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中国進出の日本企業、コロナ前から減少 ロックダウンの上海は200社超が撤退 中国進出企業、過去10年で最も少ない1万2000社

 日本企業の中国ビジネスが曲がり角を迎えている。これまで、日本企業では巨大なマーケットと豊富な労働力と安価な人件費をはじめとした「世界の工場」としての魅力から、国内外の生産拠点を中国に移設・集約し、強固で複雑なサプライチェーンを構築してきた。しかし、中国国内での新型コロナウイルス感染拡大と、中国当局によるロックダウン政策などを受けたサプライチェーンの寸断に直面。拠点を中国に集中させることのリスクが露呈し、政府も生産拠点の国内整備を後押しするなど、中国への“脱依存”に向けた新たな局面を迎えている。 <調査結果(要旨)> 中華人民共和国(以下「中国」、香港・マカオ両特別行政区を除く)に進出する日本企業は、2022年6月時点で1万2706社判明した。2010年の調査開始以降、中国への進出企業は1万社を超えており、引き続き日本企業の対中進出意欲の高まりがみられた。しかし、2020年の調査時点から940社減少したほか、過去の調査で最も進出社数が多かった2012年(1万4394社)からは1000社超減少するなど、中国に進出する日本企業数は減少傾向が強まっている 具体的な進出先では、上海市が中国全土で最多となる6028社が判明した。日本企業の工場や物流施設、メインオフィスとしての進出が特に多かった一方で、ソフトウェア開発などIT企業の進出も目立つ 業種別で最も多いのは製造業の5125社で、全体の約4割を占めた 1.中国進出企業の動向「中国進出」の日本企業、過去10年で最少の1万2千社 「脱・中国」広がる 中華人民共和国(以下「中国」、香港・マカオ両特別行政区を除く)に進出する日本企業は、2022年6月時点で1万2706社判明した。2010年の調査開始以降、中国への進出企業は1万社を超えており、引き続き日本企業の対中進出意欲の高まりがみられた。しかし、2020年の調査時点から940社減少したほか、過去の調査で最も進出社数が多かった2012年(1万4394社)からは1000社超減少するなど、中国に進出する日本企業数は減少傾向が強まっている。2020年からの推移では、22年時点で拠点の閉鎖など「撤退・所在不明」が2176社、「倒産・廃業」が116社となり、累計2292社が中国から撤退した。一方、新たに拠点などを開設した「新規」は1352社判明した。 日本企業では過去40年にわたり、豊富な労働力と安価な人件費をはじめとした「世界の工場」としての魅力から、国内外の生産拠点を中国に移設・集約し、強固で複雑なサプライチェーンを構築してきた。加えて、近年は14億人超の人口規模が生み出すマーケットとしての魅力度も高まった。そのため、2010年代初頭の対日デモに端を発した「チャイナリスク」、米中貿易戦争に直面しても、中国現地生産・販売拠点を積極的に開設する日本企業は多かった。 しかし、近年は人件費の上昇や環境規制強化などで「輸出基地」としての優位性は低下していたほか、国家安全に関わる戦略物資の輸出を規制する輸出管理法、データ管理を強化するデータセキュリティー法(データ安全法)の施行など、日本企業も含めた外資企業が負う中国事業リスクは近年急速に高まっている。また、中国当局のゼロコロナ政策に伴う長期のロックダウンにより、予見できない長期の操業停止や物流・サプライチェーンの混乱を余儀なくされたことで、欧米企業などを中心に中国ビジネスを嫌気した「脱・中国」の動きがみられる。日本企業でも、人件費の上昇で採算が合わず工場を閉鎖するなど中国事業の整理と、東南アジアや日本国内に生産拠点を移設・分散させるサプライチェーン再編が進んでおり、こうした動向も中国進出企業が減少を続ける遠因になっているとみられる。 2.進出地域上海市の減少が全地域で最大、20年比で200社超の減少 具体的な進出先では、上海市が中国全土で最多となる6028社が判明した。日本企業の工場や物流施設、メインオフィスとしての進出が特に多かった一方で、ソフトウェア開発などIT企業の進出も目立つ。