中国、都市別の自動車保有台数から見るNEV市場

2015年以降、新エネルギー車(NEV)の生産・販売台数が世界トップの中国。今年上半期は、一部都市での新型コロナウィルス感染防止策の強化で全体の自動車販売が落ち込む中にあっても、NEVは販売拡大が続いた。中国政府が発表した「新エネルギー車産業発展計画(2021-2035年)」では、2025年までに新車販売全体のうちNEVの占める割合は20%に拡大を目指す方針。今後、どの都市が拡大するNEV市場を支えるのか。都市別の自動車保有の状況から、NEV販売の今後の伸びしろを探ってみる。

■6月末時点でNEV保有台数は1,000万台突破

公安部の統計によると、今年上半期、全国で新たに登記・登録された機動車(エンジン付き車両で、二輪車なども含む)は前年同期比11.4%減の1,657万台に落ち込んだ。冒頭で触れた通り、一部都市の防疫措置の強化が響いた格好だ。しかし、NEVに限ってみると同100.2%増の220万9,000台に拡大している。

6月末時点での全国の機動車保有台数は4億6,000万台で、うち、自動車は3億1,000万台。NEVは1,001万台で、自動車全体の3.23%を占めた。NEVの中では、純電気自動車が810万4,000台で、NEV全体の80.93%を占めている。

■都市別の自動車保有台数300万台以上は20都市、トップは北京

都市別の6月末時点の自動車保有台数をみると、100万台を超えたのは全国の81都市、200万台を超えたのは37都市、300万台を超えたのは20都市だった。

うち、トップは北京で自動車保有台数は622万4,000台。次いで2位は成都で589万6,000台、3位は重慶で563万6,000台となっている。このほか、蘇州、上海、鄭州、西安、武漢はいずれも400万台を超える水準。中でも、武漢は2021年末に比べて大幅に増加している。

自動車保有台数が300万台を超えた20都市の保有台数は合計で8,090万1,000台。全国の自動車保有台数約4分の1を占める計算だ。

■過去1年半で自動車保有台数の増加数最多は杭州

20都市のうち、2020年末から1年半の間に自動車保有台数の増加数が多かった上位5都市は、杭州(増加数は78万4,000台)、重慶(同59万2,000台)、西安(同48万3,000台)、成都(同43万9,000台)、天津(同42万9,000台)の順だった。

一方、自動車保有台数の増加数が最も少なかったのは北京で、1年半で19万2,000万台の増加にとどまった。これは、北京の厳格な購入制限策が影響したとみられている。これまで北京、上海、広州、石家荘、天津、杭州、深セン、海南などでは自動車購入制限策を実施。うち北京は、自動車の購入制限が最も厳しい都市で、ガソリン車、NEVのナンバープレート取得規制を設けている。

もっとも、新型コロナウィルス感染症の発生以来、規制・制限を緩和する都市も出ており、今年だけでも、上海、広州、深圳、杭州、天津が相次いで自動車購入規制を緩和している。

■100人当たり自動車保有台数のトップは蘇州、下位は重慶、広州、上海

20都市の100人当たり自動車保有台数に目を向けると、最も多いのは蘇州で、100人当たり保有台数は37.6台。2位が東莞で35.5台、3位が鄭州で34.9台、4位が仏山で34.3台、5位が寧波で34.0台となっている。最も少ないのは、人口が多い重慶で17.5台。次いで広州が17.6台、上海が19.1台、深圳が21.6台となっており、沿海大都市で地下鉄などが発達している都市は100人当たり自動車保有台数が少ないことが見て取れる。

■NEVの保有台数、トップは上海

一方、中国メディアが纏めた都市別の21年末時点のNEVの保有台数をみると、最多は上海で62万台、2位が深圳で54万4,000台、3位が北京で50万7,000台、4位が杭州で34万台、5位が広州で27万台※となっている。

※20年末時点

一方、自動車保有台数が482万9,000台で全国4位の蘇州は、NEV保有台数は10万台程度。このほか、西安、武漢、仏山、寧波なども自動車保有台数では上位20位に入っているが、NEVの保有台数は10万台前後となっている。

中国政府がNEV普及の目標を明示する中、地方政府も25年までのNEV保有台数目標を発表している。それによると、深圳は100万台、北京が200万台、杭州が50万台、広州が80万台、成都が60万台などとなっている。

前述の通り、上海や広州、深圳など地下鉄などの整備が進んでいる沿海大都市は、100人当たり自動車保有台数は少ないが、NEVの普及が比較的進んでいる。一方、地方都市では自動車保有台数自体は多いが、NEVの普及が進んでいない都市は少なくないようだ。今後、こうした地方都市でガソリン車からNEVへのシフトが進むのか、注目される。

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