した上で、科学技術、公衆衛生、環境保護、国際的な貧困の削減、デジタル経済など新しい分野での協力を拡大させます。 第四に、RCEP加盟国に向けた広西チワン族自治区の国際的なコミュニケーション力を向上させます。革新的なコミュニケーション方式とコンテンツを通じて、「中国の物語」と「中国イメージ」を「南寧チャンネル」によって、RCEP諸国に広め、より多くの人々が、包括的で立体的な生き生きとした中国を理解してもらえるようにします。(完) 雷小華氏略歴 博士、研究員。現在中国広西社会科学院東南アジア研究所副所長兼中国広西社会科学院東南アジア国別研究革新チーム主席専門家。長年東南アジアの政治、経済、文化の研究に携わっている。近著『ASEAN諸国の海洋管理論および実践研究』主編著『マレーシア経済研究報告』『広西チワン族自治区の国境開発開放の報告』等【編集:蘇亦瑜】

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「成長」した中国は外部の圧力にどう対応すべきか 中国中央銀行調査統計司元司長盛松成氏に聞く

 北京23日発中国新聞社電は、「『成長』した中国は外部の圧力にどう対応すべきか」と題する次のような記事を配信した。  2021年の中国のマクロ経済は穏健に幕を閉じ、2022年の全国両会」〈全国人民代表大会と中国人民政治協商会議〉で新しい発展目標が定められる見込みだ。中国経済の総量が100兆元〈1元=約18円〉から前進し、経済の変革も十字路に差し掛かる中、中国の経済的奇跡を支えた「中国モデル」は今後も持続可能なのだろうか。「中国モデル」はどのようにして改革を調整し、どのようにして「成長」プロセスの中で外部の打撃と試練に対応するべきなのだろうか。  中欧国際工商学院教授・中国中央銀行調査統計司〈局〉元司長の盛松成氏はこのほど中国新聞社の「東西問」コーナーのインタビューに答え、外部からの一部の圧力による中国経済に対する影響は短期的で限定的で、今後の発展のカギは依然として自分のことをしっかりやることであり、現在の中国の発展段階の特徴と海外の環境と情勢の変化を結び付けると、長期的に有效な仕組みを構築し、革新を奨励し、消費を促進することが当面の急務であるというべきだと述べた。  インタビューの要旨以下の通り。  問:外界では中国のGDP〈国内総生産〉がいつ米国を超えるのかが注目の的になっている。このプロセスの中で、中国の経済発展はどのようにして自身の道をしっかり進むべきか。また絶え間ない「成長」のプロセスにおいて外部からの一部の圧力にどう対応するべきか。  答:中国経済はすでに40年余りの高速成長を経てきた。中国のGDPはあと10年ぐらい前後で米国を超え、世界最大の経済体になると一般に予想されている。現在、米国は経済・科学技術・軍事などの方面でトップの地位に変わりはないが、その他の国との間の相対的な差は縮小しており、特に中国の急速な発展は米国から一種の脅威であると認識されている。  外部からの一部の圧力の中国経済に対する影響は短期的で限定的であり、長期的に見て、中国の将来の発展を決定する要因は依然として国内にあり、今後の発展のカギは依然として自身のことをしっかりやることである。われわれは現段階における世界経済の中での中国の地位、弱い部分、発展の方向を冷静に見極めなければならない。また、まだ差があることをしっかり認識し、改革開放を堅持し、構造調整を推進し、革新能力を引き上げ、中国の経済発展により多くの制度的ボーナスをもたらされなければならない。中国の改革革新と産業高度化が実現するのに伴い、経済成長率も新しい段階に入ると信じている。  現在、世界経済は低迷し、アンチグローバル化思想が台頭しているが、これはグローバル化がボトルネック期に陥ったことを意味しているわけではない。中国の着実な台頭に伴い、多元的な国際秩序も着実に構築されている。中国と西側は情報化・インテリジェント化した世界の中で新しい協力体制を形成し、双方のさらなるウィンウィンを実現するだろう。  