次いで多い江蘇省(1912社)、広東省(1833社)では半数超が製造業で占められ、江蘇省では蘇州市など、広東省では広州市のほか、深セン市や東莞市などに生産工場などが多い。以下、遼寧省(1337社)、北京市(1112社)と、上位5地域では進出社数が1000社を超えた。総じて、進出企業は中国東部(華東地方)の沿岸部に集中している。  前回調査(2020年)から比較すると、減少した省・直轄市・自治区は18、増加は8だった。減少した地域では、上海市の減少幅が最も大きく、2020年の6300社から6028社と、2年間で272社減少した。広東省(2036社→1833社)は203社、山東省(916社→764社)は152社それぞれ減少し、減少幅が100社超となったのはこの3地域だった。大都市部での減少が顕著だった。  一方、最も増加したのは安徽省(88社→109社)で、前回調査から21社増加した。安徽省は、上海など沿岸都市に隣接する地理的優位性に加え、人件費をはじめ生産コストが低いこと、特に省都の合肥市などでハイテク産業が急速に発展していることも背景に、新たな投資対象として近年注目が集まっている。陝西省(64社→79社)は15社、江蘇省(1900社→1912社)は12社、それぞれ増加した。総じて、沿岸部では企業数が減少した地域が多い一方、内陸部では増加した企業が多いなど、エリアによって動向に差がみられる。 3.業種別多くの業種で減少も、教育・ メディカルケアなどの分野では増加 業種別では、全体で最も多いのは製造業の5125社で、全体の約4割を占めた。自動車や電化製品など機械器具製造関連で多く、自動車部品製造(137社)、金型製造(109社)、化学機械製造(79社)などが多く進出していたほか、幅広い産業で用いられる工業用プラ製品製造(153社)も多い。卸売業は4154社で、製造・卸売の2業種で全体の7割超を占める。卸売業では、工業用の電気機械器具卸売(459社)が最も多く、婦人・子供服(184社)のほか男子服卸(96社)などアパレル産業の進出が目立つ。 サービス業(1722社)は、受託開発ソフトウェア(428社)が最も多く、ゲーム開発などパッケージソフトウェア(101社)も含めると、サービス業全体の約3割をIT産業が占める。 前回調査(2020年)からの比較では、8業種中7業種が減少した。なかでも、製造業は434社減と最も多く、機械製造関連で多く減少した。卸売業(351社減)では衣服などのアパレル産業で減少が目立った。サービス業(111社減)も、広告・調査・情報サービスなどで減少が多かったことを背景に100社超減少したものの、一方で医療業などのメディカルケアや、教育といった分野では増加した。中国経済の成長に伴い所得が向上したことで、中国国内で教育熱の高まりを受けた進出がみられたほか、高齢化が進んだことで医療や介護に注目が集まっていることも、これらの業種で進出社数が増加した要因とみられる。 一方、金融・保険業は+26社と全業種で唯一の増加となった。銀行など金融機関のほか、主に事業会社を統括する持ち株会社が多く、中国・アジア地域の統括拠点として進出するケースが多い。 4. 今後の見通し不透明な「予見性」を嫌気 供給網の脱「中国依存」進む可能性も 中国による「ゼロコロナ政策」により、中国最大級の経済都市である上海市をはじめ各都市がロックダウン(都市封鎖)された影響で、日本企業の現地生産や物流に大きな打撃をもたらした。帝国データバンクが今年5月に実施した調査でも、日本企業約1700社を対象に上海ロックダウンが及ぼす企業活動への影響を調査した結果、中国に進出している86社のうち計86%の企業が「マイナスの影響がある」と回答した。企業からは「中国からの仕入れ(輸入)に影響が多大」「上海での操業が1カ月以上停止し、多大な損失が出ている」など、ロックダウンが企業活動に悪影響を及ぼしているとの声が多くあがった。また、「長期の外出制限で駐在員の心身共に疲弊している」など、現地従業員の健康にも悪影響が及んでいるとの指摘もみられた。 