中国、5月の乗用車販売台数は前月比で改善~自主ブランドが好調
中国・乗用車市場信息聯席会(乗聯会)が6月10日発表した5月の国内乗用車(セダン、MPV、SUV、NEV)の販売台数は前年同月比ではマイナスが続いたが、前月比ではプラスとなった。新型コロナウィルス感染対策強化に伴うマイナス影響が薄れた格好だ。メーカー別では自主ブランドの躍進が目立った。
■5月の乗用車販売は前月比で3割増加、NEVは前年比でも大幅増
5月の乗用車販売台数は135万4,000台で、前年同期比では16.9%減、前月比では29.7%増だった。1~5月の累計ベースでは前年同期比12.1%減の731万5,000台に落ち込んだ。
車種別では、セダンが70万2,000台(前年同月比11.8%減、前月比33.2%増)、MPVが5万7,000台(同39.4%減、3.6%増)、SUVが59万4,000台(同19.4%減、28.9%増)、NEVが36万台(同91.2%増、27.3%増)。NEVは前年同期比でも大幅に増加している。
乗聯会秘書長の崔東樹氏は、5月の販売について、「各地のディーラーでは客足、成約がともに明らかに改善している」と指摘。5月は前年同期比で減少が続いているとはいえ、「減少幅は4月より改善し、安定的な生産・供給確保に向けた措置の効果が徐々に現れている」という。
■自主ブランド、NEVの販売増を追い風にシェア拡大
ブランド別では、国内の自主ブランドが好調。5月の自主ブランド全体の小売販売台数は62万台で、前年同月比5%増、前月比29%増。自主ブランドの国内小売シェアは46.3%で、前年同期比9.8ポイント上昇した。1~5月の累計ベースのシェアは46%で、前年同期比で8.6ポイント上昇している。
企業別の販売台数上位5社をみると、トップが一汽大衆(一汽VW)で前年同期比10.6%減の15万台、2位がBYDで同159.5%増の11万3,700台、3位が吉利汽車で同14.5%減の7万3,300台、4位が長安汽車で同17.5%減の7万2,600台、5位が広汽豊田(広汽トヨタ)で同3.1%減の7万台。5社のうち、自主ブランドはBYD、吉利汽車、長安汽車の3社がランクインした。
自主ブランドの販売数増加をけん引しているのはNEVだ。BYD、吉利、長安、奇瑞などの伝統的な自動車メーカーのNEV販売台数はいずれも増加している。
中でも、BYDは前述の通り、5月の販売台数は他社が前年同期比で総じて減少する中にあって、大幅な伸びを示して2位に入った。同社はプラグインハイブリッドとEV電気という2つの技術を並行する戦略を採用して以降、NEVの販売が好調に推移している。
3位の吉利汽車は現在、主にガソリン車が中心だが、極氪(Zeeker)ブランドでNEVに力を入れている。
4位の長安汽車もNEVに注力。相次いで8種のNEVを発売する予定で、足元では売れ行きが好調の「五菱宏光MINI EV」の競合車種となる「長安Lumin」を投入。「深藍」と「阿維塔」についても、今年新モデルを発表する予定だ。
■合弁車のシェアは低下
一方、合弁メーカーをみると、5月の主流合弁車小売販売台数は56万台で、前年同月比28%減、前月比24%増となった。
うち、ドイツ系ブランドのシェアは23%で、前年同期比で2.2ポイント低下。日系ブランドのシェアは20.9%で、同2.4ポイント低下。米系ブランドのシェアは6.9%で、同3.7ポイント低下。国内自主ブランドのシェアが拡大する一方で、合弁車のシェアは軒並み低下している。
■6月は前年同期比でもプラスに転換との予想
今後は生産・操業再開や中国政府による消費刺激策が追い風となり、生産、販売ともに回復する見込み。6月について、乗聯会秘書長の崔東樹氏は「操業・生産再開が徐々に進み、国内の乗用車生産・販売は前年同期比10%以上の増加が予想される」としている。