テスラへのバッテリー供給に食い込むBYD

BYDがテスラにバッテリーを供給する方向で準備していることが明らかになった。BYDがテスラに供給するのは自社開発のリン酸鉄リチウム(LFP)電池の「刀片電池(ブレード・バッテリー)」とみられ、既にテスラにLFP電池を供給している寧徳時代新能源科技(CATL)などとの競争が予想されている。

BYDの執行副総裁で汽車行程研究院院長を務める廉玉波氏はこのほど、中国メディアのインタビューで、「テスラはとても成功した企業で、BYDはテスラを尊敬している」と指摘。そのうえで「テスラのイーロン・マスク氏とは親しく、近く電池を供給する」と語った。

テスラの主要電池サプライヤーは現在、CATL、LGエナジー・ソリューションなど。このうち、CATLは21年決算報告に基づくと、テスラが最大の顧客でテスラ向け販売は130億4,000万元と、21年の同社売上高の約1割を占めている。

■EV電池の生産能力拡大へ

テスラの主要電池サプライヤーの中に今後食い込んでいくBYD。今後はテスラ向け電池供給で他のサプライヤーとしのぎを削る展開が予想されている。

足元の動向をみると、中国汽車動力電池產業創新聯盟が発表した4月の中国のEV搭載電池の総量は13.3GWhで、前年同期比58.1%増、前月比では38.0%減だった。うち、CATLは5.08GWhで、前月比で半減した。これにより、国内シェアはトップの座こそ維持しているが、前月に比べて12.21ポイント低下して38.28%となった。一方、BYDの搭載電池量は4.27GWhで、シェアは前月から12.94ポイント上昇して32.18%。トップのCATLとの差が縮小した。

4月のCATLの搭載電池量の減少については、上海での感染症対策強化で同月のテスラの中国での納車台数が1,512台と、3月の6万5,800台から大幅に落ち込んだためとみられている。4月から5月にかけては上海での防疫措置強化という特殊要因が絡んでくるため、BYDにしてみると、CATLとの足元のシェア縮小は額面通りに受け取ることはできないかもしれない。

とはいえ、かねてからBYDは「刀片電池(ブレード・バッテリー)」を含めた自社のエンジン電池について、他社向けの供給を拡大する方針を示している。BYDの現時点でのエンジン電池の生産能力は約135GWh(うち刀片電池が99GWh)だが、中国の証券会社の予想では、22年末時点で240GWh(同204GWh)、23年末時点で442GWh(同406GWh)に拡大する見込みという。

■海外開拓に意欲、スピード感の重要性を訴え~王董事長

折しも、BYDは6月8日に株主総会を開催。総会で王伝福・董事長は「今後は海外市場の開拓を強化する」との方針を強調した。王伝福・董事長は海外市場開拓について、「直面する圧力が大きい」としながらも、「一部の逼迫している資源を使って世界のEV市場を開拓する」と意欲を示した。また、自動車の電気化の進展が加速する中においては「リソースが多く、サプライチェーンを完備し、製品の優位性が大きい会社がより大きな市場で勝つことができる」とし、「現在は大きい魚が小さい魚を食べるのではなく、速い魚が遅い魚を食べる時代で、加速する車を超えることだけ」とスピード感の重要性を訴えた。

スピード感でCATLのエンジン電池市場の牙城を崩すことができるのか、今後の展開が注目される。

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