こうしたチャイナリスクに対し、日本企業を含めた外資企業では拠点が集中していた中国からの脱依存を進める動きがみられる。欧州連合(EU)商工会議所が4月下旬に実施したアンケート調査では、23%が中国からの撤退や投資先の見直しを検討、8割弱が投資先として「魅力が落ちた」と回答した。在中米商工会議所が5月初旬にかけて実施した調査でも、約5割で対中投資を「減らす」「先延ばしする」と回答。日本企業でも同様の動きがみられ、中国・上海市に進出する日本企業の計14%が今後の中国投資を「縮小・延期する」との調査結果を上海日本商工クラブがまとめた。既に一部の日本企業では、中国での生産比率を引き下げ、中国から輸出する製品については日本やベトナムなどで生産する体制に切り替える動きもある。 日本と巨大市場を抱える中国との間では、多種多様な業種で強固かつ複雑なサプライチェーンが構築されてきたことから、即座に中国と関係を断つことは企業にとって負担が大きい。ただ、予見性に乏しい中国当局のゼロコロナ政策に対し、中国に拠点を持つ日本企業では不満や不信感が高まっている様子もみられ、今後は「チャイナプラスワン」に向けた調達戦略がより進んでいく可能性が高まっている。

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世界のサプライチェーン再構築も多国籍企業の中国製造業投資は引き続き拡大

中国山東省青島市で6月19日に開幕した「第3回多国籍企業リーダー青島サミット」で商務部国際貿易経済合作研究院は「中国における多国籍企業:グローバルサプライチェーン再構築における再選択」と題する研究報告書を発表した。報告書によると、保護貿易主義の台頭、米中対立激化、新型コロナウイルス感染症、ロシア・ウクライナ紛争などの影響を受け、グローバルサプライチェーン構造の再構築が加速しており、地域化、多角化、デジタル化、グリーン化などの方向に傾いている。とはいえ、グローバルなサプライチェーンの構図を決めるコアロジックは不変。多国籍企業の製造業のグローバル投資が縮小する背景の下で、多国籍企業は中国への投資を着実に進めているという。 ■グローバルサプライチェーン構造再構築 商務部国際貿易経済合作研究院の顧学明・院長によると、同報告書は主に3つの観点が含まれている。一つ目はグローバルサプライチェーン構造の再構築が加速していること。反グローバル化貿易、保護主義の台頭、新型コロナウイルス感染症などの影響を受けて、グローバルサプライチェーン構造は(1)グローバル分業から地域集約に、(2)高度な集中局面から多角化に、(3)ネットワーク構造から研究・生産・消費の一体化に、(4)労働者集約型からデジタル化主導に、(5)市場化競争から政治権力による競争に——転換しているという5つのトレンドがみられる。 中国でも近年、製造業のデジタル化、グリーン化への転換・高度化を積極的に推進。多国籍企業の中国の製造業分野の投資において研究開発、スマート製造、川下の精密・高度加工などの産業チェーン分野への拡大を促進し、製造業の質の高い発展を促している。 ■中国の製造業は多国籍企業の依然重要な投資先 二つ目は、中国は依然として多国籍企業の重要な投資先であること。多国籍企業の中国製造業分野への投資は拡大が続く。2021年の中国製造業の外資導入額(実行ベース)は前年比8.8%増の337億3,000万ドルに拡大し、世界の製造業のFDIの伸び率を1.1ポイント上回った。 同時に投資構造は最適化され、スマート製造における外資導入は高い伸びを示し、全体の3分の1を超えている。また、外資の大型プロジェクトは3年連続で2桁の成長を維持。多国籍企業の売上高と利益はともにプラス成長を実現している。 ■中国のグローバルサプライチェーンは依然として優位性 三つ目は中国のグローバルサプライチェーンは依然として優位性があること。顧学明氏は、中国の制造業の優位性について次の5つに要約。(1)規模が大きくて、サプライチェーンが完備されており、サプライチェーンの強靭性の優位性は他者が代替しにくい、(2)低コストの競争優位性は弱まっているが、労働生産性、デジタル化モデル転換などの面で効率性を高めて優位性を維持している、(3)市場規模が巨大で、潜在力が十分にあり、アジアのサプライチェーンにおける中心的地位が上昇。