問:1970年代末から中国は近代化の歩みを開始し、人類史上まれに見る経済成長の奇跡を達成した。中国は何が正しかったのか。  答:タイミング良く、なおかつ深いレベルの体制改革が中国の経済発展のコアとなる原動力であり、一般的に言われるような投資けん引型の経済成長だけではない。改革開放以降、中国は一連の制度改革と対外開放措置を実施し、これが長期的な生産率に深遠な影響をもたらした。  これらの制度改革は供給サイド改革と需要サイド改革に大きく分けられ、前者には要素サイドと生産サイドの改革、後者には消費・投資・輸出体制改革などが含まれる。制度改革は中国に対し必然的に大きな影響をもたらすとともに経済成長を促進・後押しする。  改革開放以降、中国の対外貿易規模は顕著に拡大し、資本勘定が徐々に開放された。対外開放の進捗は2001年の世界貿易機関〈WTO〉加盟後に明らかに加速し、これが中国に新たな高速成長段階をもたらした。対外開放により中国は世界経済の分業と協力に参加し、これは中国経済の比較優位性を発揮するのに有益だった。  この他に、「後発優位性」を利用することで、われわれは比較的低いコストと比較的小さなリスクで技術の進步と産業の高度化を実現し、先進国よりも速い経済成長を成し遂げた。これは改革開放後の中国経済の高速成長の最も重要な理由の一でもある。  制度改革と対外開放のほかに、中国は情勢の変化に基づいて短期的なマクロコントロール政策を調整してきた。最近では経済の下振れ圧力に対応するため、積極的な財政政策の実施が加速し、稳健な金融政策が安定の中で緩和に向かっている。これらはいずれも中国経済が成長安定とリスク予防、短期的目標と長期的目標の間のバランスの中で発展してきたことを示している。  歴史的に見て、大型の経済体がこれほど急速に成長するのはまれであり、政策によるリードと体制改革はずっと中国経済の案内役・護衛となり、市場の絶え間ない試行錯誤のプロセスを短縮してきた。経済発展が比較的「成熟」するのに伴い、中国は先進国と対等に付き合うことができるようになり、資源配置における市場の役割がますます大きくなっている。  問:こうしたプロセスの中で世界のその他の国とは異なる「中国モデル」が形成されたのだろうか。こうしたモデルと西側などのその他の国の発展モデルとの違いは主にどのような面があるのか。  答:われわれの歴史と文化ならびに直面している国際環境はいずれも西側諸国とまるっきり異なっており、初期条件が異なれば選択する道も変わってくる。いわゆる「中国モデル」とは実際には、われわれが猿真似をせず、西側のモデルを完全に手本にするのではなく、自身の歩みにそって進化、発展させてきたものだ。  私が良く知る金融政策を例に挙げると、中国はこれまでずっと金融の実体経済に対する資金支援、経済の弱い部分に対する資金支援を強調し、金融の根本的任務が実体経済に奉仕することであると強調してきた。社会融資規模指標から、中国の金融体系の実体経済支援の状况、資金の緩和と引き締めの程度、多チャンネルの融資構造を見ることができる。社会融資規模指標の創設・作成・統計・整備は私にとって人民銀行調査統計司長在任期間中、最も重要で、最も時間がかかり、最も印象的だった仕事の一つだ。社会融資規模指標の理論的基礎は西側諸国が提起したものだが、海外に根を下ろしたことはなく、中国が初めて創設した唯一無二の指標となった。  中国と西側などのその他の国の発展モデルの異なる点は、主に三つの方面に体現されている。  第一に、政府による後押し。中国の各レベルの政府は経済活動に対する関与の範囲が広く、その程度が深いため、経済活動全体の中で極めて重要な指揮・管理と監督の職能を果たしている。これは欧米諸国がかねてから尊んできた「大きな経済」と「小さな政府」、いわゆる「見えざる手」といった伝統とははっきりと対照的である。  中国の社会主義市場経済は絶えず進化するアクティブなシステムであり、制度の変遷、経済の転換、財政・金融政策の方向性と強度の変化、金融仲介の発展などはいずれも伝統的な経済モデルでは簡単に推し量れない経済效率の変化をもたらしてきた。  