中国中央政治局会議、下期の雇用と物価の安定を強調~全体の成長率目標の要求はなし

中国共産党中央政治局は7月28日に会議を開催し、 目下の経済情勢を分析したうえで、下半期の経済運営の方向性を示した。

■経済情勢と下期の経済運営

政治局会議では、まず目下の経済運営について、「際立った矛盾と課題に直面している」と指摘。新型コロナウィルス感染症を防ぐと同時に、景気を安定させるべく、景気回復の基盤を固め、雇用と物価の安定に力を入れ、合理的な範囲内での経済運営を維持し、最善の結果の実現を目指すよう求めた。ただ、経済規模が大きい「経済大省」および条件の整っている省は経済・社会発展の目標の達成を目指すべきだとし、全体の通年の経済成長率の目標(5.5%前後)達成は求めなかった。

■マクロ経済政策

マクロ経済政策では、需要拡大に積極的に取り組む必要性を強調。財政・金融政策で社会の需要不足を効果的に補う必要があると訴えた。このうち、財政政策では、専項債(地方債の一種で収益性のあるプロジェクトの資金調達用)の資金を適切に活用し、地方政府が専項債の発行上限枠を十分に活用できるよう支援するとした。金融政策では、流動性の適切な水準を維持し、企業への貸出支援を拡大し、政策性銀行の新規貸出やインフラ建設投資ファンドを用いるとの方針を示した。

■コロナ対策、「動態ゼロコロナ政策は堅持」

コロナ対策では、コロナ対策と経済・社会発展の関係について、「総合的、系統的、長期的に見なければならない」と指摘。特に政治的な見地からの妥当性も必要との見解を示した。そのうえで、「外部からの輸入を防止するとともに、内部でのリバウンドを防止し、動態ゼロコロナを堅持する」と改めて強調。感染症が発生した場合は直ちに厳格に予防・制御し、管理すべきものは断固として管理すべきことを再確認した。

もっとも、最低限の経済活動は維持しなければならない点も強調。「経済・社会の発展に影響を及ぼす重点機能については、秩序ある運営を保障し、守るべきものは断固として守る必要があると」と訴えた。また、ウイルス変異の追跡、新たなワクチンや医薬品の研究開発に力を入れる必要性を示した。

■ 工事中断物件の問題

会議では、資金不足などにより建設が中断した未完成住宅「爛尾楼」の問題についても言及。「住宅は住むためのものであり、投機対象ではない」との位置づけを改めて強調すると同時に、都市ごとに各々の政策ツールを活用して実需をサポートするとの方針を示した。また、「地方政府の責任を強化し、物件の引き渡しを保障する必要がある」と指摘。さらに、地方の小規模銀行の取り付け騒ぎに対しては、金融市場の全体的な安定を維持し、一部の地方の小規模銀行のリスクを適切に解消し、金融犯罪を厳しく取り締まる必要があるとの認識を示した。

■プラットフォーム経済

会議ではまた、プラットフォーム経済に関しても触れ、規範的で健全かつ持続的な発展を推進し、プラットフォーム企業のみの利益享受を防ぐプラットフォーム経済への締め付けを終了させると指摘。ただし、「プラットフォーム経済に対して常態化した監督管理を実施する」とし、プラットフォーム企業の秩序ある運営に向けて監督は続ける方針を示した。

■安全保障さらに、各種の安全保障を強める点にも言及。食糧安全保障の強化、エネルギー資源の供給保障能力の引き上げ、産業チェーン・サプライチェーンの安定性と国際競争力の強化、交通・物流の円滑化、内陸部の産業チェーンの最適化などを強調

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