中国への投資はより大きな成長チャンスを獲得することを意味している、(4)イノベーションリソースが潤沢で、研究開発成果の実用化率が高く、イノベーションの応用性が高いという新たな優位性が出ている、(5)国際的でハイスタンダードな経済貿易ルールに対応し、制度の開放を推進し、国際協力・競争で新たな優位性が形成されつつあるーーという。 ■多国籍企業の中国の投資状況 ―東部地区に集中 次に報告書に示された多国籍企業の中国製造業分野の投資状況をみてみる。エリア別では、東部地区が引き続き外資の主要投資先となっている。2021年の東部地区の製造業の外資導入額は全国の87.9%を占め、2017年に比べて8.9ポイント上昇。一方、同期間の中部地区と西部地区の製造業の外資導入の割合はそれぞれ7.6ポイント、1.3ポイント低下し、全国の製造業の外資導入の地域間の不均衡という問題が浮き彫りになっている。 省ごとの製造業の外資導入を見ると、製造業の外資導入額が大きいのは江蘇省、広東省、山東省、浙江省の4省。4省の製造業の外資導入規模は中国全体の60%以上を占めている。 ―業績拡大、効率向上 多国籍企業の中国での経営状況をみると、売上高、利益総額などの財務指標、売上高利益率、1人当たり売上高などの経営効率指標はいずれも国内資本企業を上回り、成長が続いている。2019~2021年の間、一定規模以上の外資工業企業の売上高は23兆5,000億元から28兆9,000億元に増加し、利益総額は1兆5,000億元から2兆3,000億元に拡大している。 ―一部外資企業の業務停止は環境変化に対応した調整 報告書はまた、多国籍企業の資金引き揚げや移転に関して言及している。近年、多国籍企業の資金引き揚げや移転の情報が頻繁に見られるようになり、外資撤退に関する議論を引き起こしていると指摘。しかし、中国の外資利用の実態と、複数の機関の中国における外資企業の投資調査によると、一部の外資企業が中国関連業務を停止したのは、主に市場の需要と競争環境の変化に適応して行った業務調整であり、正常な市場行為だとの認識を示した。その上で、中国に進出している外資系製造業の多くは依然として中国を主要な投資先と見なしているという。 実際、各機関が中国に進出している外資企業に対して実施した投資調査の結果を見ると、外資企業は引き続き中国への投資意欲を維持している。5月に中国国際貿易促進委員会が発表した『2022年第1四半期中国外資ビジネス環境調査研究報告』によると、2022年第1四半期、調査対象となった外資企業の約71%が中国での業務規模を維持。16.4%が業務規模を拡大し、72.1%が中国での投資増加率が5%を上回った。3月に中国の米国商工会議所が発表した調査報告によると、60%の企業が中国をグローバル投資計画の投資先トップ3の一つとし、66%の企業が2022年に中国での投資を増やす計画。また、83%の企業が製造や調達を中国から移転する計画はないとの結果が示された。このほか、華南米国商工会議所が発表した『2022年華南地域経済状況特別報告』によると、72%が今後3年間で中国での事業拡大を計画していると回答している。

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中国経済の10の問題に言及~新華社

中国の今年1~3月期の国内総生産(GDP)をはじめとする経済指標が発表された翌4月19日、新華社は「中国経済の10大問題」と題する文章を掲載した。10の問題は(1)目下の経済情勢(2)防疫措置(3)雇用問題(4)内需(5)貿易、外資の動向(6)インフレ(7)産業・サプライチェーン(8)中小・零細企業(9)不動産市場(10)エネルギー、食糧問題――。このうち、以下では防疫措置、産業・サプライチェーン、中小・零細企業の課題、それに対する当局の方針を簡単に纏める。 ■防疫措置について 防疫措置ではまず、3月以降の新型コロナウィルス感染拡大の状況について「コロナ感染が30省・直轄市に波及し、その中には上海や深圳などGDP規模が大きい都市、吉林などの農業大省が含まれ、景気下押し圧力が徐々に拡大している」と指摘。