第二に、非公有制と公有制経済の共生。私有企業は利潤の追求とその最大化を目標としており、過度の市場化と自由化は多くの低利潤の基礎製造業を押し出し、産業の空洞化をもたらす。  中国には短期的な利益を優先しない国有企業が大量に存在しており、インフラ・物流・通信などの分野に強力に投資している。われわれはみな消費の限界効用が逓減することを知っているが、こうした基礎が薄弱な地域に対する見返りを求めない投資は将来的により多くの消費と富をもたらし、創造する。  第三に、特殊な歴史・文化などの要因。例えば、中国の貯蓄率は一般的に35%から40%に達し、平均20%足らずの欧米諸国のレベルを大きく上回っている。改革開放後の30年近くの間、中国は基本的に「高い貯蓄率―さらに高い投資率―高い経済成長率―高い貯蓄率」という循環の中にあった。  他にも、例えば中国は相対的に豊富な労働力と低廉な価格という比較優位性を利用して、輸出を奨励し、積極的に国際市場の競争に参加してきた。このたびの新型コロナの流行は世界経済に深刻な打撃を与えたが、中国の輸出は逆に強じんな成長を遂げた。これは中国政府が新型コロナを抑制できたことのボーナスであるとみなすことができる。  問:「中国モデル」は世界のその他の国にどのような参照をもたらすのか。  答:ある国が発展するにはやはりそれぞれの国情から出発しなければならない。中国政府は諸々の方針と政策を統一し、全国の財力・物力を集中し、産業、地域、さらには国家の経済を短期内に急速に発展させた。これは相対的に経済が遅れている発展途上国にとって、時間を節約できる有效な発展手段だ。  政府後押し型の経済発展においては、政府と経済にさまざまなつながりがあるため、腐敗が発生しやすいが、中国は適時問題を発見するとともに改善を進めてきた。しかし同時に、経済発展に伴い、政府の経済に対する関与の度合いも下がっている。言い方を変えれば市場化の度合いが高まっている。政府が過度に企業に関与すれば、企業は過度に政府に依存するようになり、ミクロ主体が活力、主体性、競争力を失い、永遠に成長できない「子ども」になってしまう。  そのため、政府の後押しは経済の法則にも合致している必要があり、特に投資パフォーマンスを重視するとともに監督と制約の仕組みを整えなければならない。「中国モデル」は過激な道を行くのではなく、多元化・多様化・混合化を実行し、改革・発展・安定の関係を正しく処理してきた。  問:将来を見据え、「中国モデル」はどのようにさらなる改革を進めるべきか。当面の急務は何か。  答:近年、中国は経済成長率が明らかに減速し、労働年齢人口がピークアウトし、資本産出效率が弱まると同時に、国際環境の不確実性が高まっている。これらはいずれも長期的に有效な仕組みを構築して革新を奨励し、消費を促進することが当面の急務であることを意味している。  中国は市場化改革を一段と深化させ、資源配置を最適化する必要がある。財産権制度は重要なインセンティブ手段の一つだが、同時に知的財産権がもたらす反独占問題にも注意し、後から来る者の革新を妨害しないようにしなければならない。  制度構築と改革はある程度の先見性が必要であり、短期と長期の利益をバランシングし、持続可能な革新を実現しなければならない。このほかに、市場化の革新では消費者の選好と傾向を理解し、供給によって消費の新たな成長点を創造し、これをレベルアップさせる必要があると同時に、消費高度化をけん引役として供給を革新し、ハイレベルなプラスの循環と需給のバランシングを実現しなければならない。  目下国内外情勢は变化が比較的大きく、中国経済は下振れ圧力に直面しており、改革と発展の関係、短期と長期の関係、成長安定と構造調整・リスク予防の関係をうまく処理しなければならない。単純に長期的改革措置によって短期的な経済下振れ圧力に対応してはならない。短期的な経済の安定と発展がなければ、長期的な構造改革を行うことができないからだ。...