中国の1人当たりGDPが1万2500ドルに、「高所得国」までの距離は?―中国メディア
このほど発表された国民経済・社会発展統計公報によると、2021年の中国の1人当たり国内総生産(GDP)は前年比8.0%増の8万976元(約145万7500円)に上り、年平均レートでドル換算すると1万2500ドルとなり、世界平均を上回った。経済日報が伝えた。
世界銀行が20年に打ち出した基準に基づいて計算すると、1人当たり国民総所得(GNI)が1万2696ドルに達すると、高所得国の仲間入りになるという。21年の中国の1人当たりGNIは約1万2400ドルで、高所得国の入り口に近づいた。
1人当たりGDPと1人当たりGNIの高さは、一般的にその国の経済発展レベルを反映するものとされる。1人当たりGDPが世界平均を超えたことも、1人当たりGNIが高所得国のレベルに近づいたことも、中国が新発展理念の指導の下で経済の質の高い発展を遂げた成果を十分に示しており、中国経済の安定成長の底力と実力を明らかにしたといえる。
ただ1人当たりGDP・GNIと人々の1人当たり所得とは異なる概念で、現実生活の中ではしばしば混同される。経済規模が拡大すれば、1人当たりGDPもそれに応じて上昇するものの、社会の富は複数回にわたりさまざまなルートで分配されるため、1人当たり所得も増えるかどうかは必ずしも明確ではない。これは経済成長と個人の実感との間に「温度差」が生じる重要な原因の1つでもある。
ある国の発展レベルを客観的に評価しようとする時は、ただ1人当たりGDP/GNIを見るだけでなく、国民の生活レベルや所得分配メカニズムの公平性・合理性などに関する指標をみなければならない。現在、中国は一部の指標が高所得国の入り口に近づいたが、1人当たりGDPはまだ高所得国の標準の下限に到達しておらず、先進国の平均レベルとの開きはなお大きい。これは今の中国が上位中所得国にとどまっていることを意味し、私たちはこの事実を冷静に認識しなければならない。
実際、中国は人口の基数が大きく、領土が広大であるという国情によって、地域間や都市部・農村部の間のアンバランスや協調の難しさという特徴が際立つ。統計によると、現時点で1人当たりGDPが全国平均を上回る省・自治区・直轄市は北京市、上海市、江蘇省など11カ所だけで、他の大多数の省・区・市は平均値の下にとどまっている。さらに言えば、この11カ所の中でも、GDPが全国平均を下回る地級市(省と県の中間にある行政単位)が多数存在する。例えば20年に広東省の地級市21カ所で1人当たりGDPが全国平均を超えたところは5カ所だけ、山東省も16地級市のうち全国平均以上は6カ所しかなかった。
1人当たりGDP1万2500ドルという「パイ」を今どのように注意深く細かく切り分けても、人々の高所得への願いを叶えられないことは明らかだ。この状況に対して、一方では引き続き「パイ」を大きくし、供給側構造改革を深化させることで、経済の循環をスムーズにし、テクノロジー・イノベーションによって、経済の潜在的な成長力を発掘し活性化させ、産業の基礎の高度化と産業チェーンの近代化を推進し、ひいては構造の最適化、質の改善、効率の向上を実現する必要がある。他方では、「パイ」をより科学的に分配し、所得分配制度を改善することを通じて、引き続き所得格差を縮め、よりバランスが取れた、より包摂的な、より質の高い発展によって、共同富裕がさらに大きな進展を遂げるようサポートすることが必要だ。(提供/人民網日本語版・編集/KS)