感染拡大防止措置の強化は「短期的には経済に衝撃となる」と経済へのマイナス影響を認めている。但し、中国の人口14億人のうち60歳以上の人口が2億6,700万人を占めている点を挙げ、「厳格な予防措置を適時に行わなければ、集団感染リスクが高まる」と指摘。長期的な観点から「動態ゼロコロナ」政策を堅持する方針を示した。 ■サプライチェーンの混乱について サプライチェーンの一部混乱については、産業チェーンの安定にとって不確実性を増幅する要因になっていると認めながらも、これは「コロナがもたらしている短期的な衝撃という側面が強い」と指摘。「目下、重要なのは混乱を招いているポイントに焦点を当て、適宜その問題を解消し、短期的な困難が長期的な趨勢に発展するのを避けること」と、サプライチェーンの混乱の長期化を回避する必要性を強調した。同時に、「チェーン」上にある企業をしっかりと守ることが重要であるとしている。 ■中小企業問題について 中小・零細企業については、受注や売上の減少、未払い金の増加、原材料価格の高騰、人件費や輸送コストの上昇などの問題に直面していると指摘。生産が増えても売り上げが増えない、売り上げがあっても利益が出ないという矛盾が鮮明化し、企業の間の格差が拡大し続けているとしている。こうした中小・零細企業の救済においては、経営コスト引き下げのための減税や費用引き下げと同時に、キャッシュフローを増やすための金融支援が必要との認識を示している。

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中国、サプライチェーンの安定化へ~劉鶴副首相が重要取り組み事項を提示

中国政府が物流の円滑化やサプライチェーンの安定に向けた取り組み方針を相次いで打ち出している。直近では4月18日に、劉鶴・副首相がサプライチェーンの安定化に向けた重要取り組み事項を明示した。 中国では、上海など複数の都市で新型コロナウイルス感染拡大を受け厳格な防疫措置を実施。移動に際して必要な「通行証」や「健康コード」が各地で異なるなどし、物流の停滞を招いている。物流の停滞、さらにはサプライチェーンの寸断による経済全体への影響が懸念される状況を受け、中国の交通運輸部は4月14日、貨物輸送・物流の円滑化を保障するよう各地方政府に通達を出し、各地で統一した通行証制度の確立などを求めた。 また、新華社によると、同18日に開催された「全国物流円滑化促進、産業チェーン・サプライチェーン安定促進に関するオンライン会議」に劉鶴・副首相が出席。劉鶴・副首相は、全国統一の通行証の発行、全国で通用する48時間以内のPCR検査陰性証明書の発行などを含めた10の重要措置を打ち出し、運転手のPCR検査結果待ちなどによる物流の停滞を解消する必要性を訴えた。同時に、物流業従事者の就業・生活条件の改善に向け支援する方針を示している。 ■10の措置は以下の通り (1)住民の生活必需品の供給を優先的に保障すること。物資輸送の「ラストワンマイル」をスムーズにすることを最重要課題とし、住民の基本的な生活に影響がないようにする。 (2)物流の円滑化を維持する健全な作業体制を確立すること。当局と重点物流企業がそれぞれ相応の作業体制、専門グループを設立し、統一した指揮系統の下、役割分担をして責任を明確にする。 (3)輸送ルートの円滑化を保障すること。高速道路やサービスエリアに設置された防疫検査所の取締りを強化するとともに、道路運行のモニタリングを強化し、道路遮断や渋滞問題を速やかに解決する。 (4)トラックの通行管理政策を最適化すること。関連部門と共同でPCR検査結果を全国で相互認証できるよう共通化。48時間以内のPCR検査陰性証明書およびグリーン健康コードを保有し、体温検査が正常なトラック運転手に対しては、各地で直接通行を許可し、各地での健康コードの追加やPCR検査証明書の有効期間内の重複検査を回避する。 (5)各地で統相互認証できる統一した通行証の使用普及を加速すること。