中国のネット文学はなぜ西側の『Z世代』をファンにできたのか

 中華文化の海外進出における新興勢力である中国のネット文学は海外でますます多くの「西洋人ファン」を獲得している。先ごろ発表された「中国のネット文学国際普及報告」によると、ネット文学はすでに中国の文化商品の海外進出における最大のIP供給源になっており、その中の多くの優れた作品は西側の読者から好評を博している。海外の読者は「Z世代」が中心で、ネット文学の作品は西側の「Z世代」が中国を理解するための重要な窓口にもなっているという。

 海外進出から20年が経った中国のネット文学は、なぜ中国の文化商品の海外進出における最大のIP供給源になったのだろうか。なぜ西側の「Z世代」をファンにすることができたのか。中国作家協会ネット文学センターの何弘・主任がこのほど中国新聞社のコーナー「東西問」のインタビューを受け、上記の疑問について解説した。

 問:中国のネット文学はすでに中国の文化商品の海外進出における最大のIP供給源になっている。こうした現象はどういった内在的ならびに外在的な要因によるものか。

 答:ネット文学は中国のインターネット革新発展の一つの縮図であり、世界のインターネットのシェアリング発展理念の生き生きとした体現である。ネット文学の創作・普及・読書はすべてインターネットの特徴をベースにして発展したものであり、インスタント・高効率で、コストが低く、インタラクティビティーが高く、国境を越えて広く普及するための先天的な優位性を有している。中国は国力が絶えず高まるのに伴い、国際的影響も絶えず拡大しており、世界各国の人民の中国を知り、中国文化を知りたいという意欲が日ましに高まっているため、中国のネット文学の海外への伝播には十分な前提と堅実な基礎があった。

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 中国のネット文学は20年の発展の歩みの中で、物語性重視、大胆で奇抜なイマジネーション、没入感の高さなどの特徴を形成し、多様なジャンルと題材を持つ発展エコシステムを構築した。作品数は多く、毎日1・5億文字の新作が発表され、さまざまな読者が自身に適した作品を見つけることができる。これは中国のネット文学が大量の国内外の読者を引きつける内在的要因である。

 同時に、中国のネット文学の高速発展はかなりの程度人口ボーナスの恩恵に浴している。近年、読者の大幅な増加によって收益の伸びを維持する発展モデルがボトルネックに直面し、ネット文学企業は続々と海外市場に進出し、新しいユーザーを求めている。これはネット文学が近年、海外で普及している外在的要因である。

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 問:2001年からカウントすると、中国のネット文学は海外進出の道をすでに20年歩んできたことになる。この間、中国のネット文学の海外における発展はどのようなプロセスを辿ってきたのか。

 答:この20年間、中国のネット文学の海外への普及は、実体図書の出版という伝統的なモデルから、海外におけるローカライズ化された発展エコシステムモデルの構築へというシステマティックな転換を経ており、国内外のコラボ発展・相互促進という業態が形成されている。

 2014年12月Wuxiaworld(武侠世界)が設立され、2015年にはGravity TalesとVolarenovelsが設立された。その後、掌閲iReader App、閲文(チャイナ・リテラチャー)起点国際(Webnovel)、中文在線Chapters、縦横TapReadなどが続々と登場し、中国のネット文学はオンライン翻訳による普及の段階に入った。

 2018年4月から起点国際は海外の作者に開放し、海外の作家を引きつけ、ユーザー生成コンテンツ(UGC)によるモデルを構築し、目下11・5万人の海外の作者がおり、アップロード作品数は20万部で、ユーザー数が7300万人となっている。中国のネット文学はすでにオンラインからオフライン、パソコンからモバイル、原作からIP開発、翻訳から海外におけるローカライズ化された発展エコシステムモデル構築へという多様化された海外普及の枠組みを形成している。

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 問:どういった題材の作品が海外では最も喜ばれるのか。異なる地域の読者には異なる好みがあるのではないか。

 答:各地域の読者には文化的差異があるため、好まれるネット文学作品のジャンルもそれぞれ異なる。

 北米と欧州の読者は男性向けの中華風ファンタジーや中国の伝統文化要素を持つ作品を好んでいる。例えば中国の伝統文化における師弟関係や道徳観が現れている「天道図書館」、東洋の神話・伝説・物語を題材とする「巫神紀」、現代の中国の都市の姿と医学の発展を題材とする「大医凌然」などの作品は大いに好評を博している。奇抜なイマジネーションと独自の文化がこれらの作品が欧米の読者を惹きつける主な理由である。

 東南アジアおよび日韓などの地域の読者は女性向けの時代もの、トレンディドラマタイプの作品を好んでいる。また欧米に比べこれらの国は同じアジア文化圏に属しており、中華の伝統文化の影響を比較的深く受けているため、中華の伝統文化を表現した作品はより受け入れられやすい。

