人権についてどのように理解すべきか―中国人専門家が「我々の考え」を紹介
米国や米国に近い立場の日本や西欧諸国では、新疆などについて「中国での人権問題は深刻だ」とする声が大きい。しかし中国側は「人権問題が深刻なのはむしろ米国」と主張している。西南政法大学人権研究院の張永和院長はこのほど、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、人権問題についての中国側の考えを紹介した。以下は、中国新聞社が発表した記事に日本人読者の理解を助けるために、若干の補足内容を追加して再構成したものだ。
■米国が強制労働を叫ぶのは、自国の黒人奴隷の記憶と関係?
米国は、新疆ウイグル自治区では綿花収獲について強制労働が存在するとして、米国企業に対して関連品の輸入を禁止した。しかし、西南政法大学人権研究院の調べによると、新疆において綿つみは、高収入を得られるので人気のある仕事だ。新疆では、綿つみのシーズンになると休暇を取る労働者もいる。工場などが追加賃金を提示する場合もあるが、綿つみの方がさらに稼げる仕事だからだ。
新疆ウイグル自治区の綿花収獲
このように、新疆にはいわゆる「強制中絶」や「強制労働」は存在しない。一つ一つの事例で分かるように、米国は新疆関連問題などを持ち出しては事実と異なる理由をつけて中国を圧迫している。米国はかつての、黒人を奴隷として綿畑で強制労働させた光景を故意に、中国の新疆に「接ぎ木」しているのかもしれない。
翻って米国は、自国に存在する深刻な人権問題をわざと無視している。そして、事実を捏造(ねつぞう)して人権問題を理由に他国を非難して、圧力を加えて制裁するのは、米国の常とう手段だ。新疆問題についても、このことが改めて示された。
■人権とは固定されたものでなく、社会の発展状況により異なる
人権とは、人類文明が共通して求めてきたものだ。どの国家もそれぞれが、自らの人権問題に取り組むことができる。そして中国の人権に対する理解や扱いも、自国の発展とともに進歩してきた。
中国は西側諸国の人権概念を認めることができる。しかし中国は、人権概念は多様と認識している。さまざまな国や地域では、人権やその他の権利は異なって理解され実現されるとの考えだ。
西側諸国の人権についての主流の考えは、「人権とは天(神)から与えられたものであり、確定したものだ」である。中国人の研究者は、人権の発展は段階的なものではないかと議論している。すなわち、国の発展段階が異なれば、社会や文化の構造が異なるので、人権の理解や人権問題で実現できることにも違いが生じるとの考えだ。中国は例えばアフリカの一部国家の人権状況や概念が西側や中国とは異なることに理解を示ことができる。
しかし西側諸国は人権について狭い理解をしている。そして西側諸国が人権問題で中国など他国を批判し続けるのは、外交などで自らが優位に立とうとする「利益」のためだ。
一方で、中国は人権問題について「発言は少なく行動は多く」の姿勢だ。2019年に中国で発表された白書「人民の幸せを図る:新中国における人権事業の発展70年」では、中国が人権関連で多くの努力と貢献をしたことが示されている。
■人権問題の論争で、中国は主導権を握ってよい
中国の人権事業の発展は現在のところ、「受動」から「能動」への転換期にある。米国など西側の一部国家は中国に対して、いわゆる「人権外交」の攻勢をかけ、常にいざこざを起こしてきた。中国は自らの潔白を示す反論をせねばならない。そのため中国は人権問題について、しばらく「受動」の状態を続けざるをえないかもしれない。
西南政法大学人権研究院の張永和院長
しかしながら中国はすでに、人権関連の作業で転換期をすでに迎えている。2020年から21年にかけては、西側諸国に存在する人権関連の構造的な問題が露呈した。新型コロナウイルス肺炎の流行に対しての西側国家の実績はひどいものだ。死亡した人が過去に経験した大戦争における戦死者よりも多いということは、人権の中でも最も基本となる生存権すら保障されていないということではないのか。
中国はこれらの問題を指摘して反論してきた。特に米国については、人権侵害が顕著だ。例えば、米国には多くの児童労働者が存在し、2003年から16年にかけて児童労働者452人が労働災害で死亡したとの、米国メディアによる報道もあった。中国は米国における人権問題の状況を総括して、相手が仕掛けた言葉の罠(わな)から飛翔して主導権を握る必要がある。(翻訳/Record China)