重点物資の通行証の発行状況や通行状況について見直し、オンライン手続きを推進し、受理したら直ちに手続きを行い、十分な通行証の発行を確保し、全国での相互認証を実現する。 (6)重点サービスの保障を強化すること。トラックの通行問題を適時、協力して解決し、運転手の基本生活を保障する。上海及び長江デルタ、珠江デルタ地域における生産・生活資材、国の経済・民生に関わる産業チェーン・サプライチェーンのサービス保障を重点に、各方面が協力して産業チェーン・サプライチェーンの安定を維持する。 (7)苦情処理を加速すること。苦情を受けたらすぐに処理し、「12328」ホットラインの役割を十分に発揮し、通報制度を確立し、問題の早期解決に取り組む。 (8)物流企業および人員の負担軽減に注力すること。各関連部門と共同で各地が中小企業の救済、産業チェーン・サプライチェーンの安定化政策を十分に利用するよう指導。同時に、トラック運転手の労働・生活条件を保障すべく、ローン保証やローン返済猶予などの金融支援を拡大するとともに、トラック運転手に無料のPCR検査、抗原検査の提供を奨励する。 (9)感染拡大のリスクを厳重に防ぐこと。関連部門と共同で感染状況が深刻な地域の物流園区、高速道路サービスエリアなどには「非接触式」の物資中継場を設置する。(10)モニタリング、緊急対応を強化すること。関連部門と共同で各地のモニタリング、事前警告システムを強化し、適時の報告および情報公開を強化し、社会の監督を受ける環境を整備する。

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上海、昆山で台湾企業の操業停止相次ぐ~アップルのサプライチェーンへの影響に懸念

新型コロナウイルス感染拡大で事実上の都市封鎖が実施されている上海と江蘇省昆山市に生産拠点を置く台湾系メーカーが相次いで、当地での一時操業停止に追い込まれている。特に昆山は電子産業が集積し多くの台湾系企業が生産拠点を置き、中には米アップルのサプライヤーも含まれる。このため、アップル製品のサプライチェーンに影響が及ぶ可能性が指摘されている。 ■MacBookの組み立て請け負いの広達などが操業一時停止 4月14日付の香港経済日報によると、操業一時停止を発表した台湾上場企業は少なくとも161社にのぼる。このうち、世界最大手のノート型パソコンのEMS(電子機器の受託製造サービス)である広達(クアンタ)の上海子会社は13日から操業を停止。操業再開時期に向け当地政府に積極的に協力するとともに、同社の財務、業務への評価を進めるとしている。 iPhoneの二大組立受託企業の一つである和碩(ペガトロン)は、上海と昆山の工場の一時生産停止を発表。操業再開時期は未定としている。iPadの製造を請け負う仁宝電脳(コンパル・エレクトロニクス)は、昆山の子会社5社が政府の防疫措置の強化に協力するとしている。このほか、プリント基板(PCB)のサプライヤーである欣興(Unimicron)は、上海工場が4月2日から操業を停止しており、現時点では4月19日まで操業を停止するとしている。 アップルのサプライヤーが多いだけに、アップル製品の生産にどの程度影響が及ぶか懸念されているが、製品の中ではMac bookが最大の影響を受けると予想されている。iPhoneとiPadは、河南省鄭州と深圳に生産拠点を持つ富士康(フォックスコン)が、和碩と仁宝電脳の操業停止分を支えることができるが、Mac bookは広達が組み立てをほぼ独占して請け負っているためだ。 では、どの程度の影響を受けるのか。操業停止の期間次第だが、アップル製品は通常1~2か月分の在庫を持っているとされるため、「操業停止が1~2週間程度であれば、全体のサプライチェーンへの影響は大きくない」とみられている。ただ、操業停止が1カ月を超えれば供給に支障をきたす恐れがあると予想されている。 物流、輸送の遅延の影響も看過できない。調査会社のトレンド・フォースによると、人やモノの流れが制限される中、上海、昆山の工場は当面、既存の部品在庫で生産ニーズを満たすしかない状況。また、封鎖措置が解除されても、一気に動き出せば、税関の負荷高まりによる停滞が予想され、製品の納期に影響が及ぶ可能性があるという。