 問:中国のネット文学の海外読者は低年齢化という特徴を示している。なぜ若者の方が中国のネット文学を受け入れているのだろうか。これはネット文学の今後の発展にどういった影響を与えるのか。

 答:中国におけるネット文学の普及は当初、若い読者を中心とし、徐々にその他の年齢層に広がっていった。海外のネット文学読者も同じくこうした特徴を有している。その主な理由として若者、特に「Z世代」は、新しい事物を受け入れやすく、インターネットと共に成長してきたため、ネットワーク化されたコミュニケーション方式を受け入れやすいことがある。インターネットの開放・包容・シェアという特徴は異なる文化間の差異を絶えず減少させ、若い読者の好みも日ましに接近している。

 西側の「Z世代」の読者の中国のネット文学に対する受容度が絶えず高まることは、中華文化の海外への普及に対しポジティブな後押し効果があり、海外の若い読者の成長と人数の増加に伴い、中国文学や中華文化の世界への影響も必ずや日ましに拡大するだろう。

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 問:インターネットによるコミュニケーションが若者にマッチしたという点の他に、中国のネット文学が西側の「Z世代」にとって強大な魅力を持っている根本的な理由は何だと考えるか。

 答:中国のネット文学は中華文化のネットワーク化された文学的表現である。盤古による天地開闢や三皇五帝から現代にいたるまで、中華の伝統文化のさまざまな面がネット文学作品の中で表現され、ネット文学の創作における重要な題材の供給源になっている。中国のネット文学の魅力の根源の一つは表現のネットワーク化に由来しているが、それ以上に重要なのは中華文化の魅力だ。言い換えれば、中国のネット文学は中華文化の創造的転換・革新的発展によって、自身の強大な魅力と影響力を生み出しているのだ。

 文化の影響力と国力は比例関係にある。世界各国の中華文化を知りたいという意欲が絶えず高まる時期に、中国のネット文学は読者が好む形式で中華文化を表現し、高い物語性、豊かで大胆なイマジネーションによって中華文化の独特の魅力を示し、それによって大量の読者を引きつけている。

 中華文化は本来きわめて包容性の高い文化であり、和して同じないことを提唱している。そのため中国のネット文学は中華文化を表現すると同時に、西側の文化を排斥、拒絶することなくひいては積極的にこれを取り入れおり、たとえばSFジャンルのネット文学作品は西側の文化を大量に取り入れており、これを東洋の要素と融合させ、多くの西側の読者の好評を博している。

 問:西側の国にもネット文学があるのか。また中国のネット文学の業態との交流や相互参照はあるのか。

 答:ネット文学に対する認識についてはさまざまな異なる見解がある。現在の比較的狭義の定義では、ネット文学とは主に文学サイトまたはモバイル読書プラットフォームで連載・発表される小説のことを指している。中国には千万級のネット文学プラットフォーム登録者がおり、億単位のネット文学作品読者がいる。ネット文学はすでにインターネット時代における文学の創作と読書の最も普遍的な形式になっており、世界各国の民衆に恩恵をもたらしている。そうした意味においてはネット文学とは中国が生み出したものであり、われわれが世界の文学のネットワーク時代における発展に寄与した中国のプランである。

 西側における文学のネットワーク化普及は非常に早く、例えばアマゾンの電子書籍はすでに発行から長い年月が経っている。だが電子書籍は完成した文学作品を販売するモデルであり、こうした文学は伝統的な文学と比べ文章的に大した違いがなく、新しい文学の様式とはいいがたい。西側で現在みられる文学サイトは基本的に中国のネット文学のモデルを移植したものであり、中国の文学サイトが海外で設立したものや設立に参加したものも少なくない。

 問:西側の「Z世代」の読者を長期的に惹きつけるために中国のネット文学は今後どのように発展していくべきか。

 答:中国のネット文学の今後の発展において、最も重要なのはより多くの優れた作品を打ち出し、質の高い発展の道を進むことだ。中国の物語、特に新しい時代の中国の物語をしっかり語り、読者が物語の中から中国の精神、中国の価値、中国の力を感じ、知ることができるようにしなければならない。

 その一方で、中国文化の表現については、今以上に創造の活力を喚起し、現代的な観念や現代的な意識を取り入れ、世界の読者の認知度を高めなければならない。

 中国のネット文学の今後の発展では、中華文化をベースにしたIPユニバース(各作品が独立しながらもつながりを持ち、統一された世界観を持つこと)を構築し、その影響を世界のさまざまな街角や方面に広げるべきである。(翻訳:中国通信社)

                      

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